新型コロナ5類移行後で介護現場はどう変わる?

新型コロナウイルス感染症について、2023年5月8日から感染症分類が5類に移行しました。これまで行われていたさまざまな感染対策も、徐々に緩和の方向になってきています。介護報酬の面でも、これまでの臨時的な取り扱いが見直しされており、介護現場ではいろいろな動きがあり不安に感じている人も多いのではないでしょうか。この記事では、新型コロナウイルス感染症の「5類移行」が介護現場に与える影響と今後の注意点について、詳しく解説します。

5類移行後のコロナ特例措置の概要と介護現場に与える影響

新型コロナウイルス感染症の取り扱いは、2023年5月8日に感染症分類の2類から5類へ移行しました。しかし、5類移行後も新型コロナウイルス感染者が発生するリスクはあります。そのため、新型コロナウイルス感染者が出ても安定的な介護サービスの提供が実施できるよう、介護報酬上の臨時的な取り扱いについての見直しが行われました。

具体的な見直しポイントは、以下のとおりです。

  • 利用者や職員が新型コロナウイルスに感染しても、安定的にサービス提供を行うために必要な臨時的な取り扱いや、ワクチン接種を促進するための臨時的な取り扱いについては、当面継続。
  • 感染対策を行ったうえで合理的な取り扱いに見直すことができるものについては、見直しを行ったうえで臨時的な取り扱いを継続。
  • 臨時的な取り扱いがなくても必要なサービスを提供することができるものについては、2023年5月7日をもって取り扱いを終了。

介護現場が知っておくべき5類移行後の特例措置の内容

新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い見直しとなった特例措置の内容のうち、介護現場が知っておくべきものについて詳しく見ていきましょう。

当面継続するもの

5類移行後も当面の間、利用者や家族、職員などに新型コロナウイルスの感染者が出た場合にも、安定的にサービスが提供できるための特例や、感染を予防するためのワクチン接種の促進のための特例などは継続します。

例えば、ワクチン接種の促進のための特例は、利用者にワクチンを接種するために職員が従事する場合、人員基準の柔軟な取り扱いを行う、サービス利用中のワクチン接種について減算を行わないといった措置です。この特例は、全サービス共通です。

入所系サービスでは、退院患者を受け入れた場合の入退院前連携加算の算定が最大30日間可能になる取り扱いについては継続となります。また、退院患者を受け入れた場合の人員基準の取り扱いも当面継続です。さらに、在宅復帰率やベッド回転率に連動する報酬については、影響を受けた月を除いて計算可能とする取り扱いも継続されます。

通所系・訪問系では、通所系の事業所が休業になった際に代替として訪問でのサービスを提供した場合、通所サービスと同等の報酬が算定可能となる取り扱いが、当面の間継続となっています。

一定の要件のもと継続するもの

一定の要件のもと継続するものは、2種類あります。どちらも、全サービス共通です。

1点目は、感染者へのサービス提供の有無を問わず、幅広く新型コロナウイルスの影響があった場合に人員基準違反・減算としない特例です。この措置については、利用者や職員に感染者が発生した場合において、柔軟な取り扱いを継続することになりました。

2点目は、研修が受けられない場合の特例です。下記に示す研修については、実習や実地研修に限り、新型コロナウイルスの影響によって未受講となった場合でも、基準違反や減算を行わないことになりました。

  • 介護支援専門員実務研修
  • ユニットリーダー研修
  • 認知症グループホーム管理者等に対する認知症介護実践者研修

終了するもの

5類移行に伴い、各種制限が緩和されます。緩和の結果として特例的な取り扱いがなくても必要なサービスを提供することができるものについては、2023年5月7日をもって特例が終了となりました。

例えば、これまでの新型コロナウイルス感染症への緊急的・社会的対応を踏まえた以下の特例については、すべてのサービスに共通で、通常どおりサービス提供や事務処理等を行うこととなっています。

  • 災害における取り扱いを参考にした各種サービスや申請、自治体事務の柔軟な取り扱い
  • 外出自粛要請やまん延防止等重点措置、慰労金などに関連した柔軟な取り扱い
  • ケアプランで予定されていたサービス提供が行われない場合の居宅介護支援費の算定
  • 感染拡大防止への対応を評価する観点から行う特例的な取り扱い

入所系では、サービスの簡略化に関する特例について、感染対策をしたうえで通常どおりにサービス提供を行うことになりました。
通所系・訪問系においても、以下の3点については、感染対策をしたうえで通常どおりにサービス提供を行うことで、特例扱いが終了となりました。

  • 感染対策の観点からサービス提供を短時間とした場合の最短時間の報酬算定
  • 安否確認や療養指導、福祉用具貸与計画などの説明を電話で行った場合の一定の報酬算定
  • モニタリングや訪問体制強化加算における、訪問が困難な場合の柔軟な取り扱い

5類移行後に介護サービス事業所の責任者が気をつけること

新型コロナウイルス感染症が5類移行となった以降も、介護サービス事業所の責任者は感染対策を心がける必要があります。そこで、介護サービス事業所の責任者がとるべき感染対策について、通常時と感染時に分けて紹介します。

日ごろからの感染対策

5類移行後、新型コロナウイルスの感染対策の考え方は、個人の選択を尊重し自主的な取り組みを基本とする方向に切り替わりました。しかし、感染時の重症化リスクが高い高齢者や障害者などと接する機会の多い介護事業者については、厚生労働省が日ごろからの感染対策として以下3点について注意を促しています。

マスク着用

マスクの着用については、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断にゆだねられます。しかし、高齢者や障害者などは感染時の重症化リスクが高いため、職員は勤務中のマスク着用が推奨されています。ただし、周囲に人がいない場合や、利用者と接しない場面で会話を行わないようなときには、着用について管理者がその都度判断する運びとなりました。

なお、高齢者施設で高齢者に面会する場面では、マスク着用が推奨されています。

効果的な換気の実施

必要な換気量を確保することは、感染対策の基本です。各施設の実情に応じて換気を行い、感染対策を実施しましょう。もっとも望ましいのは、機械換気による常時換気です。機械換気が適切に行えるよう、定期的な装置確認やフィルター掃除を行いましょう。

機械換気がない場合は、窓開け換気を定期的に実施します。十分な換気量を確保できない場合は、換気扇や扇風機、サーキュレーターの使用や、HEPAフィルター付きの空気清浄機の導入を検討しましょう。

面会時の感染対策

新型コロナウイルス感染症対策として、高齢者施設では長らく面会が中止となっていました。しかし、介護保険施設等の運営基準には、「常に入所者の家族と連携を図るとともに、入所者とその家族との交流の機会を確保するよう努めなければならない」などと記載されています。そのため、厚生労働省も面会の再開を推進しています。

面会を行うことで、入所者と家族のつながりや交流が図れるため、入所者の心身の健康に良い影響を与えます。面会の再開に伴い、面会者には感染経路の遮断の観点から感染対策を実施していることを説明し、理解を得ましょう。

感染者が発生したときの感染対策

感染症対策を実施していても、新型コロナウイルス感染者が発生する可能性はゼロではありません。感染者が発生した場合には、「介護現場における感染対策の手引き」を参考に対応を実施しましょう。 具体的には、感染者にかかわる情報収集や共有に努め、居室や利用した共有スペースの消毒や清掃を行います。感染者や感染の疑いのある利用者のケアにあたる場合には、サージカルマスクやゴーグル、フェイスシールドなどを使用します。

一般的な感染対策を継続し感染リスクを最小限に抑えよう

新型コロナウイルス感染症が5類に移行した現在、これまで制限されていた介護事業所での面会や外出が再開されています。職員だけでなく、利用者も多くの人と接する機会が増えていくなかで、新型コロナウイルスへ感染する可能性も上がることでしょう。これからは、利用者の心身の健康を維持しながらも、感染リスクを最小限に抑えるような対応が求められます。マスク着用や換気などの一般的な感染対策は、今後も続けていきましょう。

