【成功事例あり】介護事業所として生き残りをかけた戦いを制する3つの方法

【成功事例あり】介護事業所として生き残りをかけた戦いを制する3つの方法

介護事業者の経営をめぐる状況は、苦境が続いています。慢性的な介護人材不足や物価高、さらには光熱費高騰のあおりを受け、倒産や休廃業をする介護事業者はあとを絶ちません。超高齢化社会のなかで、今後も介護事業所が生き残っていくためには、どうすればよいのでしょうか。この記事では、介護事業所が生き残るために知っておきたい現状と、生き残り対策について、詳しく解説します。

介護事業所として生き残るために知っておくべき現状とは

介護事業所として生き残るためには、介護業界の現状を知っておく必要があります。

東京商工リサーチによると、2023年度における「老人福祉・介護事業」の倒産件数は122件で、過去2番目に多い数値となっています。倒産件数が多くなった背景には、慢性的な人手不足や競争激化に加え、近年の物価高が重なったことが考えられます。

サービス種別ごとに見てみると、訪問介護の倒産率が高く、67件と過去最多となりました。訪問介護では、長らく問題となっているヘルパー不足や高齢化に加え、ガソリンや電気代などのコストの高騰がさらなる追い打ちをかけたことで、倒産する事業所が増えたものと見られています。

また、事業を停止した介護事業者の休廃業や解散も増加しています。2023年度は、510件の休廃業・解散があり、過去最多記録を更新しています。こちらも、人手不足などで経営が悪化した結果、倒産する前に早めに事業継続を断念した事業所が多いと考えられます。

2024年度の介護報酬改定では、人材不足に対応するために処遇改善加算や基本報酬の見直しなどが行われました。全体では1.59%のプラス改正となったものの、訪問介護の基本報酬はマイナスとなりました。訪問介護ではヘルパー不足や光熱費高騰などの影響もあり、先行きが見通せない小規模事業所を中心に、倒産や休廃業、解散が相次いでいるのが現状です。このような背景から、多くの介護事業所が倒産の危機を迎えていると言ってよいでしょう。

介護事業所が生き残るための3つの対策

介護事業所がこれからも生き残るためには、どうしたらよいのでしょうか。介護事業所が行うべき対策を3つ紹介します。

ICT化で業務効率化を行う

介護事業所が生き残るための対策として効果的なのが、業務をICT化して効率化することです。

特に、おすすめなのが介護ソフトの導入です。介護ソフトを導入すると、以下のような業務効率化につながります。

  • 介護報酬請求業務が楽に行えるようになる
  • 介護記録やアセスメント記録の作成・保管が簡単になる
  • LIFEやケアプランデータ連携システムへのデータ連携、他事業所や医療機関との情報共有がしやすくなる

介護業務が効率化されると、残業時間の削減や情報共有が容易になるなど、職員の業務負担が軽くなります。業務負担の軽減により働きやすい環境づくりができると、職員の定着率が上がる可能性があります。また、業務効率化により空いた時間を利用者に関わる時間に充てることができるため、利用者の満足度向上にも貢献できるでしょう。

このように業務効率化を行うことで、介護業界にありがちな人材不足に対応でき、また顧客満足度向上にもつながるため売上にも直結します。そのため、事業所の生き残り対策としては非常に有効です。

未取得の加算の取得を目指す

介護事業所の生き残りのためには、未取得の加算の取得を目指すのもよいでしょう。

2024年度の介護報酬改正では、新加算や加算率がアップしているものが多くあります。訪問介護では、特定事業所加算の見直しが行われました。未取得の加算のうち、職場改善を行うことで取得できる可能性あるものがあれば、ぜひ取得を目指しましょう。

また、処遇改善加算も大幅な見直しとなっています。なかでも、訪問介護は新しい処遇改善加算Ⅰであれば、最も高い加算率である24.5%となります。高い加算を取得するほど、職員に給与として還元できるため、職員の定着率向上に役立てることができるでしょう。

働きやすい環境を整備する

働きやすい環境を整備することも、介護事業所の生き残り対策として有効です。例えば、パートから正社員への登用や育児中の時短勤務など、多様な働き方ができる体制を整備しましょう。

職員は出産や子育てなどライフスタイルの変化に合わせた働き方ができるため、離職防止にひと役買うことができます。

また、出産や子育て、ハラスメントに関する相談窓口を設置することで、直属の上司に面と向かって相談しにくい場合にも悩みを相談することができるため、職員の定着率向上が目指せるでしょう。

さらに、職員の介護技術を底上げするための体制を整えることも大切です。施設内研修の定期的な開催、施設外研修の研修費の補助や研修参加日の出勤扱いなど、職員が学び続けたいと思うような体制を整えましょう。ほかにも新人育成体制を整え、新人が相談しやすい環境を作ると、新人の離職率は下がりやすくなります。

介護事業所が生き残るための業務効率化成功事例3選

ICT化により、どれほど業務が効率化するのか、知りたい人も多いのではないでしょうか。実際にICT化したことで業務が効率化した事例を3つ紹介します。

事務作業時間が大幅削減でき売り上げアップ

千葉県成田市で訪問介護を提供している成田エコハウス株式会社では、介護ソフト「介舟ファミリー」と記録ソフトCarewingを導入したことで、事務作業や予定と実績の突合確認作業の効率が向上しました。この2つのソフトを導入することで、シフトと請求が連動し、シフト作成での入力ミスがなくなったほか、記録のファイリングがなくなったことで、職員の事務作業に対する負担が大幅に減少しました。その結果、特定事業所加算の取得要件である月1回の研修開催ができるようになり、売り上げが10%もアップしています。

請求業務や書類作成時間が短縮

茨城県や埼玉県、東京都で放課後等デイサービスや障害児相談支援を行うピースホームタウン株式会社では、相談支援を開業するタイミングで、介護ソフトを導入しました。放課後等デイサービスと相談支援との連携ができる介舟ファミリーを導入したことで、複数のパソコンでの作業が可能となり、請求業務や書類の作成時間が短縮されました。その結果、店舗運営や療育ミーティングなどに時間を有効活用できるようになり、本部の統括管理が非常に楽になったとのことです。

業務効率が50%アップ

福岡県と佐賀県で介護サービス、障害福祉サービス事業所を幅広く運営する千歳グループでは、さまざまなサービスに対応している介護ソフト「介舟ファミリー」を導入したことで、全部門を一元管理することができるようになりました。その結果、請求業務での残業がほぼなくなり、業務効率が50%もアップしました。

障害サービスと介護保険サービスの多くの事業を総合的に事業展開している千歳グループでは、多様なサービスに対応している介舟ファミリーの機能をフル活用することで、業務効率化に成功しています。

介護事業の生き残りではICT化による業務改善がカギ

介護事業所が生き残るためには、職場環境の改善が欠かせません。そのため、できるだけICT化して業務を効率化していくことが必須となるでしょう。

介舟ファミリーを導入することで、記録ソフトで入力した実績をそのまま請求ソフトに連携できるなど業務効率化の実現が可能となります。また、わかりやすい操作性と画面になっているため、小さな事業所から総合経営の事業所まで、さまざまな介護事業所で活用できます。これからの介護事業所経営を考えるなかで、介舟ファミリーの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

業務効率化を推進している事業所は“価値”が高い

事業承継を考えている施設の運営責任者は、働いているスタッフや利用者にできるだけ負担がかからないように配慮しつつ、承継を進めることが大切です。また、事業所の業務効率化が進んでいる事業所は、評価が高いでしょう。政府がデジタル化を推進している状況下において、特にDX化へのインフラが整備されている事業所は、買い手にとって魅力的に映るためです。

そのため、いずれは事業承継をしようかと考えている事業所の運営責任者の方は、今から業務効率化を推進するとよいでしょう。その中でDX化の足がかりとして欠かせない介護ソフトが未導入の事業所は、導入の検討を始めてみることをおすすめします。

介舟ファミリーの介護ソフトは導入後の評判も良く、利用している事業所も多いのが特徴です。ぜひ、介舟ファミリーも検討範囲に加えてみてください。

介舟ファミリーは、介護と障害者福祉の両制度に対応し、事業所が必要な機能を標準で提供しています。包括的なサポート体制があり、初めての利用でも安心して導入できます。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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介護事業の承継方法とは?3つの方法とM&A行使の流れについて解説

介護事業の承継方法とは?3つの方法とM&A行使の流れについて解説

介護事業所を運営する管理者にとって、事業承継は常に意識していることのひとつではないでしょうか。M&Aを行使するのがいいのか、子どもや社員に事業を譲るのが得策なのか、大きな悩みとなります。 この記事では事業承継の方法と、それに関係するメリットとデメリット、M&Aを行う際の手順について解説します。

介護事業所の倒産や廃業の背景

近年、介護事業所の倒産や廃業が相次いでいます。

株式会社東京商工リサーチによると、2023年の「老人福祉・介護事業の倒産」件数は122件。2022年は143件という結果が出ています。

数字上では倒産件数は減っているように見えますが、2022年の倒産にはデイサービスを運営していた「ステップぱーとなー」グループ31社の連鎖倒産が含まれています。その点を考慮すると、「介護施設の倒産は増えている」と言えるかもしれません。

また、「老人福祉・介護事業の休廃業・解散」は2023年で510件にのぼり、2010年以降、最多の件数となっています。
それでは、増加しつつある介護事業所の倒産や、休廃業、解散の背景には、どのような理由があるのでしょうか。

コロナ

新型コロナウイルス感染症は、介護施設の経営を悪化させた要因のひとつです。基礎疾患のある高齢者は、感染すると重症化するリスクがあるという理由から、デイサービスへの通所を控えた人も少なくありませんでした。

その一方で、施設側では感染対策として、マスクや消毒液などの備品の購入、食堂やプレイルームへのついたての設置などの経費がかさみました。その結果、経営が圧迫された施設が増えたのです。

コスト高

世界的なインフレや国際情勢の悪化によって、物価が上昇しています。食料品、日用品だけでなく、光熱費、ガソリン代などのエネルギーの高騰により、さまざまなコストが徐々に増えている施設も少なくありません。

そのうえ、コロナ対策の一環として換気を重視することが指導されているため、夏場、冬場はエアコンを使用したまま窓を開ける必要が出てきました。不経済ではあるものの、施設での感染防止対策としては仕方ないことです。そのため、施設の経費はさらに膨れ上がり、倒産や廃業に追い込まれるケースもありました。

人材不足

介護業界の人手不足は今に始まったことではありません。慢性的な人手不足に危機感を感じ、対策を打ち出した事業所は離職率が低いものの、何も手を打たなかった施設はここにきて人手不足が切実な問題となっています。

また、離職率が低い事業所でも、長年勤務しているスタッフの高齢化問題が浮上してくるところはあります。利用者がいても、そこで働いてくれるスタッフがいなければ、事業所を続けていくのは難しいのが現実です。スタッフの人材不足から廃業を決める施設もあります。

2024年の法改正

コロナ、インフレ、人材不足などのあおりを受けながらもギリギリで営業を続けてきた介護施設ですが、さらに追い打ちをかけたのが2024年の法改正です。訪問介護の基本報酬がマイナスとなったことで、さらに事業所の利益が減ってしまい、経営状態が悪化、閉鎖に追い込まれる事業所もあるでしょう。

介護事業の承継方法とメリットデメリット

経営が立ち行かなくなった事業所には、主に2つの選択肢が考えられます。事業を承継するという方法と、廃業です。介護事業所を承継する主な相手として、大きくは以下の3つが挙げられます。承継先と、その際に考えられるメリットとデメリットを解説します。

親族に承継する

子どもや親戚など、身内に事業所を承継する場合です。

メリット

承継する相手が親族のため、関係性が近く信頼性できる相手と言えます。そのため、スムーズに承継が行われることが多いです。

デメリット

親族承継のデメリットは、経営者としての実力がないうちに承継させてしまいがちな点です。

その結果、経営が立ち行かなくなり、倒産という事例が多いのです。子どもや親族へ承継する際は「経営者として独り立ちできるのか?」という視点で、冷静に見極める目が必要です。

社員に承継する

社員として働いていた有能な人材を登用し、事業を承継させることもよくあります。

メリット

事業を任せられる有能な社員ならば、信頼性も高く承継相手としてふさわしいと経営者は納得できます。

承継を任せられた社員にとっても、モチベーションが上がり、仕事のやりがいも出てくるでしょう。

デメリット

今までは社員として働いていた社員が、承継後には経営者となります。施設という職場は変わりませんが、経営者と社員ではスタンスが異なります。経営者は将来の方向性を定め、的確な戦略を立案し、資金調達するなどがメインの仕事となります。

スタッフとして優秀でも、経営者としての資質があるのかどうかは別の話かもしれません。経営者としてやっていく覚悟があるのかどうか、事前にしっかり話し合っておく必要があります。

他社へ承継する

他社へ事業を譲渡することを、M&Aと言います。事業所を売却するためには、事業所の規模、売り上げ、施設の状況だけでなく、建物や車などの資産をすべて査定し、承継する事業所にいくらの価値があるのかを計算することから始めます。

メリット

経営者は譲渡した金額が受け取れます。それを元手に投資したり、新たな商売を始めたりすることも可能です。

デメリット

トップが変わるため、事業所の運営方針もガラリと変わることがあります。スタッフや利用者への説明など、引き継ぎをしっかり行う必要があります。この部分を丁寧に進めないと、反発が出て継承が頓挫してしまうこともあり得ます。

承継する相手がいない、またはM&Aで条件が合わないなどの場合は廃業となります。廃業する際は、スタッフの解雇、利用者への説明だけでなく、資産の売却や処分を行わなければいけないため、承継よりも時間と費用がかかることが多いです。

介護事業の承継の流れ(M&A)

実際に事業を承継する際には、どのような流れになるのでしょうか。前章で3つの承継先を紹介しましたが、ここではM&Aについて詳しく説明します。

  1. 仲介業者を探し、面談をする
    M&Aには法的なことも含まれるため、仲介業者を探すのが一般的です。仲介業者に、売り手としての条件面を提示し、買い手企業を探してもらいます。
  2. 買い手企業の選定
    仲介業者は、買い手企業を探すためのマッチングを行います。
  3. 企業双方の話し合い
    仲介業者が売り手と買い手の条件をすり合わせ、条件に合致した企業が現れた際は、仲介業者がセッティングして双方のトップの話し合いが行われます。この席では、売り手企業側に、業績やスタッフの条件、施設の資産などをヒアリングすることが多いでしょう。さらに双方が納得すると、基本合意の締結を行います。
  4. 最終的な金額の提示
    買い手企業は、公認会計士、監査法人、弁護士などの代理人を選出して監査を実施します。そして、買収希望金額を提示することで再び交渉に入るのです。
  5. 最終的な合意
    仲介業者が買い手、売り手の折り合う金額を提示し、最終的な合意を図ります。
  6. 譲渡契約の締結
    譲渡契約を締結してM&Aが成立します。

業務効率化を推進している事業所は“価値”が高い

事業承継を考えている施設の運営責任者は、働いているスタッフや利用者にできるだけ負担がかからないように配慮しつつ、承継を進めることが大切です。また、事業所の業務効率化が進んでいる事業所は、評価が高いでしょう。政府がデジタル化を推進している状況下において、特にDX化へのインフラが整備されている事業所は、買い手にとって魅力的に映るためです。

そのため、いずれは事業承継をしようかと考えている事業所の運営責任者の方は、今から業務効率化を推進するとよいでしょう。その中でDX化の足がかりとして欠かせない介護ソフトが未導入の事業所は、導入の検討を始めてみることをおすすめします。

介舟ファミリーの介護ソフトは導入後の評判も良く、利用している事業所も多いのが特徴です。ぜひ、介舟ファミリーも検討範囲に加えてみてください。

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介護経営の大規模化と協働化は必要?メリットとデメリットも解説

介護経営の大規模化と協働化は必要?メリットとデメリットも解説

介護経営の大規模化、協働化を検討している事業運営者もいるでしょう。
厚生労働省も推奨している事業所の合併や譲渡は事業所にとって得なのか、損なのか? この記事では、大規模化や協働化をするメリットやデメリットだけでなく、実際に合併や譲渡をする際の注意点なども紹介しています。ぜひ大規模化や協働化を決断する前にご一読ください。

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介護経営の大規模化・協働化とは

介護経営の大規模化・協働化とは、どういうことでしょうか。概要と目的を紹介します。

介護経営の大規模化・協働化の概要と目的

介護保険サービスがスタートした当初は、中・小規模の事業所が大半でした。政府は事業所に競争を促し、相乗効果として利用者へのサービス向上や、事業所運営の効率化を図ろうとしました。

しかし、現実的には、人手不足や資金不足から業務効率化が進まないという状況です。そこで、政府は大きく方針を転換しました。

小さな事業所の合併、譲渡による大規模化または協働化を推し進め、それらによる恩恵で効率化を図ろうというものです。

介護経営の大規模化・協働化のメリットとデメリット

政府の大規模化、協働化により見えてくるメリット、またはデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

大規模化や協働化のメリット

人材の確保がしやすい

規模が小さい事業所では、スタッフが担当部署以外の業務にも携わらなければならないことがあり、それらの負担がスタッフの離職理由になっていることもあります。

規模が大きくなると、スタッフ間で仕事の分業化ができるため、スタッフの負担も軽減できます。

人材の採用活動においても、多様な募集チャネルが活用しやすくなり、人材も集まりやすいでしょう。

研修やキャリアパスの形成が行いやすい

外部から講師を招いて研修や職員教育などを行う際も、何回かに分けての開催が可能となるためスケジュール調整がしやすくなります。

スタッフは自分のスケジュールを優先しながら講習を受けられる可能性が高くなります。さらに、講習や研修を受けることでキャリアパスの形成もしやすく、スキルアップにつながるため、スタッフのモチベーションも高くなるでしょう。

事業者間での連携が行いやすく、情報共有ができる

協働化することで感染症や災害時など、情報が収集しやすい環境が整備できます。

多くの情報から正しい判断がしやすくなり、利用者や家族からも「この施設は信用ができる」と評判も上がるでしょう。

補助金や助成金の申請が通りやすくなる

大規模化することで社会的な信用も上がります。そのため、補助金や助成金の申請が審査に通りやすくなることもあるようです。

業務効率化がしやすい

大規模化・協働化することで業務に使用できる資金も大きくなるため、事業所のICT化も進めやすくなるでしょう。

パソコンやタブレットの大量購入は割引率の最大化をもたらし、導入費用が抑えられます。さらに、ICT化して組織マネジメント改革が進むと、事業所全体の業務効率化が促進されるという効果も期待できるでしょう。

大規模化や協働化のデメリット

それでは、大規模化や協働化のデメリットには、どのようなことが考えられるでしょうか。

施設独自の情報を公開しなければならない

施設それぞれのサービスや、業務運営のノウハウなどをグループ事業所に公開する必要があります。

今までは差別化を図っていた独自のサービスがグループ全体のスタンダードとなるため、自事業所の特色をアピールしづらくなる可能性も出てきます。

経営方針の違いから生まれるトラブル

最初にしっかりと経営方針や、ビジョンなどを話し合っておかないと、それぞれの事業所の思惑の違いから齟齬(そご)が生じ、トラブルに発展することも少なくありません。

合併譲渡の会計手続きが煩雑

所轄庁によっては、以前は合併手続きが一般的ではなかったところもあります。

その結果、合併したことで会計処理がさらに煩雑になり、手間と時間がかかったこともありました。しかし、最近では法人向けのガイドラインも整備されているので、比較的円滑になっているようです。

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介護経営を大規模化、協働化した事例

介護経営を大規模化、協働化した事例を紹介しましょう。

みちのく社会福祉協同組合の例

介護施設の運営責任者として、頭を悩ませるのが人材の確保ではないでしょうか。「みちのく社会福祉協同組合」では、インドネシア、フィリピン、ベトナムの留学生を受け入れ、介護福祉士の資格取得サポートを行っています。

その結果、組合に加入している事業所に優秀な人材を紹介することができ、人手不足が解消できる仕組みとなっています。

さらに、おむつやリネン品などを組合で一括購入することにより、事業所へ安く販売する取り組みも行っています。

社会福祉法人 小田原福祉会の例

小多機(小規模多機能型居宅介護)に、地域密着型特養や地域包括支援センターなど、複合的に事業を展開している「社会法人 小田原福祉会」は、下記のような事業展開に取り組みました。

小多機に郵便局やサ付き、在宅支援クリニックを併設。特養に併設されていた通所介護事業所を外に移転、あわせて地域包括支援センターも分割。そちらにも在宅支援クリニックやサ付きを併設して、複合型施設としました。多角的に経営することでリスクを分散し、安定した経営を目指せるのがメリットとしています。