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介護リーダーが抱える悩みと解決のためにできる3つのこと

介護現場を円滑に回していくためには、介護リーダーの存在は欠かせません。
しかし、介護リーダーは、上司と部下の板挟みになりがちであり、利用者家族との対応に苦慮するなど、ストレスを抱えやすい立場ともいえるでしょう。
介護事業所を運営するためには、介護リーダーが抱える悩みを知り、解決に導くことが重要となります。

この記事では、介護リーダーが抱える悩みと解決策について解説します。

介護リーダーの業務内容と必要なスキルを知ろう

介護リーダーの悩みを知るためには、介護リーダーにはどのようなスキルが必要で、どのような業務を行っているかを理解する必要があります。介護リーダーの業務内容と必要なスキルについて、詳しく見ていきましょう。

介護リーダーが行う業務内容

介護リーダーが行う主な業務内容は、次の3つに分けることができます。

現場で働くスタッフのマネジメント

介護リーダーの仕事としてまず挙げられるのが、現場で働くスタッフのマネジメントです。具体的には、現場で働くスタッフの勤務管理や調整、普段の仕事の割り振りなどを行います。シフト作成を行う介護リーダーの場合、スタッフの希望だけでなく、事業所内でのイベントに合わせて人数調整を行う必要があるため、事業所全体の流れを把握しておかなければなりません。
普段の仕事の割り振りを行うためには、一人ひとりの職員の状況を把握しておく必要もあります。まだ経験が浅い職員がいる場合は、指導役と一緒に配置するといった配慮が欠かせません。

また、現場スタッフが働きやすいような環境を整備することも、介護リーダーの仕事のひとつです。必要物品の配置や相談しやすい雰囲気づくりなど、いろいろなことに気を配る必要があります。

介護職員の教育・育成

介護職員の教育や育成も、介護リーダーの大切な仕事です。新人職員に対しては、自らが育成を行うだけでなく、誰を教育担当にするかといった人選も行います。OJTが滞りなく進められるよう、日々の担当者を選出したり、評価を行ったりします。
また、職員全体の介護技術や知識の底上げのため、研修計画を作成し、研修を開催する仕事もあります。事業所内で定期的に研修を開催している場合には、年度初めには計画を発表し、年度が終わるころに振り返りをして、次年度の研修がよりブラッシュアップできるようにします。

他部署、他職種との連絡・相談、家族とのやりとり

介護リーダーは自分の所属部署だけでなく、他部署や他職種との連絡や相談などを行う立場にあります。具体的には、利用者の担当ケアマネジャー(ケアマネ)やリハビリスタッフなどとのやり取りが多くなります。そのため、普段から利用者の状況をしっかり把握しておかなければなりません。また、利用者に変化があったときには、リーダーからケアマネやリハビリスタッフなどに相談することもあります。

利用者家族とのやり取りも、主に介護リーダーが行います。家族から自宅での様子や希望などを聞くことも少なくありません。ときには、苦情対応をすることもあります。特に、緊急時の連絡対応は、利用者の状況を把握している介護リーダーが行っていることが多いでしょう。

介護リーダーに必要なスキル

介護リーダーに必要なスキルには、主に次の5つがあります。

介護に関する高度な知識と技術

介護リーダーは、どのような状況になっても適切に判断して、臨機応変に対応しなければいけません。そのためには、介護に関する高度な知識と技術を持ち合わせておく必要があります。介護職として長く経験を積んだ人や、介護福祉士の資格を持っている人などが選出されることが多いでしょう。

指導力

介護リーダーは、介護職員を指導する立場にあります。介護現場は他職種からの転職組も多いことから、さまざまなタイプの職員がいると推測されます。どのような人であっても、その人に合わせた指導を行う必要があるため、介護リーダーにはしっかりとした指導力が求められます。

マネジメント力

利用者に適切なサービスを提供するためには、誰が対応しても利用者に同じ対応ができるようにしておかなければなりません。そのため、介護の質にばらつきが出ないよう、介護職員の育成や適切な配置などを行うマネジメント力が求められます。

リーダーシップ

ひとつの職場を統括していくためには、リーダーシップは重要な要素となります。介護リーダーは全体を引っ張っていく立場にあるため、リーダーシップは必要不可欠なスキルといえるでしょう。

コミュニケーション能力

介護職は、人と人との関わりが基本となります。介護リーダーは職員間だけでなく、他部署や他職種、利用者家族との関わりも多くなります。そのため、他の職員に比べてよりコミュニケーション能力に長けている必要があります。

介護リーダーが抱えがちな4つの悩み

介護リーダーは、その立場からさまざまな問題を抱えがちです。そのなかでも、代表的な4つの悩みについて、見ていきましょう。

業務量が多い

介護リーダーは通常業務を行いながら、リーダー業務もこなしています。そのため、他の職員に比べると必然的に業務量が多いといえます。
必要な人材が確保されていれば、通常業務を他の職員にある程度任せることができるでしょう。しかし、介護業界はどの現場でも人材不足に悩んでいることが多く、結果として介護リーダーの仕事を減らせないというジレンマに陥っています。特に、アクシデントが発生したときには、介護リーダーが率先して動く必要があるため、介護リーダーの負担がさらに増加します。
リーダー業務は他の人に変わってもらうことができないため、介護リーダーはどうしても業務量が多くなってしまうのが現状です。

上司と部下の板挟みになりやすい

介護リーダーは、管理職と部下のパイプ役といった立ち位置です。管理職が求めるものと部下の思いの差が大きいほど、介護リーダーは板挟みになりやすいでしょう。なんとか差を埋めようと悩む介護リーダーも多く、ストレスに苛まれ心身のバランスを崩してしまうケースもあります。

指導が思うようにいかない

介護リーダーは人を育てる立場でもあります。しかし、思うように人が育たないことや、育てたと思ってもすぐに辞めてしまうケースも少なくありません。
特に、思い悩むケースとなるのが、年上の部下に対する指導です。介護業界は異業種からの転職者も多く、40代50代の新人が入社してくることがよくあります。リーダーとして注意したことが「偉そうにしやがって」と捉えられてしまったというケースもあり、年上の部下に対する指導に苦手意識を持つ介護リーダーもいます。

家族からの苦情に対応せざるを得ない

介護リーダーは現場の責任者という立場です。そのため、家族からの苦情があった場合、リーダーが対応せざるを得ません。苦情対応はストレスのかかる仕事であり、状況や対応方法によっては長引くケースもあり、思い悩む人も少なくないでしょう。

介護リーダーの悩みを解決するために必要な3つのこと

介護リーダーの悩みを解決するために、介護事業者ができることには、次の3つが挙げられます。

定期的なストレスケアを実施する

介護リーダーは職員の育成や家族の苦情対応など、ストレスのかかる仕事を担当します。介護リーダーがひとりで悩みを抱え込んでしまうと、休職に追い込まれることもあるでしょう。介護リーダーがひとりで悩むことのないよう、組織全体で情報が共有できる仕組みを作ることが大切です。職員の相談窓口が設置されていない事業所では、相談窓口の設置を検討しましょう。また、定期的な面談の機会を作ったり、ストレスケアの健康診断を行ったり等、定期的に相談できる体制づくりも大切です。

正当な評価を得られる仕組みを作る

介護リーダーのなかには、「自分の仕事に対する責任や仕事量に対して正当な評価が得られていない」と感じている人もいます。介護リーダーの責任や仕事量に対する評価が正当なものであるか、もう一度確認してみましょう。そのうえで、評価が適切ではないようならば、評価制度を見直し、介護リーダー自身が正当な評価を得ていると感じられる体制づくりをしていきましょう。

業務量を見直して負担軽減を図る

介護リーダーは、通常業務とリーダー業務の両方を行うため、業務量が多くなりがちです。介護ソフトや介護ロボットの導入など、ICT化を図ることで業務が効率化できないか検討してみましょう。ICT化として取り組みやすいのが、介護ソフトの導入です。介舟ファミリーなら、わかりやすい画面と操作性で初めてでも使いやすく、サポート体制も徹底しています。介護リーダーの負担軽減を図るためにも、介護業務の効率化を目指しましょう。

介護リーダーの悩み解決には組織全体で取り組もう

介護リーダーが抱える悩みは個人の問題ではなく、組織全体として取り組むことが大切です。組織の問題として捉えることで、介護リーダーが持つ能力を十分に発揮してもらうことができ、現場の仕事は円滑に回っていくことでしょう。介護リーダーの悩みを解決する方法のひとつとしておすすめしたいのが、介護ソフトの導入による業務効率化です。介舟ファミリーはサポート体制がしっかりしているため、初めて介護ソフトを使う事業所でも安心して使うことができます。この機会に介護ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

介護M&Aのポイントを知って介護施設の問題を解決しよう

介護業界全体の悩みともいえるのが、人材不足の問題です。
令和3年度介護労働実態調査によると、介護サービス事業の運営上の悩みで最も多いのが、「良質な人材確保が難しい」ということでした。
どの介護事業所でも、良質な人材確保に頭を悩ませているのではないでしょうか。
この問題を解決するひとつの方法として検討したいのが、介護施設のM&Aです。
しかし、介護M&Aがどういうものなのかわからない人が多いかもしれません。

この記事では、介護M&Aの概要とポイントについて解説します。

介護M&Aで解決したい介護施設の課題とは

介護施設を運営していると、さまざまな課題が浮き彫りになります。
課題を解決する方法として、昨今注目されているのが、介護M&Aです。
介護施設が抱える課題のうち、介護M&Aで解決できる課題として代表的なものには、次の3つがあります。

良質な人材の確保が難しい

近年、処遇改善に関する加算が増えたことで、介護職の給料の底上げが改善されています。ところが、経営に悩む事業所では、今の介護報酬では人材確保や定着のために必要な賃金を払うだけの余裕がないというところも少なくありません。十分な賃金を払うことができなければ、良質な人材の確保は難しくなります。

介護M&Aを実施した場合、経営が安定して賃金を確保することができます。また、買い手側の事業所から経営豊富な人材を異動してもらうこともできるため、良質な人材が確保できる可能性が広がるでしょう。

経営が苦しく労働条件や労働環境改善をしたくてもできない

経営が苦しいため、思ったような労働環境を整備できないという問題にも、介護M&Aは有効な手段といえます。従業員が働きやすいよう、労働環境をより良くしたいと考えている事業所は少なくないでしょう。

ところが、経営が苦しい事業所の場合、日々の運営に精いっぱいで労働環境を改善するまでの余力がありません。労働条件や労働環境が改善できず、従業員が退職してしまうこともあります。

そこで、介護M&Aによって経営状態が安定すると、労働条件や労働環境の見直しを行うことも可能となります。労働条件や労働環境が改善されれば、従業員の雇用も安定するため、サービスの質の向上にもつながるでしょう。

後継者がおらず今後の経営が不安

介護保険法が始まって20年以上が過ぎ、後継者問題に悩む事業所も出てきました。現在は事業運営に問題がなくとも、後継者がいなければ将来的に事業の継続は難しくなります。後継者がいないと、いずれ今抱えている利用者や従業員が路頭に迷うことになってしまうでしょう。

この問題も、介護M&Aで解決することができます。後継者がいなくても、介護M&Aによって買い手が事業を引き継いでくれれば、廃業の危機は回避できる可能性が高くなります。そして、大切な従業員の雇用を守ることもできるでしょう。

また、近年は金融機関や取引先が与信判断の材料として、後継者の有無を重要視する傾向にあります。今後も健全に経営していくための手段として介護M&Aを実施すると、事業所そのものの信用性が高まる可能性は高くなると考えられるでしょう。

介護施設におけるM&Aの実情を知ろう

国内のM&A件数が増加していくなかで、介護施設のM&Aも徐々に増加しています。2012年からはM&Aの件数は急増しており、本格的なビジネス強化や新規参入に踏み切る企業が増えてきました。

大手の介護事業所によるM&Aでは、介護事業最大手のニチイ学館が2021年の株式会社西日本ヘルスケアの完全子会社化を皮切りに、毎年介護M&Aを行っています。また、関西大手のケア21も、2014年に名古屋のグループホームを子会社化して以降、徐々にM&Aを行い、2021年からは訪問介護を中心としたM&Aを実施しています。国は介護事業所の大規模化・協働化を推進する方向に動いていることから、国の動きが介護M&Aの追い風になる可能性も考えられるでしょう。

また、介護関連ビジネスの将来性を期待して、異業種からの参入も増えています。2015年にはSOMPOホールディングスがワタミの介護を完全子会社化しました。2017年には、野村不動産ホールディングスがJAPANライフデザインに資本参加しています。異業種からの参入は、本業との相乗効果により、今までになかった新たな介護サービスを生み出すでしょう。生み出された新サービスが高齢者のニーズにマッチすれば、満足度は高くなり事業所全体の評価につながります。このことから、今後も異業種大手企業からの参入は増加していくのではないでしょうか。

介護施設がM&Aで得られるメリット

介護施設がM&Aで得られるメリットを、売り手側と買い手側に分けてそれぞれに見ていきましょう。

売り手側のメリット

売り手側のメリットには、次の3つがあげられます。

大きな資本を持つ会社の傘下に入ることで安定した経営が維持できる

売り手側は経営に悩んでいるケースが少なくありません。大きな資本を持つ会社の傘下に入れば、経営母体が大きくなるため、安定した経営を維持することができます。

雇用が維持され労働環境の改善ができスタッフのキャリアアップにつながる

人材不足や定着に悩む売り手の場合、M&Aを行うことで経営が安定し、必要な賃金を支払えるようになり、雇用の維持が可能となります。また、労働環境を改善することもでき、スタッフのキャリアアップにつなげられるでしょう。

大きな資本を持つ会社の傘下に入ることで安定した経営が維持できる

M&Aによって売り手側の経営者は売却益が得られます。まとまった金額を得ることになるため、将来の人生設計に必要な資金とすることができます。人生100年時代に間もなく到達するともいわれているなかで、安心して人生設計を行えるでしょう。

買い手側のメリット

買い手側のメリットには、次の2つがあります。

展開していなかった地域や新たなサービスへ容易に参入できる

事業を展開していくうえで、新たな地域やサービスにゼロから挑戦していくことには困難が伴います。しかし、M&Aを活用すると、既存の施設や従業員、利用者を引き継ぐことができるため、早期に収益基盤を整えることが可能でしょう。

売り手側のノウハウを得ることでサービスの創り上げや人材募集や育成の手間が省ける

買い手側は売り手側のノウハウを得ることができます。売り手側が持っているノウハウには、サービスに関するものや人材育成に関わるものなどがあります。新規に参入するのであっても、M&Aならば、ゼロからのサービスの創り上げや人材育成の手間を省くことができるでしょう。

介護施設M&Aを実施した際に起こり得るデメリット

M&Aにはメリットだけでなく、当然ながらデメリットもあります。介護施設のM&Aで起こり得るデメリットについて、売り手側と買い手側それぞれに見ていきましょう。

売り手側のデメリット

売り手側のデメリットには、次の2つがあります。

買い手側の運営方針や労働環境に既存スタッフが戸惑う可能性がある

M&Aの実施後は、事業所の運営方針や労働環境などが変わることが多いでしょう。既存スタッフにとっては、これまでの体制と変わってくるため、環境が変わることに戸惑うことも少なくありません。最悪の場合には、既存スタッフが辞めてしまうことも考えられるでしょう。

言い値で売却できるとは限らない

最終的な売却金額は、買い手側に最終決定権があります。そのため、言い値で売却できるとは限りません。思った以上に安値となる可能性もあることは、念頭に置いておきましょう。

買い手側のデメリット

買い手側のデメリットには、次の2つがあります。

簿外債務を負う可能性がある

帳簿や決算書に記載されていない債務を簿外債務といいます。残念なことに、M&Aでは簿外債務が発覚するケースは少なくありません。簿外債務を見落とさないためには、買い手側と売り手側の双方で綿密に確認することが大切です。