事業展開により、5年間で人件費率は6.98ポイント、離職率も4.6ポイントの低下を図ることができました。

社会福祉法人 北筑前福祉会の例

地元を大切にしている「北筑前福祉会」は、補助金を受けながら事業を拡大している施設です。

地域の整備計画に参加するだけでなく、新規事業に積極的に取り組むほか、SDGsの活動などにも力を入れているのが特長です。住民の困りごとや、要望に応えているうちに規模が大きくなったとも言えますが、事業拡大により、よりきめ細かに利用者のニーズに応えられるようにもなっています。

大規模化するにつれ認知度が上がり、信頼度も増したため、地域住民への説明が容易になりました。また、スタッフに対しては、大規模化することでさまざまな形態のサービスを経験してもらうことが可能になると同時に、管理職のポストも増加したため、キャリアについての希望にも幅広く応えられるようになりました。

効率化の成果としては、食材を一括仕入れすることで、費用を大幅に抑えることが可能となっています。

介護経営を大規模化する方法

介護経営を大規模化する方法には、合併または事業譲渡があります。

どちらも法人所轄庁への事前の相談は欠かせません。また、それと並行して各事業に関わる行政庁への事前相談も早急に行う必要があります。

さらに、利用者、スタッフへの説明も丁寧に行いましょう。税金や補助金に関しては税務署や補助金関係行政庁に問い合わせてください。合併と事業譲渡の必要な手続きを以下に簡単に見てみましょう。

社会法人の合併の主な手続き

  1. 理事会、評議員会に決議をかける
  2. 合併契約の書類をそろえる
  3. 法人所轄庁に行き認可を得る
  4. 官報に債権者保護手続きの公告をする
  5. 登記の手続きをする
  6. 書類をそろえて開示、閲覧の対応に備える

事業譲渡の主な手続き

  1. 事業を譲り受ける法人は、譲り受ける事業について新規の許認可等の手続き
  2. 事業を譲渡する法人は事業の廃止手続きをする
  3. 基本財産の定款変更申請が必要となる場合は、法人所轄庁に提出する

介護経営を大規模化するうえでの注意ポイント

介護経営を大規模化する際には、いくつかの注意ポイントがあります。合併、譲渡を行う前に双方で確認・同意をしておかなければ、のちのちトラブルにつながることもあるので注意しましょう。

  • 消滅する法人の退職役員の報酬について確認しておく
  • 寄附財産を移転、または存続する際には国税庁に相談する
  • 譲渡する際は、利用者に譲渡後のサービス提供について説明しておく
  • 資産を譲り受ける際の価格は、専門家に相談して適正価格を確認する

大規模化や協働化を考えるなら業務効率化は欠かせない

介護事業所の経営者としては、大規模化や協働化を考えることもあるでしょう。

メリットがある一方で、働くスタッフも増えるため、業務に関しては効率化を図る必要があります

また、事業所の規模が大きくなるということは、本部と各事業所の管理を統合せねばならず、ICT化にも待ったなしで取り組まなければいけないでしょう。

介護ソフトの導入を検討している事業所は、今後の大規模化や協働化をも視野に入れて選ぶのがおすすめです。介舟ファミリーの介護ソフトは、トータルでサポートされており、使いやすいと評判です。大規模化や協働化を計画している事業者はもちろん、少しでも事業所の業務効率化を進めたい方は、介舟ファミリーの介護ソフトも検討してみてください。

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介護現場で増える外国人雇用の現状とは?雇用するメリットと留意点を解説

介護現場で増える外国人雇用の現状とは?雇用するメリットと留意点を解説

慢性的な介護人材不足の対応策として、注目されているのが 外国人雇用の活用です。
介護現場における外国人雇用は年々増加しており、これから外国人雇用を検討している事業所も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、介護現場における外国人雇用の現状と雇用のメリットやデメリット、留意点について、詳しく解説します。

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介護業界における外国人雇用の現状

介護業界は、慢性的な介護人材不足が長らく問題となっています。この問題に対し、国はこれまでさまざまな対策を実施してきました。その対策のひとつが、外国人の受け入れ環境の整備です。

介護現場での外国人雇用の受け入れ方法には、「EPA」、在留資格「介護」、「技能実習」、「特定技能1号」の4つがあります。それぞれの特徴や在留期間等の違いは、以下の表のとおりです。

EPA 在留資格「介護」 技能実習 特定技能1号
目的 介護福祉士の国家資格の取得を目的とした受け入れで、国際連携の強化のために実施 専門的・技術的分野への外国人労働者の受け入れ 日本から相手国への技能移転(国際貢献) 人手不足対応のため、一定の専門性・技能を有する外国人の受け入れ
在留期間 介護福祉士の国家資格取得前:原則4年(一定条件を満たせば5年)
介護福祉士の国家資格取得後:制限なしで更新可能
制限なしで更新可能 最長5年 最長5年
勤務できるサービスの種類 介護保険3施設のほか、通所介護、通所リハ、認知症グループホーム、認知症デイ、特定施設、ショートステイ
※介護福祉士の資格取得後には、一定条件を満たした事業所の訪問系サービスも可能
制限なし 訪問系サービス以外 訪問系サービス以外
在留者 2,395人
2023年9月現在
6284人
2022年12月現在
15,011人
2022年6月現在
21,915人
2023年6月現在

介護業界における外国人雇用の現状はどのようになっているのでしょうか。

令和4年度の介護労働実態調査における事業所調査「事業所における介護労働実態調査」(以下、事業所調査)によると、外国籍の労働者を受け入れている事業所は、約1割でした。

受け入れ方法別に見ると、技能実習生が4.4%、特定技能1号が3.5%、在留資格「介護」が2.6%、EPAは0.7%となっています。EPAは日本語能力や介護知識の要件が厳しいことから、ほかの雇用方法に比べて少ないことがわかりました。

介護保険サービス系型別の受け入れ状況では、施設系(入所)は技能実習生と特定技能1号がそれぞれ13.8%、11.9%、次いで居住系が10.3%、8.0%となっており、施設で生活している高齢者の介護を担う場面での雇用が際立っています。今後の採用予定については、外国人労働者を「新たに活用する予定がある」と回答したのは施設系(入所型)が30.1%であり、施設の方が外国人雇用の受け入れがしやすい状況と言えるでしょう。

介護現場で外国人雇用を実施するメリット

介護現場で外国人雇用を実施するメリットには、次の3つが挙げられます。

労働力の確保につながる

外国人雇用の大きなメリットとして挙げられるのが、労働力の確保です。

「令和4年度介護労働実態調査」の労働者調査「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書(以下、労働者調査)」において外国籍の労働者と一緒に働くことについて質問したところ、外国人介護職員と一緒に働いている人のなかでは、「労働力の確保ができる」と回答した人の比率が56.8%と高くなっていました。「事業所調査」での外国人労働者の働き方に対する評価でも、同様の回答の比率が82.3%と高いことから、現場の職員にとっても、外国人の介護職員は労働力として捉えられていることがわかります。こうした結果から、外国人雇用は労働力の確保につながると言えるでしょう。

職場に活気が出る

外国人雇用には、職場に活気が出るというメリットもあります。令和4年度の「事業所調査」によると、外国人労働者の働き方に対する評価として、「職場に活気が出る」と回答しているのが何らかの形で外国人労働者を受け入れている事業所の45.6%、「労働者調査」でも外国人と一緒に働いている人の34.8%が同様に回答していました。日本介護福祉士会の見解でも、外国人雇用は「施設の雰囲気が明るくなる」「コミュニケーションが活発になる」といった効果があると言及されています。実際に外国人雇用を実施している介護現場でも、外国人雇用により職場に活気が出ると感じています。これらのことから、外国人雇用には職場に活気が出るといったメリットがあると考えられるでしょう。

日本人職員のスキル向上につながる

外国人雇用では、日本人職員のスキル向上もメリットとして挙げられるでしょう。

外国人雇用を実施した場合、指導者となる日本人職員は、相手が理解できるようにわかりやすく説明する必要があります。

細かいニュアンスが伝わらないこともあり、どのように教えれば正しく伝わるのかを検討することが多くなります。その結果、介護技術や実践内容の振り返りをする機会が増え、日本人職員のスキルや指導力が上がりやすくなるでしょう。

介護現場における外国人雇用のデメリット

介護現場における外国人雇用には、以下のようなデメリットもあります。

業務内容に限りがある

外国人雇用を行ううえでのデメリットとして挙げられるのが、できる仕事に限りがある点です。前述の「労働者調査」によると、外国人介護職員と一緒に働いている職員のうち、外国人と一緒に働くことについて「できる仕事に限りがある」と回答した人は、50.3%と半数に上っています。

「事業所調査」でも同様の回答は50.4%となっており、事業所と職員の見解に差がないことがわかりました。この結果から、介護記録や電話等、より高度な日本語でのコミュニケーション力を必要とする場面では、外国人介護職員の力を借りることに不安があると考えられます。

ただし、実際に一緒に働いている人にとっては、業務内容に限りがあることが負担になっているとは考えにくいかもしれません。「労働者調査」を見てみると、「業務が軽減される」と回答している人が30.7%いることから、できない業務はありながらも、その他の場面での業務が軽減できていると感じている人が多いことがわかります。

コミュニケーションがとりにくい

コミュニケーションの部分を見てみると、日本人と同レベルのやりとりをするのは難しいという点がデメリットとして挙げられるでしょう。

外国人雇用では、介護現場で働くうえで必要な日本語能力を有しており、生活にも支障がないことが最低限の条件となっています。しかし、生活習慣等の違いもあり、コミュニケーションがとりにくいと感じる場面も多いでしょう。外国人と働くことについての回答では、「事業所調査」「労働者調査」の双方ともに、「コミュニケーションがとりにくい」と感じている割合は3割程度で、「利用者との意思疎通において不安がある」と回答した割合も4割前後となっています。

職員と事業所の双方が、外国人介護職員に対してコミュニケーションの場面で不安を感じていることは間違いないでしょう。

ただし、外国人雇用をしていない事業所の労働者と実際に外国人と一緒に働いている労働者の回答の差が大きいことから、実際に一緒に働いてみると、想定よりはコミュニケーションがとれると感じられる場面もあるのではないでしょうか。

帰国する可能性がある

外国人雇用の場合、在留期限の関係で、いずれ帰国する可能性がある点もデメリットと言えます。

外国人雇用は、雇用の種類によって在留期間に違いがあります。技能実習と特定技能1級の場合、在留期間は最長で5年であり、5年後には帰国しなければなりません。一方、EPAで入国し国家資格を取得した場合や、在留資格「介護」の場合は、制限なしで在留期間が更新できます。

ただし、特定技能1号と技能実習は在留資格「介護」に移行することもあるため、必ずしも全員が帰国するとは限りません。実際には、特定技能1号と技能実習で入国していても、在留資格を変更して日本に残る人もいると考えられるでしょう。

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外国人雇用で介護職員を補うときに注意すべきポイント

外国人雇用を利用して介護職員を補う場合、どのようなことに気を付けるとよいでしょうか。注意すべきポイントについて詳しく見ていきましょう。

事前に日本人職員へ理解を求めよう

外国人雇用を利用する場合、同じ職場で働く日本人職員の協力が不可欠です。雇用する目的や、生活習慣、宗教、文化の違いについても共有し、理解を求めましょう。場合によっては、日本人職員向けのオリエンテーションや研修などを検討しましょう。

外国人介護職員に生活上のマナーや職場でのルールをきちんと伝えよう

国が違えば、生活上のマナーやルールは大きく異なります。お互いが気持ち良く過ごすために、生活上のマナーはしっかりとわかるように伝えましょう。

具体的には、トイレやお風呂、買い物、交通、医療などのルールについて、日本人としては当たり前のことであっても、丁寧に伝えましょう。特に、ゴミ出しのルールは地域によって異なるうえ、トラブルになりやすいので注意が必要です。

また、仕事上のルールについても、日本と外国では違うケースが多いでしょう。介護現場はチームで対応することが多いため、職員同士の連携が取れるよう、報告・連絡・相談のルールは明確に伝えるようにしてください。

誰でも使いやすいツールを活用しお互いが働きやすい工夫をしよう

外国人を雇用する場合は、日本人と外国人介護職員の双方が働きやすい環境をつくる必要があります。

日本人と外国人の双方が、効率的に仕事が行えるように介護業務を見直したり、マニュアルを作り直したりして、どんな人でも理解しやすい工夫をすることが大切です。

介護ソフトといった誰もが使いやすいツールを活用するのもよいでしょう。介護ソフトは、シンプルで画面や操作性がわかりやすく、簡単に使いこなすことができるツールであれば、外国人だけでなく、IT機器が苦手な日本人職員も使いやすいでしょう。

外国人雇用をきっかけに職場環境の改善に取り組もう

介護人材の必要数は年々増加しており、今後ますます外国人雇用は進んでいくと予想されます。多くの事業所において、外国人雇用の検討も増えていくのではないでしょうか。

ただし、介護現場で外国人雇用を実施する際には、職場環境の改善が必須となります。外国人雇用の導入をきっかけに、介護業務の見直しや使いやすいツールの活用など、誰もが働きやすい環境づくりに取り組んでいきましょう。

介舟ファミリーは、シンプルな操作性で誰でも簡単に使いやすい点が特長の介護ツールです。また、トータルサポートのため、ツールの使い方に不安な場合はすぐに相談できて安心です。介護ツールの導入を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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2024年度介護保険法の改正決定事項とは?今回改正された決定事項を詳しく解説

2024年度介護保険法の改正決定事項とは?今回改正された決定事項をそれぞれ詳しく解説

2024年度に実施される介護保険法の改正は、多くの事業所運営者が注目しています。なかでも気になるのは、介護報酬の改定率ではないでしょうか。社会保障審議会や介護給付費分科会を経て、各サービスや課題の議論、ヒアリングも終了し、いよいよ2024年度の介護保険法改正が決定されました。この記事では2024年改正における決定事項の一部をご紹介します。

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2024年度の介護保険改正とは

2024年度の介護保険改正の概要と目的を確認しておきましょう。

2024年度の改正の概要

厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会」は、2023年12月に審議報告をとりまとめました。大きな柱は4つです。

  1. 地域包括ケアシステムの改定
  2. 自立支援・重度化防止を重視した介護サービスの改定
  3. 良質なサービスと、職場改善の改定
  4. 制度の安定性・持続可能性の確保の改定

介護報酬改定率は+1.59%、基準費用を上乗せして実質約2%アップ

令和6年度の介護報酬改定は改定率1.59%のプラスで決定しました。
そのほかに、賃上げや光熱水費の基準費を上げることで2.04%の増収になる見込みです。また、介護現場で働く職員に対しても、2024年度には2.5%、2025年度には2.0%のベースアップが予定されていますが、配布方法や時期などはまだ決まっていません。2026年度についても、令和8年度の予算編成で検討する予定です。

訪問介護・定期巡回では報酬引き下げ

上記のように介護報酬はアップした一方で、介護事業経営実態調査において収支差率が比較的安定していたためか、基本報酬が引き下げられたサービスもあります。

  • 訪問介護 -2.4%
  • 定期巡回サービス -4.4%
  • 夜間対応型訪問介護 -3.5%

厚生労働省は、介護職員等処遇改善加算において高い加算率を設定しているとして理解を求めていますが、大きな驚きと不満が上がっています。

在宅医療系サービスの改定は6月施行予定

改定はおおむね4月1日に施行されますが、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、居宅療養管理指導の4つのサービスは6月1日施行の見込みです。該当する事業所は、改定内容に対応するなど注意する必要があります。

介護報酬について詳しくは「介護報酬とは?報酬計算の方法や仕組みをわかりやすく解説!」をご覧ください。

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2024年の介護保険改正の決定事項

介護保険法の改正で決定された事項の中からいくつかご紹介します。

業務継続計画(BCP)の未策定事業所に対する減算の導入

業務継続計画が未策定の事業所は、基本報酬が減算されます。しかし令和7年3月31日までの間に、感染症の予防及びまん延の防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には、減算にはなりません。

高齢者虐待防止措置の推進

居宅療養管理指導、特定福祉用具販売を除く全サービスで、高齢者虐待防止の措置が講じられていない事業所は、基本報酬が減算の対象となります。

身体的拘束等の適正化の推進

短期入所系、多機能系サービスでは、身体拘束等の措置が講じられていない場合には基本報酬が減算となります。
訪問系サービス、通所系サービス、福祉用具貸与、特定福祉用具販売 及び 居宅介護支援では、「緊急やむを得ない場合」を除いて身体的拘束等を行ってはならないこととしています。

管理者の責務および兼務範囲の明確化

管理者の責務については「サービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を行うこと」とされ、管理者が兼務できる事業所の範囲についても、「管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内における他の事業所、施設等ではなくても差し支えない」とルールが明確化されました。

ローカルルールについて

人員配置のローカルルールについては、厚生労働省令の範囲内での内容となり、事業者から説明を求められた場合にはその必要性を説明できるようにすることが求められます。

重要事項等のインターネット上での公表の義務化

重要事項等は、書面掲示とインターネット上での公表の双方が必要となります。介護事業者は、法人のホームページまたは情報公表システム上に重要事項等の情報を掲載し、いつでも誰でも閲覧できるようにすることが義務化されます。

感染症対応への新たな評価

感染症のパンデミックが発生した際に、医療機関と連携して高齢者を施設内で療養させることができる事業者には、新たな評価が設けられます。評価対象は以下の3点です。

  • 新興感染症の発生の際に、感染者の診療等を請け負う医療機関(協定締結医療機関)と連携体制を構築していること
  • 新型コロナウイルス感染症を含む一般的な感染症について、発生時の対応を協力医療機関等と取り決めるとともに、連携して適切な対応を行っていること
  • 医療機関等(感染症対策にかかる一定の要件を満たす必要があります)や地域の医師会が定期的に主催する感染対策に関する研修に参加し、指導などを受けること

BPSDの防止、早期対応に向けた取り組みへの評価

認知症チームケアの評価に新加算が設けられます。

一体的計画書の見直し

利用者を重症化させないという観点から、リハビリ・機能訓練、口腔、栄養を一体的に計画してサービスを提供することが推進されます。

一体的計画書について詳しくは「【2024年度介護保険法改正】一体的計画書とは?一体的計画書について詳しく解説」をご覧ください。

訪問系、短期入所系の口腔管理に関わる連携

事業所と歯科専門職を連携させて、適切な口腔管理を目指すことから、口腔関連強化加算が新設されます。

ユニットケア施設管理者研修

個室ユニット型施設を運営する管理者には、ユニットケア施設管理者研修の受講が努力義務となります。

科学的介護推進体制加算の見直し

科学的介護推進体制加算についても見直され、LIFEへのデータ提出の頻度が6か月に1回から3か月に1回となります。 LIFEについて詳しくは、「科学的介護情報システム(LIFE)とLIFE加算をわかりやすく解説!」をご覧ください。

ADL利得の計算方法の簡素化

ADL維持等加算の際のADL利得の値が変更になり、ADL利得の計算方法が簡素化されます。

排せつ支援加算の評価対象の追加

排せつ支援加算における評価対象のアウトカムに尿道カテーテル抜去が追加となります。

褥瘡(じょくそう)マネジメント

施設入所時に認められるなど、既にある褥瘡の治癒も評価の対象となります。

処遇改善3加算は「介護職員等処遇改善加算」に

以下3つの加算は一本化され、「介護職員等処遇改善加算」となります。

  • 介護職員処遇改善加算
  • 介護職員等特定処遇改善加算
  • 介護職員等ベースアップ等支援加算の各加算

外国人介護人材の人員配置基準の見直し

就労開始から6か月未満のEPA介護福祉士候補者や技能実習生は、条件を満たすことで就労開始から人員配置基準に算入できるようになります。

介護保険法改正における懸念点

2024年度の介護保険法改正は、2025年に団塊世代が後期高齢者となる現状を見据えた改正ともいわれています。2割自己負担の対象拡大や、処遇改善加算の一本化などが実施された際は、介護保険請求時の事務作業が煩雑になることが十分に予測できます。また、前述のとおり2024年の介護保険法の改定では介護報酬改定率1.59%を打ち出しています。そのため、申請手続きの書類の提出がさらに増えることも懸念されます。

2024年度の介護保険法改正への準備は介護ソフトの導入から

2024年度の介護保険法改正に向けて、事業所の運営責任者は、今から対策をしておく必要がありそうです。ICT化を進める厚生労働省は、介護ソフト導入を前提に書類作成の義務化を推し進めることは十二分に考えられます。
介護ソフト未導入、またはリプレイスを考えている事業所は、この機会に検討することをおすすめします。改正が始まってからでは、余裕を持った検討が難しくなるかもしれません。
介舟ファミリーの介護ソフトは、トータルサポートが受けられるため、介護ソフトが活用できるかどうか不安な事業所であっても安心です。また、誰でも直感的に操作ができる見やすい設計となっており、パソコンやタブレット操作が苦手なスタッフでもすぐに使いこなすことができるので、円滑な業務遂行が期待できます。

この機会に「介舟ファミリー」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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【2024年度介護報酬改定】人員配置基準の緩和の内容とは?それぞれ詳しく徹底解説!