従業員が大量離職するリスクがある

M&A後、運営方針や労働環境が変わったことに納得できず、売り手側の従業員が大量に離職してしまうケースがあります。大量離職を防ぐためには、一気に体制を変えるのではなく、売り手側の状況にも十分に配慮しながら運営を進めていきましょう。

介護M&Aは介護施設の課題解決に有効な手段のひとつ

人材不足や経営不振に悩んでいる事業所にとって、介護M&Aは問題を解決する有効な手段となります。介護M&Aを行えば、廃業の危機を回避することができ、従業員の雇用も守ることができます。また、介護サービスの質を向上させることにもつながるでしょう。介護ソフト「介舟ファミリー」を販売する当社では、介護事業所に役立つ情報を発信しています。お役立ち情報はこちらからご覧ください。

介護現場の効率化を図る重要性とメリット、具体的な手法について徹底解説

介護現場はいつも忙しく、慢性的な人手不足に悩んでいます。この課題を解消するキーワードは「業務の効率化」。厚生労働省も介護現場の業務効率化を図る一環としてICT化の推進を唱え、補助金制度を構築しています。介護の職場環境の改善は待ったなしです。事業所の責任者として、この機会に介護業務の効率化について考えてみませんか。

介護現場における効率化の重要性

「効率化」を考える前に、介護現場の問題について考えてみましょう。

介護現場が抱える課題

「効率化」を考える前に、介護現場の問題について考えてみましょう。

慢性的な人材不足

3Kのキツイ、キタナイ、キケンに、さらに給料が少ないというイメージが強い介護現場。そのため求人を出しても人が集まりません。さらに退職率も高く、定着率が低いのが現状です。

介護を必要とする人口の増加

働くリソースは不足していますが、サービスを必要としている高齢者は右肩上がりで増えています。そのため「2023年度には約233万人、2025年度には約243万人、2040年度には約280万人の人材を確保する必要がある」と「第8期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について(令和3年7月9日厚生労働省社会・援護局)」では発表されています。

業務の量が多い

介護現場はいつも人手不足。しかし利用者は増加しているため、スタッフは日ごろからオーバーワーク状態です。さらに、最近では介護業務だけではなく、介護記録の作成。介護報酬業務(レセプト)などでパソコン作業も多くなり、1人のスタッフが担う業務量は増えています。

効率化することによるメリット

介護現場の抱える問題の要因には、業務量とリソースのバランスが適切ではないことが挙げられます。それを解消するためには、業務効率化が有効です。

業務を効率化することによる、メリットを具体的にみてみましょう。

  • 従業員の身体的負担の軽減
  • 従業員の精神的負担の軽減
  • 退職者の減少
  • 利用者へのサービス向上
  • 職場環境の改善

スタッフの仕事量が適正になれば、時間的にも精神的にも余裕ができ、介護の質の向上につながると考えられます。また、介護現場の職場環境を整えることで「キツイ」というイメージを払拭することができれば、「働きたい」と思う人が増える可能性が高くなるでしょう。

効率化は「まず、やってみよう」でスタートさせる

2025年に向けて業務を効率化し、リソースを確保する。これは、今から実行しても早すぎるということはありません。厚生労働省も介護サービス事業における生産性向上に資するガイドラインのなかで「ここで重要なことは“まずはとにかく取り組んでみる”という姿勢です」と述べています。

同ガイドラインでは、改善活動の準備として以下の3点を挙げていますので、検討してみてはいかがでしょうか。

  • 改善活動をするプロジェクトチームを立ち上げ、プロジェクトリーダーを決める
  • 経営層から施設全体への取組開始のキックオフ宣言をする
  • 厚労省の用意したe-ラーニングツールなどを活用する

業務効率化の手法

それでは、具体的な業務効率化のやり方をみてみましょう。

職場の整理整頓

作業をするとき、使う道具がどこにあるのかわからないと、仕事を始める前に「探す」という行動が必要となります。このワンアクションはとてもムダなうえ、働くスタッフにとっては大いにストレスを感じる状況です。したがって、業務効率化の第一歩は職場の整理整頓です。

物品や用具について、使用しやすいように置き場所を決め、補充のルールも決めておきましょう。そして、それらは、スタッフ全員でしっかりと共有しましょう。

明確な作業分担

自社の介護の作業分担はどうなっていますか? 例えば、おむつ交換担当、掃除担当などのカテゴリーごとに分かれていませんか。これは一見、効率よく見えますが、実態はその反対です。役割分担は詳細に決めたほうが、スタッフも動きやすく、管理する側も業務の進捗が把握しやすいのです。

詳細な役割分担とは、作業に入る前にミーティングを行い、スタッフのAさんには「〇〇さんと▲▲さんのおむつ交換をお願いします」というように担当を割り振ることです。担当したスタッフには、業務が終了したら「終わりました」と報告を入れてもらいます。Aさんから終了報告をもらった管理者は、その時点で終了の報告がないスタッフBさんへ、Aさんをヘルプに回すことができ、効率よく作業を進めることが可能となります。

事業所によっては、「私が〇〇さんのおむつ交換をやります」とスタッフ同士が声をかけあう現場もあるでしょう。しかし、自主的にそれぞれ作業を見つけて行っていくやり方では、全体の進行状況を把握している人がいないので、作業に漏れが出る可能性があります。また、もうすでに終わっているおむつ交換を再度行うようなことも起こり、ムダな動きが現場で生じます。

したがって、詳細で明確な作業分担を指示することも、業務効率化には欠かせません。

ICTを導入

厚生労働省も推進している介護現場のICT化は、業務効率化の要となるでしょう。
人手不足の介護現場では、すでに介護ロボットが活躍しているところもあります。身近なICT化を考えるのであれば、介護保険の請求業務に、介護ソフトを導入することもおすすめです。事務作業が簡略するだけでなく、ミスの防止にもつながります。

業務マニュアルの標準化

介護スタッフが退職する理由に、職場の人間関係があります。その起因のひとつに、スタッフ同士で介護のやり方が違うことが挙げられます。特に新人教育の場では、指導するベテランスタッフによってやり方が異なると、新人が混乱し、人間関係のトラブルに発展することが少なくありません。

仕事が効率よく進むように標準化したマニュアルがあれば、介護方法をめぐるスタッフ間のトラブル発生が減少し、新人教育もスムーズに行うことができるでしょう。また、誰が介護しても同じサービスを利用者に提供できるので、サービスの質の維持向上にもつながるでしょう。

情報共有のシステム化

例えば、利用者の食事の介護をしている一方で、そばにいる別の利用者がトイレに行きたいと言った際、インカムがあれば、他のスタッフにすぐに知らせることができます。ツールを上手に活用し、情報共有をシステム化することも、介護現場では必要です。

事業所の理念、行動指針の共有

管理者はもちろん、スタッフは事業所の理念、行動指針を基に働いているはずですが、忘れがちになることも多いでしょう。理念や行動指針は事業所の特色であり、これらをスタッフとしっかり共有しておくことは、実は業務効率化のためにも重要です。というのも、業務の優先順位や業務フローを考える際の基盤となり、スタッフの理解も得やすくなるからです。また、マニュアルにはないイレギュラーな事態が発生した場合の迅速な対応の拠り所ともなります。

事業所の責任者は、指針の背景や理念にこめた思いを、機会を設けてはスタッフに伝えるとよいでしょう。

介護現場のICT化はさまざまな補助が受けられる

いろいろな業務効率化の方法をみてきましたが、最も効果があり、目に見えて介護現場の環境が変わるのはICT化でしょう。厚生労働省でも業務効率化と介護の質の向上から、介護現場へのICT化導入を促進しています。またICT導入のためのサポートや、補助金制度も実施しているので確認してみるとよいでしょう。

ICT化のなかで、比較的導入しやすく、業務の効率化に適しているのは介護ソフトです。すでに導入済みであっても、業務がうまくまわっていないという悩みがある場合には、リプレイスを検討してみるのもおすすめです。自事業所により即した介護ソフトが見つかるかもしれません。

介護ソフトを利用するメリットとは

介護ソフトを利用することで得られる業務効率化のメリットを確認しておきましょう。

  • 利用者の一括管理と共有ができる
  • ケアプランを簡単に作成できる
  • 記録作業が場所やタイミングを選ばない
  • 利用者の送迎スケジュールが一括で立案できる
  • LIFEに対応している
  • リアルタイムで各情報の共有が可能である

上記のほかにも、介護現場の業務効率化へつながるメリットはまだまだあります。

特に「介舟ファミリー」の介護ソフトは、上記のメリットを得るための機能が搭載されているだけでなく、操作が簡単で直感的に使えるため、IT機器に慣れていないスタッフでも扱いやすいのが特徴です。

介護現場の業務改善はICT化から

介護現場の人手不足や職場環境を改善するためには、業務改善は避けては通れない改革です。最初に着手しやすいのは、介護現場のICT化。なかでも介護ソフトは導入のハードルが低く、目に見える効果が得られやすいツールです。

市販で販売されている介護ソフトには多くの種類があります。特に「介舟ファミリー」の介護ソフトは、介護業務を効率化するためのツールが数多く搭載されているだけではなく、誰にでも使いやすいのが特徴です。ぜひ、導入を検討してみてください。

介護ソフトの選び方と比較ポイントを解説!自社が導入すべきソフトはどれ?

介護ソフトの導入、リプレイスを検討しているが、介護ソフトは種類が多くどれを選べばよいのかわからないと思っている管理者もいるでしょう。例えば「国保中央会の介護伝送ソフトと、市販ソフト、自社の事業所にはどちらが最適だろうか?」「市販の介護ソフト導入を検討中だが、選び方のポイントがわからない」などの悩みに答えるべく解説します。

介護ソフトとは?

介護ソフトとは、介護事業所の請求業務、介護現場での業務を支援するソフトウェアのことです。介護ソフトには大きく分けて国保中央会(国民健康保険中央会)の介護伝送ソフトと、市販の介護ソフトの2種類があります。

介護伝送ソフトは請求業務に特化しているのに対して、市販の介護ソフトは介護記録や介護計画書作成など、請求業務以外の機能も搭載しているのが特徴です。

市販の介護ソフトの主な機能は以下のとおりです。

  • 介護報酬請求
  • 利用者情報の管理
  • 利用者のサービス内容の記録
  • アセスメントシートの作成・管理
  • ケアプランの管理
  • 施設スタッフのシフト表作成

上記のほかに、ナースコールやベッドセンサー、見守り機器と連動している機能を搭載しているソフトもあります。

国保中央会の介護伝送ソフトと市販介護ソフトの比較については「レセプト業務を効率化 介護ソフトの選び方5つのポイント」をご参照ください。

介護ソフトを選ぶ際に比較するべきポイント

介護ソフトを選ぶ際に、多くの事業所で検討されている項目について、以下に紹介します。

価格

国保中央会 介護伝送ソフト

1ソフト:60,000円(送料・消費税込・令和3年4月制度改正時点)で、パソコン1台につき1ソフトが必要です。ほかに電子証明書がない場合は、発行手数料がかかります。
料金体系はひとつです。

市販のソフト

市販の介護ソフトの価格は機能、サービス、メーカーによって異なります。

初期費用がかかるがランニングコストが抑えられるもの、初期費用は低く抑えられるがランニングコストは高いものもあります。
なかには、初期費用、ランニングコストはともに安価だが、製品のバージョンアップをする際にサポート費用がかかるものも。
見積書では初期費用だけで検討するのではなく、ランニングコストやアフターサービスについての料金も確認し、どの介護ソフトが最適かを検討しましょう。

また、市販ソフトは、パッケージ型とクラウド型があります。

  • パッケージ型

    導入時に費用がかかります。
    導入時にパソコン1台につき〇〇円という料金体系で、事業所のパソコンすべてにかかります。

  • クラウド型

    導入時の費用は抑えられますが、月々の費用がかかります。
    介護ソフトのメーカーによって違いますが、一般的にはパソコンの台数、または1事業所ごとに月額数万円程度の費用が必要です。

対応範囲

多くの介護ソフトは施設サービス 、居宅介護支援 、 通所サービス 、 訪問サービス 、 サ高住・有料老人ホームなどに対応していますが、ひとつのソフトでオールマイティに使えるものばかりではありません。例えば、居宅介護支援の施設に特化した機能が充実しているものなどがあります。

せっかく導入したのに「必要のない機能ばかりが搭載されていて使えない」ということがないように、自社の業務で使用したい機能が搭載されているかは必ず確認しましょう。

また、介護報酬改定により、LIFEの活用が要件に含まれる加算が新設されています。介護ソフトのなかには、LIFE対応していないものがありますので注意しましょう。

操作性

多くのスタッフが使うソフトなので、導入したものの使い方が難しく、操作できる人が限られてしまっては実用性に欠けます。導入する前にデモ機を操作させてもらったり、無料体験期間がある場合は積極的に利用したりしましょう。そして、感想をヒアリングしてスタッフに評判のよい介護ソフトを導入するのがおすすめです。

サポート体制

一度にさまざまな操作のやり方を理解するのは難しいことから、導入直後はサポートセンターに電話したり、担当者に訪問してもらったりすることが頻繁にあるでしょう。

また、レセプトの請求時期(毎月1日〜10日)もサポートが必要になることが多いものです。他の事業所もサポートセンターに電話することが多いため、電話が混雑してかかりにくい状況が発生することも。繁忙期であってもサポート体制は万全か、忘れずに聞いておきましょう。

そして、サポートサービスの料金設定についても確認しておきましょう。

オプション

国保中央会の介護伝送ソフトは請求のみのサービスに特化しているのに対して、市販ソフトは請求だけでなく、さまざまなサービスが搭載されています。それらの機能は「オプション」として提供されている場合もあります。オプションを追加することで別途、料金がかかることがあります。

自社にあった介護ソフトの選び方

介護ソフトは、事業所の規模によっても選び方がかわってきます。また、費用を抑えたい場合や、変則的な業務が発生する夜間対応型訪問介護の場合のソフト選びもみてみましょう。

大規模事業所の場合

事業所の拠点を数か所もっている会社は、すべての事業所の情報を一元管理できる介護ソフトの導入がおすすめです。

また、パソコン台数が多い会社では、パッケージ型を導入すると費用が高くなることもあるので注意が必要です。

中小規模事業所の場合

パソコンの台数が少なければ、パッケージ型でも初期費用も抑えられるでしょう。パソコンだけではなく、タブレットやスマホなどのデバイスへの導入を検討している事業所は、データをクラウドで管理するタイプのほうが使い勝手がよいのでおすすめです。

低コストで導入したい場合

低コストで介護ソフトを導入したい場合は、介護請求ができる国保中央会の介護伝送ソフトがおすすめです。ただし、市販ソフトのような業務効率化につながる機能はありません。

市販ソフトで費用を抑えたい場合は、オールマイティに対応できる介護ソフトではなく、自社の業務で必要なサービスだけに特化した機能がある介護ソフトを選ぶと、低コストでの導入が可能です。

また、市販ソフトは介護伝送ソフトと比較すると費用はかかりますが、搭載されている機能を活用することによって人件費が抑えられる場合があるので、結果的に事業所のコスト削減につながることもあります。業務効率化の観点から、一度、市販ソフトを検討してみるのもよいでしょう。

夜間対応型訪問介護の業務効率を改善したい場合

夜間対応の訪問介護業者が業務改善に着手する際、スマホやタブレットの活用は欠かせません。介護ソフトはクラウド型がよいでしょう。時間と場所を問わずに介護記録をつけられ、いつでも記録内容が確認できるからです。