【2024年度介護報酬改定】人員配置基準の緩和の内容とは?それぞれ詳しく徹底解説!

2024年度の介護報酬改定では、さまざまな介護保険サービスにおいて、人員配置基準が緩和される内容となりました。緩和の対象や内容が多岐にわたるため、自身の事業所にどの部分が影響するのか、どのように対応すればよいのか、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
この記事では、2024年度の介護報酬改定のなかでも人員配置基準に焦点を当てて、詳しく解説していきます。

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2024年度の介護報酬改定についておさらいしよう

まずは、2024年度の介護報酬改定の基本について、簡単におさらいしておきましょう。今回の介護報酬改定では、人口構造や社会経済状況の変化を踏まえたうえで、次の4つを基本的な視点とし、改定が行われました。

地域包括ケアシステムの深化・推進

高齢者とひと口に言っても、元気に過ごしている人だけでなく、認知症を患っている人やひとり暮らしの人、医療ニーズが高い人など、それぞれの抱えている状況はさまざまです。介護保険では、多種多様な状況にある高齢者に対し、質の高いケアマネジメントや必要なサービスを滞りなく提供できる体制を整える必要があります。今回の介護報酬改定では、地域の実情に合わせ、柔軟かつ効率的な取り組みを進めることや、医療と介護の連携の推進などを行っていくことで、高齢者が自分らしく生活できるよう地域包括ケアシステムを深化・推進していきます。

自立支援・重度化防止に向けた対応

高齢者が自立した生活を送っていくためには、心身機能や持病等の症状を重度化させないことが大切です。介護報酬改定により、高齢者に関わる多職種が連携できる仕組みを取りつつ、LIFE等のデータの活用促進を図っていきます。

良質な介護サービスの効率的な提供のための働きやすい職場づくり

介護業界では、慢性的な介護人材不足に悩んでいます。介護人材が不足するなかでも、提供するサービスの質の向上は図り続けていかなければなりません。処遇改善や生産性向上を通じて、働きやすい職場環境づくりを行い、効率的なサービスが提供できる仕組みを推進しています。

制度の安定性・持続可能性の確保

評価の適正化や重点化、報酬の整理や簡素化を図ることで、介護保険制度の安定性や持続可能性を高め、すべての世代にとって安心できる制度の構築を目指していきます。
2024年度の介護報酬改定の全容については、「2024年介護保険法改正はどうなる?政府提言のポイントをわかりやすく解説」で詳しく解説していますので、ぜひお読みください。

2024年度介護報酬改定における人員配置基準の緩和内容

2024年度介護報酬改定では、人員配置基準の緩和に関わるものが多くあります。詳しく見ていきましょう。

外国人介護職員の人員配置基準緩和

2024年度の介護報酬改定では、外国人介護職員の人員配置基準が緩和されました。これまで、就労開始から6か月未満のEPA介護福祉士候補者と技能実習生は、日本語能力検定のN1もしくはN2の合格者だけが人員配置基準の対象となっていました。 しかし、今回の介護報酬改定では、就労から6か月未満の外国人介護職員であっても、日本語能力や指導の実施状況、管理者や指導職員等の意見等を考慮したうえで、以下の要件を満たしていれば、就労開始直後から人員配置基準に算入できます。
  • 事業所が当該外国人介護職員を人員配置基準に参入することについて意思表示を行っている
  • 一定の経験のある職員とチームでケアを行う体制である
  • 安全対策担当者の配置や指針の整備、研修の実施など、安全対策実施のための組織的な体制を整備している
ただし、外国人介護職員の受け入れについては、人員配置基準への参入の有無にかかわらず、受け入れ施設として適切な指導や支援体制の確保が必要です。例えば、研修または実習のための指導職員を配置したり、計画に基づいて技能等が習得できるようにしたりといった学習への配慮を行わなければなりません。

ローカルルールにおける人員基準緩和

2024年の介護報酬改定では、都道府県と市町村に対して、人員配置基準におけるローカルルールについては、「厚生労働省令に従う範囲内で地域の実情に応じた内容とする」と言及されました。そして、都道府県及び市町村は、事業者からローカルルールについての説明を求められたときには、そのルールの必要性について説明できるようにしておかなければなりません。

夜間の人員配置における緩和

夜間帯の人員については、介護老人保健施設とグループホーム、特定施設で人員配置基準が緩和されました。 まず、ユニット型を除く介護保険施設では、以下の要件を満たした場合、1日当たりの配置人員数が現行の2人以上から1.6人以上に緩和されることとなります。
  • 全利用者に見守りセンサーを導入すること
  • 夜間職員全員がインカム等のICTを使用すること
  • 職員の負担軽減等への配慮と委員会の設置や安全体制等の確保を行うこと
ただし、常時1人以上の人員配置は必要ですので、注意しましょう。また、利用者40人以下で緊急時の連絡体制を常時整備している場合には、現行通り1人以上の配置が必要です。 次に、グループホームの夜間の人員配置を見ていきましょう。グループホームの夜間支援体制加算では、現行の常勤換算方法で事業所ごとに1人以上の夜勤職員又は宿直職員を加配するという要件とは別に、要件が新設されました。新たな要件では、利用者に対する見守り機器の導入割合が10%あり、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保と、職員負担軽減のための方策を検討する委員会が設置してあり、必要な検討が行われている場合には、事業所ごとに常勤換算方法で0.9人以上の夜勤職員でも算定が可能となりました。
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居宅介護支援における人員配置基準の緩和

居宅介護支援では、基本報酬における取扱件数との整合性を図るため、常勤の介護支援専門員の人員配置基準が変更となりました。まず、利用者の数のうち、要支援者の数については、従来は要支援者の人数×2分の1で換算していましたが、改定後は3分の1での換算となっています。そのうえで、介護支援専門員1人当たりの取り扱い件数が、これまでの35から44に変わります。 さらに、指定居宅介護事業所がケアプランデータ連携システムを利用したうえで事務職員を配置している場合には、介護支援専門員1人当たりの利用者数は49までとなりました。要支援者の数が2分の1から3分の1換算になり、取り扱い件数の上限が44に増えたことで、実際に介護支援専門員が担当する件数はより多くなることでしょう。

個別機能訓練加算の人員配置要件の緩和

通所介護と地域密着型通所介護では、個別機能訓練加算における人員配置要件が一部緩和となります。今回の介護報酬改定では、個別機能訓練加算(Ⅰ)ロについて、85単位から76単位に下がる代わりに、通所介護の提供時間を通じて専従1名以上の配置から、配置時間の定めなしに変更となりました。この改正により、専従の個別機能訓練指導員は、別の職務に配置することや、別事業所で機能訓練指導員として従事することができるようになります。

両立支援への配慮に伴う人員配置基準の緩和

介護現場では、子育て中の人や家族の介護をしている人、持病を持っている人など、さまざまな人が働いています。これまで、育児と仕事の両立については、育児・介護休業法による短時間勤務制度や母性健康管理措置による短時間勤務を行っている人の場合、一定条件の下で常勤換算の計算上1として取り扱うことが可能でした。 今回の改定では、上記に加え、治療と仕事の両立ガイドラインに沿って事業者が自主的に設ける短時間勤務制度を利用している人がいる場合、週30時間以上勤務していれば、常勤換算での計算上も1として扱うことが認められるようになります。

兼務範囲とテレワークに関する人員配置基準緩和

今回の改定では、管理者の責務と兼務範囲、テレワークに関する人員配置基準の緩和も明言されています。 まず、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内にあるほかの事業所や施設等ではない事業所であっても、兼務して差し支えないとの通達が出ました。ただし、利用者へのサービス提供の場面等で起こる事柄をしっかりと把握し、職員や業務の一元的な管理や指揮命令を行うことが責務であることを、明確化しておかなければなりません。 テレワークについては、人員配置基準等で具体的な必要数を定めている職種については、個人情報を適切に管理し、利用者の処遇に支障が生じないことを前提としたうえで取り扱いを明確化し、職種や業務ごとに具体的な考え方を示すこととなりました。ただし、居宅療養管理指導はテレワークの取り扱いの対象ではありません。

人員配置基準の緩和に対応するためICT化を進めよう

今回の介護報酬改定における人員配置基準の緩和では、介護ロボットやICT等のテクノロジー導入といったツール活用が要件となっているケースが散見されます。介護を担う人材不足が慢性化しているなか、今ある人材を守り活かすためには、テクノロジーの活用が必要不可欠となってきています。
今後、ますますICT化の流れは広がると予想され、近い将来には介護ロボットやICT等が介護現場に欠かせないものとなってくることでしょう。この流れに乗り遅れないためには、介護ソフトなどのツール導入が重要となります。

介舟ファミリーなら、操作方法から制度に関することまで、専任スタッフからサポートが受けられるので、改正時にもスムーズな対応ができます。今回の介護報酬改定を機に、使い勝手の良い介護ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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介護現場の無駄な業務を削減!具体的な方法と円滑な進め方とは

介護現場の無駄な業務を削減!具体的な方法と円滑な進め方とは

介護業界には無駄な業務が多いといわれています。無駄な業務が多いと、現場の負担を増やし、職員が利用者と向き合う時間が作れず、介護の質を下げてしまったり、離職率の増加にもつながったりします。業務のどこに無駄があるのか、どう改善すればいいのか、わからずに悩んでいる事業所も多いのではないでしょうか。この記事では、介護現場における無駄な業務を知り、業務改善を円滑に進める方法を紹介します。

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介護現場における無駄な業務とは?