深夜に利用者から緊急コールがあった場合にも、スマホやタブレットで介護記録をし、その情報をかかりつけ医に伝えることで、治療も迅速に行ってもらうことができるでしょう。昼間のスタッフに電話連絡する必要はありません。

スタッフ間のスムーズな引継ぎがクラウド上で行われると、業務時間外に電話で連絡を取ることが少なくなります。スタッフは仕事のオンとオフの区別がつけやすくなり、働きやすさにもつながるでしょう。

介護ソフト「介舟ファミリー」をおすすめする理由

市販の介護ソフトにはいろいろあり 、どの介護ソフトを導入すべきか迷う人も多いでしょう。「介舟ファミリー」の介護ソフトは、事業所で「ぜひ欲しい」という機能がほとんどそろっています。以下に「介舟ファミリー」の介護ソフトをおすすめする理由を挙げましょう。参考にしてみてください。

理由1 多種制度に対応

介護保険サービス

居宅介護支援
居宅介護支援  介護予防支援  介護予防ケアマネジメント

訪問系
訪問介護  訪問看護  訪問入浴 訪問リハビリテーション  夜間対応型訪問介護  定期巡回・随時対応型訪問介護看護  訪問型サービス

通所系
通所介護  通所リハビリテーション  地域密着型通所介護 認知症対応型通所介護  通所型サービス

施設系
認知症対応型共同生活介護 

短期系
短期入所生活介護

その他
 福祉用具貸与  居宅療養管理指導  小規模多機能型居宅介護  看護小規模多機能型居宅介護

 

障害者福祉サービス

計画相談支援
計画相談支援  障害児相談支援

障害者居宅
居宅介護  重度訪問介護  同行援護 行動援護

日中活動系
生活介護  短期入所

訓練/就労系
自立訓練(機能生活)  宿泊型自立訓練  就労移行支援  就労移行支援(養成施設)  就労継続支援(A・B型) 

グループホーム
共同生活援助

障害児通所
児童発達支援(センター含む)  保育所等訪問支援  放課後等デイサービス

その他
移動支援(地域生活支援事業)

理由2 事業所が抱える悩みを解決

  • ペーパレス化が可能
  • 特定事業所加算取得が可能
  • 請求ソフトと実績の突合が簡単
  • 給料計算が簡単

理由3 会社のPCすべてに使用可能

インターネットのつながる環境なら台数制限、人数制限なく、どこからでもアクセスできる。

理由4 スケジュール一元管理

介護保険サービスと障害者福祉サービスのスケジュールが一元管理できる。スタッフ稼働実績も各制度の請求業務に連動している。

理由5 インターネット伝送機能標準搭載

国保連請求の伝送は標準搭載。審査結果やお知らせも受け取れる(介護保険のみ対応)。

理由6 すべての帳票がExcelで出力

出力される帳票はすべてExcelに出力可能であり、データをカスタマイズしやすいので、分析や資料作りが容易。

理由7 サポート充実

専門スタッフが対応。請求時期、法改正時期は回線数を増やして対応しているため、つながりやすい。

理由8 25年以上の販売と全国約6,000事業所が導入している実績

介護保険制度の施行前からサービスを提供しており、変化するニーズと法改正に無償対応してきた強みと実績がある。

理由9 記録アプリと連携することにより、記録から請求までが一気通貫

総合型ソフトだが、特化型ソフトとも連携可能。そのため、業務をより効率的に運用できる。

理由10 シンプルな見た目と分かりやすい操作

業務の流れに沿ったメニューとなっているため、パソコンに慣れていない人でも分かりやすく、使いやすい。

また、どの機能画面も画面デザイン(構成)がそろっているので、操作習得に時間がかからない。つまり、どの業務の画面であっても、メニューは左に、項目は上から下に、登録や出力などのボタンは下に配置されているため、作業のたびに登録や帳票出力の操作に迷うこともない。

理由11 LIFE完全対応

LIFE対象加算すべてのCSV出力と指定様式に対応している。

多くの事業所に選ばれている「介舟ファミリー」の介護ソフト

介護ソフトを選ぶときは価格だけではなく、対応範囲、操作性、サポート体制、オプションすべてをしっかりと確認することが大切です。

「介舟ファミリー」の介護ソフトは対応サービスの範囲が広く、欲しい機能はほぼ搭載しており、しかも、サポート体制も万全です。また、クラウド型であり、ソフトは自動でバージョンアップされるので安心。「介舟ファミリー」の介護ソフトを導入すれば、ワンストップで業務を回せるでしょう。実際に多くの事業所で導入されており、顧客満足度も高いソフトなので、介護ソフトの導入を検討している事業所は「介舟ファミリー」を検討してみてはどうでしょうか。

介護現場の人材育成はなぜ重要?メリットや取り組み方を解説

事業の成長や、介護の質の向上のために、職員のスキルアップは不可欠です。また、人材定着にも職員の教育は欠かせません。2040年度には約280万人の介護職員が必要といわれていることからも、今から人材の教育制度をしっかり整備しておくことが必要です。本記事では、人材育成に悩む事業所に向けて、育成のための取り組み方を提案します。

人材育成に取り組む5つのメリット

厚生労働省の見込みでは、2023年度には約233万人、2025年度には約243万人、2040年度には約280万人の介護職員が必要になると推計されています。これらの数字から、これからの介護施設では、人材の確保が必至であることがわかります。しかし、優秀な人材の新規採用は、他の事業所との取り合いにもなるため難しく、経費もかさみます。そこで、在籍している既存の職員を教育してスキルアップさせることで、優秀な人材を確保する取り組みが注目されています。ここでは、人材育成によるメリットを5つ紹介します。

1.介護職員の定着率向上に有効

厚生省の諮問機関、社会保障審議会(介護給付費分科会)が公開している「令和3年度介護報酬改定に向けて(介護人材の確保・介護現場の革新)」では、介護士の退職理由として、

  • 「施設の理念や運営方針への不満」
  • 「将来の見込みが立たない」
  • 「職場の人間関係に問題があった」

などの理由が上位に挙げられています。

適切な教育をすることは、介護職員本人のスキルや将来性を高めるだけでなく、施設運営の理念や方針への理解・共感を深めることにもつながり、退職を防ぐ効果も期待できます。職員もスキルが上がることで仕事の幅も広がり、将来への展望が明るくなるでしょう。

人間関係のトラブルの予防にも、実は、人材育成が効果的な場合があります。介護施設で多い人間関係トラブルの原因には介護方法に関連するものが多く、ベテラン職員それぞれが自分の方法を後輩に指導することで、混乱を招いたりトラブルにつながったりすることがあるからです。

施設内で各業務のやり方を統一し、マニュアル化できる高いスキルを持った介護士を設置することで、介護職員の定着率は向上します。

2.介護の質の向上、利用者の満足度向上

同じマニュアルに沿って職員教育を実施することで、事業所の介護サービスのレベルが一定になります。
それはつまり、利用者がいつも均一化されたサービスを受けられることといえます。
例えば、「〇〇さんの介助でなければ、おむつ交換はいやだ」という利用者に対して、別の業務中の〇〇さんが、今行っている業務を一時中断して駆けつけるというケースは少なくありません。
しかし、職員間で介護のやり方やレベルが同じであれば、どの職員の介助でも利用者に受け入れられるでしょう。
サービスレベルを統一することは、業務効率化につながるだけでなく、「どの職員が担当しても高品質のサービスを受けられる良い施設」という評価も得られ、顧客満足度の向上が期待できます。
利用者の定着率にもつながり、施設の経営面にも有利に働きます。

3.介護職員個々のモチベーション向上

介護業務のやり方を統一、指導することで、「共通のものさし」ができます。
評価の基準が見える化され、職員が次に目指すべきステップを認識してスキルアップに励むことができ、モチベーション向上につながります。

4.業務中の過失や事故を防止

職員のスキルが上がれば、過失や事故を防ぐことができます。利用者の安全は、施設としてもっとも重要な点です。
人材を育成することは、安全な施設づくりにもつながります。

5.採用において事業所のアピールポイントに

人手不足の解消の一端として、採用活動時に「当事業所は教育制度がしっかりしていて、介護方法の統一化も図っています」というアピールは効果的なポイントです。
介護現場を一度離れてしまった人のなかには、「介護の仕事は好きだったけれど、統一した技術の指標がなく、正当な評価を受けられなかったので辞めた」という経験から、潜在的な不安がある場合もあります。
経験者は、介護現場の人手不足を解消するカギとなる人材です。見える化された介護評価があれば、即戦力として期待できる優秀な人材を掘り起こすことにもつながるでしょう。

人材育成の前に行うべきこと

せっかく人材育成に動き出したのに、その場しのぎで終わってしまっては意味ありません。人材育成に取り組む際には、まずはプロジェクトチームを発足することからはじめましょう。計画的に進めていかないと現場が混乱し、困惑した職員が事業所に不信感を持つこともあります。しっかりした計画の立案は欠かせません。

  • 目的・目標の設定
    チーム全体の共通認識として目的を設定します。人材育成はなんのために行うのかを確認したうえで、ゴールをどこにするのかを決めます。
  • 期間や内容などの検討
    評価基準を設定するための共通のものさしを決めます。例えば、資格の取得、介護プロフェッショナルキャリア段位制度を活用してのレベル向上などが考えられます。メンター制度や、OJT制度の採用も、もちろん人材育成に有効ですが、キャリアの長い介護職員の独自のやり方が横行して元の木阿弥とならないためにも、客観的な評価基準を定める必要があります。
  • 必要に応じた見直し・改善(PCDAサイクル)
    プロジェクトを推進中には、さまざまなところに問題が発生することが想定されます。実行に移したあとも、定期的に職員と面談し、問題の把握、見直し、改善を繰り返すことが大切です。

人材育成のための具体的な取り組み例

介護業界の人材確保に向けた取り組みの一環として、厚生労働省でも研修実施を推奨しています。一例を見てみましょう。

  • メンター制度
    他部署の先輩社員(メンター)が、後輩社員(メンティ)のキャリア形成上の悩みの解消を援助して個人の成長をサポートする。
    【メリット】
    ○ メンターとメンティの信頼関係が構築される。
    ○ 同じ部署ではないメンターと定期的に面談する機会を設けることで、心配ごとや不安を率直に打ち明けやすくなる。
  • OJT研修
    教育を受けたOJT指導者が中心となって新規採用者への指導を行う。
    【メリット】
    ○ OJT期間中は、指導者がついて指導するため、新人は安心してスキル取得に励むことができる。
    ○ 基本はマンツーマンでの指導であり、業務のやり方が統一される。
    ○ 新人の評価がしやすい。
  • 介護プロフェッショナルキャリア段位制度の活用
    2012年度に内閣府が創設し、2015年からは厚生労働省に移管された「介護職員資質向上促進事業(旧:実践キャリア・アップ戦略)」の介護プロフェッショナルキャリア段位制度を利用し、公の基準レベルで職員のスキルアップを図る。
    【メリット】
    ○ 介護技術のチェック項目は148個と細かく、介護技術の標準化が可能。
    ○ 介護技術の標準化により、スキルにばらつきのない人材育成も可能となり、利用者に均等に質の高い同じサービスが提供できる。
    ○ レベルによってスキル分けされているので、人事評価や給料査定にも活用できる。
  • 社内外の研修
    社外研修で得た知識を社内研修で職員に共有する。
    【メリット】
    ○ 研修を行うことで、効率的に全職員のレベルアップが図れる。
    ○ 社外研修では多くの事業所が参加するため、他の事業所と同レベルの職員を育てられる。
  • 資格取得のサポート制度(キャリアアップ研修)
    職員の将来的な展望につながるホームヘルパーや、介護福祉士などの資格取得をサポートする環境を整備する。
    【メリット】
    ○ 有資格者が増えることで、事業者で働く職員のスキルアップが底上げされる。
    ○ 資格取得後は、資格手当がつくことで職員のモチベーションが上がる。

人材育成に着手するなら、まずは現場の業務効率化から

介護現場における人材育成は、職員のスキル・モチベーションアップはもちろん、利用者にも大きなメリットを生み出します。厚生労働省も来たるべき人材不足を危惧し、介護現場における多様な働き方や教育制度の導入などを推進しています。例えば、介護プロフェッショナルキャリア段位制度を導入すると、スキルの見える化によって職員のモチベーションが上がり、事業所の責任者は職員の昇給を検討する目安にすることも可能です。

ただし、メンター制度などを導入するには事前の準備が必要です。プロジェクト発足時は、数人の職員が現場から離れ、専任として就かなければいけないこともあるでしょう。その結果、現場で人手不足が発生する可能性もあります。また、介護プロフェッショナルキャリア段位制度や、資格試験に挑戦する職員には勉強時間を確保するためにシフトの融通も必要となります。

いろいろな事態をかんがみると、人材育成は長期の視点で考えなければいけないことがわかります。では、人手不足になった現場はどうすればよいのでしょうか? 方法のひとつとして、業務のICT化があります。特に介護ソフトを導入すれば、介護日誌などをスマートフォンやタブレットから入力可能になります。介助業務の合間に作成が可能になれば、事務作業の時間を大幅に削減できるでしょう。

なかでも介護ソフトの「介舟ファミリー」は、操作が簡単で誰にでも使いやすいのが特徴です。機械が苦手な人でも簡単に扱えるようになり、業務効率化に素早く効果を発揮することが期待できます。

また、「介舟ファミリー」はオプション機能として介護事業所向けのeラーニングも提供しています。受講者はPCやスマートフォンから時間・場所を選ばずに学習でき、管理者は職員の学習状況を一括管理できるため、効率よく人材育成に取り組むことが可能です。また、研修内容は技術習得や安全・衛生管理、クレーム処理など多岐にわたり、受講者一人ひとりのニーズにあわせて選択できるのもポイントです。

人材育成はすぐに成果が出にくい対策ですが、確実に優秀な職員の確保が望めます。そのための現場の下地づくりとして、介護ソフト「介舟ファミリー」の導入を検討してみませんか。

介護施設でのBCP義務化も始まる!緊急時に備えるBCP作成のポイントを紹介

2024年度から介護事業所にもBCP(業務継続計画)策定が義務づけられました。「BCPとは?」「作成には何をどうしたらいいのだろう?」と頭を痛めている事業所の責任者も多いのではないでしょうか。
この記事では、介護施設におけるBCPの重要性と作成ポイントを、自然災害と感染症の両方の観点から紹介します。

介護施設におけるBCPの意味とその重要性

まず、BCPとはどういうものか、確認しましょう。

業務継続計画(BCP)とは

BCP(ビーシーピー)とは「Business Continuity Plan」の略称で、日本語では業務継続計画と呼ばれます。 大雨、大地震などの災害や感染症拡大などの緊急事態が発生した場合でも、損害を最小限にとどめ、重要な業務を継続する、または早期復旧を可能にするための方法、手段をまとめた計画書です。

内閣府では、BCPを以下のように定義しています。

「大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことを事業継続計画(Business Continuity Plan、BCP)と呼ぶ」

介護施設でのBCP

介護の現場でもBCPは必要です。2021年4月施行の「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」のなかで、2024年から介護業でのBCP策定が義務づけられました。これからは、大規模災害や感染症の流行などに備えて、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制づくりが求められています。介護サービスは利用者やその家族の生活を支えるために欠かせない存在だからです。

では、BCPはどのように作成するとよいのでしょうか? 作成する際のポイントを見てみましょう。

BCP作成のポイント

BCPを作成する際には、以下の6項目を中心に考えるとよいでしょう。自然災害と感染症の流行については、別々に対策を考えてBCPを作成する必要があります。

  1. 事業継続の有無の決定
  2. 被害がおよぶ範囲と、その対策
  3. 影響を受ける場所と、その対策
  4. 期間について
  5. 被害の発生を抑えることは可能か?
  6. 事業所への影響