介護事業所を運営していると、無駄な業務が見えてくることがあります。現場で働く職員のなかには、「この業務は無駄では?」と思いながら仕事をしている人もいるかもしれません。無駄な業務が多いほど、現場で働く職員の負担は増えるため、無駄な業務は減らしていく必要があります。
この無駄な業務を洗い出すときの考え方として、押さえておきたいのが3Mという考え方です。3Mとは、業務改善を行ううえで対策すべき原因であるムリ・ムダ・ムラの頭文字の言葉です。もともとは製造業の業務改善でトヨタが提唱した考え方のひとつで、3Mを削減することが業務改善につながるといわれています。

介護業務における3Mについて、詳しく見ていきましょう。

介護業務の3M「ムリ」

介護業務における「ムリ」とは、働く職員に能力以上の成果を求めてしまい、職員の心身に過度の負担がかかっている状態をいいます。たとえば、大柄で介護量の多い利用者の介助を小柄な職員が1人で実施する、十分な教育をされないままにキャリアの浅い職員がいきなり1人夜勤に入る、といったことがムリに該当します。慢性的な人材不足に悩まされている介護現場においては、残念ながら起こりがちともいえるでしょう。

介護業務の3M「ムダ」

介護業務における「ムダ」とは、能力に対し負荷が低く、本来であれば省略できる業務のことをいいます。たとえば、介護記録やバイタル記録を何度も転記しなければならないような体制になっていたり、チェック表がいくつもあったり、といった状況が該当します。また、記録を見ればわかる内容を再度口頭で行う申し送りや、作成に時間がかかるシフト作成は、効率化できる部分が多いことから、ムダな業務に該当します。

介護業務の3M「ムラ」

介護業務における「ムラ」とは、職員や時期によって業務にムラがある状況をいいます。よく見られるムラには、マニュアルどおりに仕事を行う職員と、自己流で仕事を行う職員によって、業務に差が出てしまうことで、状況によっては利用者に負担が生じることもあります。また、曜日や時間帯によって職員の人数にばらつきがあり、食事介助やおむつ交換などに時間がかかってしまうケースも該当します。請求業務は、月初や月末に仕事が集中する傾向があるため、ムラがある業務といえるでしょう。

なぜ介護事業所で業務改善が重要なのか?

介護事業所にとって、介護業務の無駄を省き業務改善していくことは、なぜ必要なのでしょうか。日本は超高齢社会であり、介護ニーズは年々増加し、多様化がすすんでいる状況です。しかし、必要な介護人材には到底足りておらず、現場に負担がかかっている状況は以前から変わっていません。今後も、人手不足の解消には長い時間がかかることでしょう。

人手不足が解消できないなかで、介護職員の負担を軽減するためには、業務内容の見直しや効率化を図っていくことが必要です。もし不必要な業務を改善することができれば、職員の負担は軽減でき、本来の業務である介護業務に集中することができるでしょう。その結果、職場環境は改善するため、職員の働く意欲が向上し、離職率の低下につながります。また、職員が定着することで介護技術や知識も向上するため、介護の質は向上していき、利用者にもより質の高いサービスが提供できるようになるのです。

介護事業所の無駄な業務を減らす方法

介護事業所の無駄な業務を減らす方法のひとつとしてICT化が注目されています。ここでは、無駄な業務の削減につながる具体的なICT化の方法を紹介します。

介護ソフトの活用

特に導入が進んでいるのが、介護ソフトです。ケアプラン作成や記録業務、請求業務、スタッフ管理に至るまで、データを相互に連携させることで手入力を減らし大幅な業務効率化を図ることができます。現場からのデータ入力や確認ができるクラウド型ソフトであれば、リアルタイムでの情報共有が可能です。
最近ではバイタル測定機器からのデータ取り込みやケアプランのオンライン連携といった機能を持つソフトもあります。
自施設の規模や状況は、ソフト導入当時から変化している場合もあるでしょう。そのため、使用中のソフトが現在の自施設に適しているかどうかを再評価することも重要です。適切なソフトへのリプレイスによって、業務の無駄を減らせる場合もあります。

介護ソフトの選び方で悩んでいる方はいませんか?

その悩み、ダウンロード資料を読んでいただければすべて解決できます。

インカムの導入

広い施設や入所施設では、インカムを導入が有効です。離れた場所でも複数人がリアルタイムでコミュニケーションをとれるため、円滑な情報共有ができ、業務も効率化します。

排せつ予測機器の導入

排せつ予測機器を導入すれば、利用者の状況に合わせたトイレ誘導が可能となり、利用者の自立排せつ支援や、職員にとって排せつ介助の効率化につながります。

見守りシステムの導入

夜勤者の負担を軽減するのであれば、見守りシステムを導入するとよいでしょう。センサーやモニターで利用者の行動を察知し、異常時には職員に通知してくれます。そのため、夜間や定期巡回回数を減らせ、職員の介護負担を軽減できるでしょう。

介護現場をICT化することで業務改善を行う取り組みは、介護DXといわれています。介護DXについては、以下の記事に詳しく紹介しています。

ただ、介護DXを進めるうえでネックになるのが費用面です。しかし、費用面については、ICT補助金を利用することで、導入の負担が軽減できるでしょう。

介護事業所の業務改善を円滑に進める3つのポイント

介護事業所の業務改善を進めていくためには、ポイントを押さえて実施していく必要があります。業務改善の円滑な進め方のポイントを3つ紹介します。

①業務改善を行う目的を明確化し共有しよう

業務改善を行う際には、まず実施する目的を明確にすることが大切です。業務改善を実施していく介護現場には、たくさんの職員が関わっています。目的がわからないままに業務改善が進めば、不満に思う職員も出てくるかもしれません。なぜ今業務改善を行うのか、目的を明確化して職員間で共有し、事業所全体で同じ方向を向いて、業務改善に取り組むようにしましょう。

②現場の声をヒアリングして課題を可視化しよう

業務改善を行う際には、今ある課題をしっかりと把握しなければなりません。課題は現場にあることがほとんどですので、現場職員の声を聞く必要があります。課題把握シートや気づきシートを活用し、現場職員からヒアリングを行う体制を整えましょう。ヒアリングした内容を基に分析を行い、課題を可視化した後は、職員と課題を共有することも忘れてはいけません。

③業務改善が適切に実施できたか定期的に振り返ろう

業務改善に取り組んだ後は、どういう成果が出たかを必ず振り返りましょう。振り返るときには、進捗管理シートのように可視化できるツールがあると、複数の職員が参加する場合にも成果や課題がわかりやすく、話し合いがしやすくなるでしょう。業務改善の振り返りを行った結果、修正すべき点は速やかに修正します。修正した点については、再度評価も忘れないようにしましょう。定期的に振り返りを行うことで、徐々に無駄な業務は減らしていけるようになります。

現場の負担を減らして介護の質を高めよう

介護現場の無駄な業務を減らすことは、事業所で働く職員の負担を軽減し、働きやすい環境を作ることにつながります。快適な労働環境を整備することで、職員は個々の介護ニーズに丁寧な対応をとる時間が確保できるため、事業所全体の介護の質を高めることができるでしょう。働きやすい環境づくりを目指し、まずは無駄な業務の洗い出しを始めてみてはいかがでしょうか。

現場に合った介護ソフトの導入は、無駄な業務を減らせる方法のひとつです。介舟ファミリーは、計画・記録・請求業務を一気通貫で行うことができるので、転記ミスの防止だけでなく、ダブルチェックが不要になります。スタッフ間の情報共有もリアルタイムで行うことができます。ぜひご検討ください。

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新型コロナ5類移行後で介護現場はどう変わる?

新型コロナ5類移行後で介護現場はどう変わる?

新型コロナウイルス感染症について、2023年5月8日から感染症分類が5類に移行しました。これまで行われていたさまざまな感染対策も、徐々に緩和の方向になってきています。介護報酬の面でも、これまでの臨時的な取り扱いが見直しされており、介護現場ではいろいろな動きがあり不安に感じている人も多いのではないでしょうか。この記事では、新型コロナウイルス感染症の「5類移行」が介護現場に与える影響と今後の注意点について、詳しく解説します。

5類移行後のコロナ特例措置の概要と介護現場に与える影響

新型コロナウイルス感染症の取り扱いは、2023年5月8日に感染症分類の2類から5類へ移行しました。しかし、5類移行後も新型コロナウイルス感染者が発生するリスクはあります。そのため、新型コロナウイルス感染者が出ても安定的な介護サービスの提供が実施できるよう、介護報酬上の臨時的な取り扱いについての見直しが行われました。

具体的な見直しポイントは、以下のとおりです。

  • 利用者や職員が新型コロナウイルスに感染しても、安定的にサービス提供を行うために必要な臨時的な取り扱いや、ワクチン接種を促進するための臨時的な取り扱いについては、当面継続。
  • 感染対策を行ったうえで合理的な取り扱いに見直すことができるものについては、見直しを行ったうえで臨時的な取り扱いを継続。
  • 臨時的な取り扱いがなくても必要なサービスを提供することができるものについては、2023年5月7日をもって取り扱いを終了。

介護現場が知っておくべき5類移行後の特例措置の内容

新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い見直しとなった特例措置の内容のうち、介護現場が知っておくべきものについて詳しく見ていきましょう。

当面継続するもの

5類移行後も当面の間、利用者や家族、職員などに新型コロナウイルスの感染者が出た場合にも、安定的にサービスが提供できるための特例や、感染を予防するためのワクチン接種の促進のための特例などは継続します。

例えば、ワクチン接種の促進のための特例は、利用者にワクチンを接種するために職員が従事する場合、人員基準の柔軟な取り扱いを行う、サービス利用中のワクチン接種について減算を行わないといった措置です。この特例は、全サービス共通です。

入所系サービスでは、退院患者を受け入れた場合の入退院前連携加算の算定が最大30日間可能になる取り扱いについては継続となります。また、退院患者を受け入れた場合の人員基準の取り扱いも当面継続です。さらに、在宅復帰率やベッド回転率に連動する報酬については、影響を受けた月を除いて計算可能とする取り扱いも継続されます。

通所系・訪問系では、通所系の事業所が休業になった際に代替として訪問でのサービスを提供した場合、通所サービスと同等の報酬が算定可能となる取り扱いが、当面の間継続となっています。

一定の要件のもと継続するもの

一定の要件のもと継続するものは、2種類あります。どちらも、全サービス共通です。

1点目は、感染者へのサービス提供の有無を問わず、幅広く新型コロナウイルスの影響があった場合に人員基準違反・減算としない特例です。この措置については、利用者や職員に感染者が発生した場合において、柔軟な取り扱いを継続することになりました。

2点目は、研修が受けられない場合の特例です。下記に示す研修については、実習や実地研修に限り、新型コロナウイルスの影響によって未受講となった場合でも、基準違反や減算を行わないことになりました。

  • 介護支援専門員実務研修
  • ユニットリーダー研修
  • 認知症グループホーム管理者等に対する認知症介護実践者研修

終了するもの

5類移行に伴い、各種制限が緩和されます。緩和の結果として特例的な取り扱いがなくても必要なサービスを提供することができるものについては、2023年5月7日をもって特例が終了となりました。

例えば、これまでの新型コロナウイルス感染症への緊急的・社会的対応を踏まえた以下の特例については、すべてのサービスに共通で、通常どおりサービス提供や事務処理等を行うこととなっています。

  • 災害における取り扱いを参考にした各種サービスや申請、自治体事務の柔軟な取り扱い
  • 外出自粛要請やまん延防止等重点措置、慰労金などに関連した柔軟な取り扱い
  • ケアプランで予定されていたサービス提供が行われない場合の居宅介護支援費の算定
  • 感染拡大防止への対応を評価する観点から行う特例的な取り扱い

入所系では、サービスの簡略化に関する特例について、感染対策をしたうえで通常どおりにサービス提供を行うことになりました。
通所系・訪問系においても、以下の3点については、感染対策をしたうえで通常どおりにサービス提供を行うことで、特例扱いが終了となりました。

  • 感染対策の観点からサービス提供を短時間とした場合の最短時間の報酬算定
  • 安否確認や療養指導、福祉用具貸与計画などの説明を電話で行った場合の一定の報酬算定
  • モニタリングや訪問体制強化加算における、訪問が困難な場合の柔軟な取り扱い

5類移行後に介護サービス事業所の責任者が気をつけること

新型コロナウイルス感染症が5類移行となった以降も、介護サービス事業所の責任者は感染対策を心がける必要があります。そこで、介護サービス事業所の責任者がとるべき感染対策について、通常時と感染時に分けて紹介します。

日ごろからの感染対策

5類移行後、新型コロナウイルスの感染対策の考え方は、個人の選択を尊重し自主的な取り組みを基本とする方向に切り替わりました。しかし、感染時の重症化リスクが高い高齢者や障害者などと接する機会の多い介護事業者については、厚生労働省が日ごろからの感染対策として以下3点について注意を促しています。

マスク着用

マスクの着用については、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断にゆだねられます。しかし、高齢者や障害者などは感染時の重症化リスクが高いため、職員は勤務中のマスク着用が推奨されています。ただし、周囲に人がいない場合や、利用者と接しない場面で会話を行わないようなときには、着用について管理者がその都度判断する運びとなりました。

なお、高齢者施設で高齢者に面会する場面では、マスク着用が推奨されています。

効果的な換気の実施

必要な換気量を確保することは、感染対策の基本です。各施設の実情に応じて換気を行い、感染対策を実施しましょう。もっとも望ましいのは、機械換気による常時換気です。機械換気が適切に行えるよう、定期的な装置確認やフィルター掃除を行いましょう。

機械換気がない場合は、窓開け換気を定期的に実施します。十分な換気量を確保できない場合は、換気扇や扇風機、サーキュレーターの使用や、HEPAフィルター付きの空気清浄機の導入を検討しましょう。

面会時の感染対策

新型コロナウイルス感染症対策として、高齢者施設では長らく面会が中止となっていました。しかし、介護保険施設等の運営基準には、「常に入所者の家族と連携を図るとともに、入所者とその家族との交流の機会を確保するよう努めなければならない」などと記載されています。そのため、厚生労働省も面会の再開を推進しています。

面会を行うことで、入所者と家族のつながりや交流が図れるため、入所者の心身の健康に良い影響を与えます。面会の再開に伴い、面会者には感染経路の遮断の観点から感染対策を実施していることを説明し、理解を得ましょう。

感染者が発生したときの感染対策

感染症対策を実施していても、新型コロナウイルス感染者が発生する可能性はゼロではありません。感染者が発生した場合には、「介護現場における感染対策の手引き」を参考に対応を実施しましょう。 具体的には、感染者にかかわる情報収集や共有に努め、居室や利用した共有スペースの消毒や清掃を行います。感染者や感染の疑いのある利用者のケアにあたる場合には、サージカルマスクやゴーグル、フェイスシールドなどを使用します。

一般的な感染対策を継続し感染リスクを最小限に抑えよう

新型コロナウイルス感染症が5類に移行した現在、これまで制限されていた介護事業所での面会や外出が再開されています。職員だけでなく、利用者も多くの人と接する機会が増えていくなかで、新型コロナウイルスへ感染する可能性も上がることでしょう。これからは、利用者の心身の健康を維持しながらも、感染リスクを最小限に抑えるような対応が求められます。マスク着用や換気などの一般的な感染対策は、今後も続けていきましょう。

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介護リーダーが抱える悩みと解決のためにできる3つのこと

介護リーダーが抱える悩みと解決のためにできる3つのこと

介護現場を円滑に回していくためには、介護リーダーの存在は欠かせません。しかし、介護リーダーは、上司と部下の板挟みになりがちであり、利用者家族との対応に苦慮するなど、ストレスを抱えやすい立場ともいえるでしょう。介護事業所を運営するためには、介護リーダーが抱える悩みを知り、解決に導くことが重要となります。
この記事では、介護リーダーが抱える悩みと解決策について解説します。

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介護リーダーの業務内容と必要なスキルを知ろう

介護リーダーの悩みを知るためには、介護リーダーにはどのようなスキルが必要で、どのような業務を行っているかを理解する必要があります。介護リーダーの業務内容と必要なスキルについて、詳しく見ていきましょう。

介護リーダーが行う業務内容

介護リーダーが行う主な業務内容は、次の3つに分けることができます。

現場で働くスタッフのマネジメント

介護リーダーの仕事としてまず挙げられるのが、現場で働くスタッフのマネジメントです。具体的には、現場で働くスタッフの勤務管理や調整、普段の仕事の割り振りなどを行います。シフト作成を行う介護リーダーの場合、スタッフの希望だけでなく、事業所内でのイベントに合わせて人数調整を行う必要があるため、事業所全体の流れを把握しておかなければなりません。
普段の仕事の割り振りを行うためには、一人ひとりの職員の状況を把握しておく必要もあります。まだ経験が浅い職員がいる場合は、指導役と一緒に配置するといった配慮が欠かせません。

また、現場スタッフが働きやすいような環境を整備することも、介護リーダーの仕事のひとつです。必要物品の配置や相談しやすい雰囲気づくりなど、いろいろなことに気を配る必要があります。

介護職員の教育・育成

介護職員の教育や育成も、介護リーダーの大切な仕事です。新人職員に対しては、自らが育成を行うだけでなく、誰を教育担当にするかといった人選も行います。OJTが滞りなく進められるよう、日々の担当者を選出したり、評価を行ったりします。
また、職員全体の介護技術や知識の底上げのため、研修計画を作成し、研修を開催する仕事もあります。事業所内で定期的に研修を開催している場合には、年度初めには計画を発表し、年度が終わるころに振り返りをして、次年度の研修がよりブラッシュアップできるようにします。
介護職員の教育や育成の取り組み方については、「介護現場の人材育成はなぜ重要?メリットや取り組み方を解説」のコラムに纏めていますのでぜひ参考にしてみてください。

他部署、他職種との連絡・相談、家族とのやりとり

介護リーダーは自分の所属部署だけでなく、他部署や他職種との連絡や相談などを行う立場にあります。具体的には、利用者の担当ケアマネジャー(ケアマネ)やリハビリスタッフなどとのやり取りが多くなります。そのため、普段から利用者の状況をしっかり把握しておかなければなりません。また、利用者に変化があったときには、リーダーからケアマネやリハビリスタッフなどに相談することもあります。

利用者家族とのやり取りも、主に介護リーダーが行います。家族から自宅での様子や希望などを聞くことも少なくありません。ときには、苦情対応をすることもあります。特に、緊急時の連絡対応は、利用者の状況を把握している介護リーダーが行っていることが多いでしょう。

介護リーダーに必要なスキル

介護リーダーに必要なスキルには、主に次の5つがあります。

介護に関する高度な知識と技術

介護リーダーは、どのような状況になっても適切に判断して、臨機応変に対応しなければいけません。そのためには、介護に関する高度な知識と技術を持ち合わせておく必要があります。介護職として長く経験を積んだ人や、介護福祉士の資格を持っている人などが選出されることが多いでしょう。

指導力

介護リーダーは、介護職員を指導する立場にあります。介護現場は他職種からの転職組も多いことから、さまざまなタイプの職員がいると推測されます。どのような人であっても、その人に合わせた指導を行う必要があるため、介護リーダーにはしっかりとした指導力が求められます。

マネジメント力

利用者に適切なサービスを提供するためには、誰が対応しても利用者に同じ対応ができるようにしておかなければなりません。そのため、介護の質にばらつきが出ないよう、介護職員の育成や適切な配置などを行うマネジメント力が求められます。

リーダーシップ

ひとつの職場を統括していくためには、リーダーシップは重要な要素となります。介護リーダーは全体を引っ張っていく立場にあるため、リーダーシップは必要不可欠なスキルといえるでしょう。

コミュニケーション能力

介護職は、人と人との関わりが基本となります。介護リーダーは職員間だけでなく、他部署や他職種、利用者家族との関わりも多くなります。そのため、他の職員に比べてよりコミュニケーション能力に長けている必要があります。

介護リーダーが抱えがちな4つの悩み

介護リーダーは、その立場からさまざまな問題を抱えがちです。そのなかでも、代表的な4つの悩みについて、見ていきましょう。

業務量が多い

介護リーダーは通常業務を行いながら、リーダー業務もこなしています。そのため、他の職員に比べると必然的に業務量が多いといえます。
必要な人材が確保されていれば、通常業務を他の職員にある程度任せることができるでしょう。しかし、介護業界はどの現場でも人材不足に悩んでいることが多く、結果として介護リーダーの仕事を減らせないというジレンマに陥っています。特に、アクシデントが発生したときには、介護リーダーが率先して動く必要があるため、介護リーダーの負担がさらに増加します。
リーダー業務は他の人に変わってもらうことができないため、介護リーダーはどうしても業務量が多くなってしまうのが現状です。

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上司と部下の板挟みになりやすい

介護リーダーは、管理職と部下のパイプ役といった立ち位置です。管理職が求めるものと部下の思いの差が大きいほど、介護リーダーは板挟みになりやすいでしょう。なんとか差を埋めようと悩む介護リーダーも多く、ストレスに苛まれ心身のバランスを崩してしまうケースもあります。

指導が思うようにいかない

介護リーダーは人を育てる立場でもあります。しかし、思うように人が育たないことや、育てたと思ってもすぐに辞めてしまうケースも少なくありません。
特に、思い悩むケースとなるのが、年上の部下に対する指導です。介護業界は異業種からの転職者も多く、40代50代の新人が入社してくることがよくあります。リーダーとして注意したことが「偉そうにしやがって」と捉えられてしまったというケースもあり、年上の部下に対する指導に苦手意識を持つ介護リーダーもいます。

家族からの苦情に対応せざるを得ない

介護リーダーは現場の責任者という立場です。そのため、家族からの苦情があった場合、リーダーが対応せざるを得ません。苦情対応はストレスのかかる仕事であり、状況や対応方法によっては長引くケースもあり、思い悩む人も少なくないでしょう。

介護リーダーの悩みを解決するために必要な3つのこと

介護リーダーの悩みを解決するために、介護事業者ができることには、次の3つが挙げられます。

定期的なストレスケアを実施する

介護リーダーは職員の育成や家族の苦情対応など、ストレスのかかる仕事を担当します。介護リーダーがひとりで悩みを抱え込んでしまうと、休職に追い込まれることもあるでしょう。介護リーダーがひとりで悩むことのないよう、組織全体で情報が共有できる仕組みを作ることが大切です。職員の相談窓口が設置されていない事業所では、相談窓口の設置を検討しましょう。また、定期的な面談の機会を作ったり、ストレスケアの健康診断を行ったり等、定期的に相談できる体制づくりも大切です。

正当な評価を得られる仕組みを作る

介護リーダーのなかには、「自分の仕事に対する責任や仕事量に対して正当な評価が得られていない」と感じている人もいます。介護リーダーの責任や仕事量に対する評価が正当なものであるか、もう一度確認してみましょう。そのうえで、評価が適切ではないようならば、評価制度を見直し、介護リーダー自身が正当な評価を得ていると感じられる体制づくりをしていきましょう。

業務量を見直して負担軽減を図る

介護リーダーは、通常業務とリーダー業務の両方を行うため、業務量が多くなりがちです。介護ソフトや介護ロボットの導入など、ICT化を図ることで業務が効率化できないか検討してみましょう。ICT化として取り組みやすいのが、介護ソフトの導入です。介舟ファミリーなら、わかりやすい画面と操作性で初めてでも使いやすく、サポート体制も徹底しています。介護リーダーの負担軽減を図るためにも、介護業務の効率化を目指しましょう。

介護リーダーの悩み解決には組織全体で取り組もう

介護リーダーが抱える悩みは個人の問題ではなく、組織全体として取り組むことが大切です。組織の問題として捉えることで、介護リーダーが持つ能力を十分に発揮してもらうことができ、現場の仕事は円滑に回っていくことでしょう。介護リーダーの悩みを解決する方法のひとつとしておすすめしたいのが、介護ソフトの導入による業務効率化です。介舟ファミリーはサポート体制がしっかりしているため、初めて介護ソフトを使う事業所でも安心して使うことができます。この機会に介護ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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介護M&Aのポイントを知って介護施設の問題を解決しよう

介護M&Aのポイントを知って介護施設の問題を解決しよう

介護業界全体の悩みともいえるのが、人材不足の問題です。令和3年度介護労働実態調査によると、介護サービス事業の運営上の悩みで最も多いのが、「良質な人材確保が難しい」ということでした。どの介護事業所でも、良質な人材確保に頭を悩ませているのではないでしょうか。この問題を解決するひとつの方法として検討したいのが、介護施設のM&Aです。しかし、介護M&Aがどういうものなのかわからない人が多いかもしれません。
この記事では、介護M&Aの概要とポイントについて解説します。

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介護M&Aで解決したい介護施設の課題とは

介護施設を運営していると、さまざまな課題が浮き彫りになります。
課題を解決する方法として、昨今注目されているのが、介護M&Aです。
介護施設が抱える課題のうち、介護M&Aで解決できる課題として代表的なものには、次の3つがあります。

良質な人材の確保が難しい

近年、処遇改善に関する加算が増えたことで、介護職の給料の底上げが改善されています。ところが、経営に悩む事業所では、今の介護報酬では人材確保や定着のために必要な賃金を払うだけの余裕がないというところも少なくありません。十分な賃金を払うことができなければ、良質な人材の確保は難しくなります。

介護M&Aを実施した場合、経営が安定して賃金を確保することができます。また、買い手側の事業所から経営豊富な人材を異動してもらうこともできるため、良質な人材が確保できる可能性が広がるでしょう。

経営が苦しく労働条件や労働環境改善をしたくてもできない

経営が苦しいため、思ったような労働環境を整備できないという問題にも、介護M&Aは有効な手段といえます。従業員が働きやすいよう、労働環境をより良くしたいと考えている事業所は少なくないでしょう。

ところが、経営が苦しい事業所の場合、日々の運営に精いっぱいで労働環境を改善するまでの余力がありません。労働条件や労働環境が改善できず、従業員が退職してしまうこともあります。

そこで、介護M&Aによって経営状態が安定すると、労働条件や労働環境の見直しを行うことも可能となります。労働条件や労働環境が改善されれば、従業員の雇用も安定するため、サービスの質の向上にもつながるでしょう。

後継者がおらず今後の経営が不安

介護保険法が始まって20年以上が過ぎ、後継者問題に悩む事業所も出てきました。現在は事業運営に問題がなくとも、後継者がいなければ将来的に事業の継続は難しくなります。後継者がいないと、いずれ今抱えている利用者や従業員が路頭に迷うことになってしまうでしょう。

この問題も、介護M&Aで解決することができます。後継者がいなくても、介護M&Aによって買い手が事業を引き継いでくれれば、廃業の危機は回避できる可能性が高くなります。そして、大切な従業員の雇用を守ることもできるでしょう。

また、近年は金融機関や取引先が与信判断の材料として、後継者の有無を重要視する傾向にあります。今後も健全に経営していくための手段として介護M&Aを実施すると、事業所そのものの信用性が高まる可能性は高くなると考えられるでしょう。

介護施設におけるM&Aの実情を知ろう

国内のM&A件数が増加していくなかで、介護施設のM&Aも徐々に増加しています。2012年からはM&Aの件数は急増しており、本格的なビジネス強化や新規参入に踏み切る企業が増えてきました。

大手の介護事業所によるM&Aでは、介護事業最大手のニチイ学館が2021年の株式会社西日本ヘルスケアの完全子会社化を皮切りに、毎年介護M&Aを行っています。また、関西大手のケア21も、2014年に名古屋のグループホームを子会社化して以降、徐々にM&Aを行い、2021年からは訪問介護を中心としたM&Aを実施しています。国は介護事業所の大規模化・協働化を推進する方向に動いていることから、国の動きが介護M&Aの追い風になる可能性も考えられるでしょう。

また、介護関連ビジネスの将来性を期待して、異業種からの参入も増えています。2015年にはSOMPOホールディングスがワタミの介護を完全子会社化しました。2017年には、野村不動産ホールディングスがJAPANライフデザインに資本参加しています。異業種からの参入は、本業との相乗効果により、今までになかった新たな介護サービスを生み出すでしょう。生み出された新サービスが高齢者のニーズにマッチすれば、満足度は高くなり事業所全体の評価につながります。このことから、今後も異業種大手企業からの参入は増加していくのではないでしょうか。

介護施設がM&Aで得られるメリット

介護施設がM&Aで得られるメリットを、売り手側と買い手側に分けてそれぞれに見ていきましょう。

売り手側のメリット

売り手側のメリットには、次の3つがあげられます。

大きな資本を持つ会社の傘下に入ることで安定した経営が維持できる

売り手側は経営に悩んでいるケースが少なくありません。大きな資本を持つ会社の傘下に入れば、経営母体が大きくなるため、安定した経営を維持することができます。

雇用が維持され労働環境の改善ができスタッフのキャリアアップにつながる

人材不足や定着に悩む売り手の場合、M&Aを行うことで経営が安定し、必要な賃金を支払えるようになり、雇用の維持が可能となります。また、労働環境を改善することもでき、スタッフのキャリアアップにつなげられるでしょう。

大きな資本を持つ会社の傘下に入ることで安定した経営が維持できる

M&Aによって売り手側の経営者は売却益が得られます。まとまった金額を得ることになるため、将来の人生設計に必要な資金とすることができます。人生100年時代に間もなく到達するともいわれているなかで、安心して人生設計を行えるでしょう。

買い手側のメリット

買い手側のメリットには、次の2つがあります。

展開していなかった地域や新たなサービスへ容易に参入できる

事業を展開していくうえで、新たな地域やサービスにゼロから挑戦していくことには困難が伴います。しかし、M&Aを活用すると、既存の施設や従業員、利用者を引き継ぐことができるため、早期に収益基盤を整えることが可能でしょう。

売り手側のノウハウを得ることでサービスの創り上げや人材募集や育成の手間が省ける

買い手側は売り手側のノウハウを得ることができます。売り手側が持っているノウハウには、サービスに関するものや人材育成に関わるものなどがあります。新規に参入するのであっても、M&Aならば、ゼロからのサービスの創り上げや人材育成の手間を省くことができるでしょう。

介護施設M&Aを実施した際に起こり得るデメリット

M&Aにはメリットだけでなく、当然ながらデメリットもあります。介護施設のM&Aで起こり得るデメリットについて、売り手側と買い手側それぞれに見ていきましょう。

売り手側のデメリット

売り手側のデメリットには、次の2つがあります。

買い手側の運営方針や労働環境に既存スタッフが戸惑う可能性がある

M&Aの実施後は、事業所の運営方針や労働環境などが変わることが多いでしょう。既存スタッフにとっては、これまでの体制と変わってくるため、環境が変わることに戸惑うことも少なくありません。最悪の場合には、既存スタッフが辞めてしまうことも考えられるでしょう。

言い値で売却できるとは限らない

最終的な売却金額は、買い手側に最終決定権があります。そのため、言い値で売却できるとは限りません。思った以上に安値となる可能性もあることは、念頭に置いておきましょう。

買い手側のデメリット

買い手側のデメリットには、次の2つがあります。

簿外債務を負う可能性がある

帳簿や決算書に記載されていない債務を簿外債務といいます。残念なことに、M&Aでは簿外債務が発覚するケースは少なくありません。簿外債務を見落とさないためには、買い手側と売り手側の双方で綿密に確認することが大切です。

従業員が大量離職するリスクがある

M&A後、運営方針や労働環境が変わったことに納得できず、売り手側の従業員が大量に離職してしまうケースがあります。大量離職を防ぐためには、一気に体制を変えるのではなく、売り手側の状況にも十分に配慮しながら運営を進めていきましょう。

介護M&Aは介護施設の課題解決に有効な手段のひとつ

人材不足や経営不振に悩んでいる事業所にとって、介護M&Aは問題を解決する有効な手段となります。介護M&Aを行えば、廃業の危機を回避することができ、従業員の雇用も守ることができます。また、介護サービスの質を向上させることにもつながるでしょう。介護ソフト「介舟ファミリー」を販売する当社では、介護事業所に役立つ情報を発信しています。お役立ち情報はこちらからご覧ください。

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