1.事業継続の有無の決定

  • 自然災害
    初動対応のステップを決めます。通常のサービスの提供が難しい場合に備えて、提供サービスの優先順位をつけておきます。
  • 感染症の流行
    事業を継続、中断する基準を設定します。基準となる要素を洗い出し、迅速に判断できるようしておきます。利用者、働くスタッフの安全確保を一番に考える一方で、施設責任者として、経営面も視野に入れて対策を講じます。

2. 被害がおよぶ範囲と、その対策

  • 自然災害
    ガス、水道、電気などのインフラ面の損害が考えられるため、復旧までの間、どのように対処するかを考えます。(例:発電機を備えておく)
  • 感染症の流行
    感染者の隔離場所と隔離方法、クラスターを起こさないための対策を講じます。日ごろから消毒液や、マスク、防護服、またはそれに代わるものを用意しておきます。また、通常と異なる業務の発生、人手不足が想定されるため、介護派遣業者などに登録して人員を確保することも検討します。

3. 影響を受ける場所と、その対策

  • 自然災害
    自然災害の被災地域は、限られたところに限定されています。事業所が被災した場合に、インフラ面でどこまで影響を受けるか、過去の被災地や、自治体に問い合わせをするなどして確認しておきます。
  • 感染症の流行

    国内外で感染症事例が報告された時点で、迅速に対策を考えなければなりません。そのため、役所、保健所、医療機関、近隣の施設と常日ごろから連絡をとりあっておくことは重要です。正確な情報の入手方法を確保し、迅速に対策を検討できるようにします。

    そして、万が一、施設から感染者が出た場合の対策を検討します。日ごろから利用者、スタッフの体調管理を行い、発熱症状がある人を隔離するスペースを確保するなどの体制を整えておきます。

    通所施設は、多くの利用者が集まる場所なので、感染症が流行した時点で影響を受けます。また、介護施設の場合は、外出が少ない利用者よりも、スタッフや出入りする業者からの感染が施設内に広がりクラスターになる可能性があります。各施設の特徴に合わせた傾向も把握しなければいけません。

4. 期間について

  • 自然災害
    大地震などは過去の発生例を調べることで、どのくらいの期間でインフラが復旧するかなどの予測がつくため、施設の所在地ごとに確認しておく必要があります。
  • 感染症の流行

    流行が終息するまでには長期間を要する可能性も視野に入れておきます。また、感染状況には波もあるため、少し落ち着いているとき、感染者数がピークのときにそれぞれどのような対策が必要なのかを考えます。

5. 被害の発生を抑えることは可能か?

  • 自然災害
    地震は予兆がないので避けることは難しいでしょう。しかし、台風は天気予報で予測することが可能です。台風の接近情報を入手したら、すぐに安全を守るための行動に移れるような体制を整えます。
  • 感染症の流行
    海外のどこかで発生した場合、それが日本にやってくるまでの期間に準備することは可能です。感染症発生や流行の一報があったら、どこに何を問い合わせるかなど、情報入手経路を詳細まで検討しておきます。

6. 事業所への影響

  • 自然災害
    震災直後は事業所の売り上げが滞る可能性がありますが、復旧が進むにつれ業績回復が期待できます。補助金などが支給される可能性もありますが、すぐの対応は望めないため、当面困らないだけの資金が必要になります。
  • 感染症の流行
    終息のめどが立たず長期化した場合、利用者の減少が見込まれます。通所系の施設は休業という選択肢も視野に入れる必要があるでしょう。施設運営者は、業績悪化という事態に備えた事業継続の対策もBCPに盛り込んでおかなければいけません。

策定したBCPに沿って、自家発電装置を導入するといった準備や体制を整え、職員の不足を想定して、近隣施設に応援を頼めるような働きかけを、施設の責任者は日ごろから行うことが重要です。

また、日常業務の優先順位も確認しておきます。特に、施設では利用者の命にかかわる食事、排せつ、与薬、医療行為は止めることなく継続し、そのほかの業務は停止することで、速やかに非常事態の鎮静に注力することが大切です。

厚生労働省では、介護事業所に向けてのガイドライン資料やひな型、様式ツール集、研修動画を公開しています。こうした資料を参考にして、BCPの具体的なイメージをつかむこともできるでしょう。

厚生労働省のガイドラインやテンプレートはこちらから。

適切なBCPの作成はいざというときに利用者と事業所を守る指針に

介護施設でのBCPが義務化されたことにより、介護現場の責任者への負担はますます増えました。
しかし、BCPは利用者、スタッフを守るだけでなく、万が一の際にも介護施設の運営を中断することなくサービスを継続する、もしくは中断した場合には一日も早く復旧させるための計画書となります。緊急時の指針となるので、しっかりつくりこみたいものです。

事業所に保管している書類には、利用者の病歴や与薬データなどの情報が記載されているものもあるでしょう。これらは、利用者の命を守るための大切な情報です。重要書類が水没や焼失によって紛失してしまうことがないよう、万全の対策を講じることもBCPの一環となります。効果的なのは、必要な情報をクラウドに保存する介護ソフトの導入です。

介護ソフト「介舟ファミリー」は、利用者の情報をすべてクラウドに保存するので、自然災害発生時に重要なデータを紛失することを防ぐことが可能です。また、直感的な操作が可能なので、IT機器の使い方に慣れていないスタッフにも扱いやすく、導入しやすいのも特徴のひとつです。ぜひご検討ください。

介護業界のICT導入補助金制度!内容、金額、導入後の効果を紹介

介護現場へのICT導入支援事業の一環として、厚生労働省が打ち出した補助金制度。「補助金制度があることは知っているけれど、具体的な内容がわからない」という管理職も多いのではないでしょうか。
この記事では、ICTを導入した介護事業所への補助金制度の概要、補助金の金額、そして、ICT導入支援事業を利用した事業所はどのように変わるのかについて解説します。

介護現場のICTとは

厚生労働省は介護現場で働く人たちの負担を軽減するため、ICT補助金を交付して、介護現場のICT化を支援しています。では、ICT化とは何を指すのでしょうか?

ICTとは何か?

ICTとは「Information and Communication Technology」の略称で、「情報通信技術」という意味です。
例えば、インターネット検索やSNS、メールのやりとりなどはICTを活用したコミュニケーションです。最近では、学校のオンライン授業、医師によるオンライン診療、企業におけるテレワークなど、ICTの活用場面は広がっています。もちろん、介護現場でもICTの活用が始まっています。

介護現場でのICT導入で期待できる効果

ICTを導入すると、以下のような効果が期待できます。

  • 記録業務をタブレット端末などで行うことで効率化が図れる
    テンプレートや単語登録機能を活用することで、記録にかかる作業時間を短縮することが可能です。また、場所を選ばず作業ができるため、ちょっとした隙間時間などを利用して書類作業を進めることもできるようになります。
  • インカムなどを利用することで管理者が複数スタッフへの指示をタイムリーに発信可能
    例えば、通所介護施設において、管理者からスタッフへ「そろそろ利用者さんの帰宅時間ですので、スタッフはフォローお願いします」といった指示を的確に出すことができるため、業務の進行が円滑になります。
  • 業務データのペーパーレス化
    紙の書類を保管する必要がなくなり、省スペース化につながります。また、書類の破損や紛失の心配もなくなります。
  • 介護報酬の請求作業量の軽減

    介護ソフトを活用することで介護記録・情報共有・請求業務まで一気通貫で行うことができるため、大幅な作業時間の短縮につながります。記録ソフトと連携することで請求ソフトへのデータ入力が不要になり、手入力によるミスを回避できます。

  • 介護ロボット・センサーを導入することで、スタッフの身体的・精神的負担を軽減
    慢性的な人手不足の介護業界にとって、介護業務の一部を任せられる介護ロボットやセンサーの導入はもはや必要不可欠です。管理者としてはスタッフの負担軽減の観点からも、導入の検討は避けられないでしょう。

現在、いずれの機関・施設からでも利用者の情報を確認できるように、医療現場と介護業界などの情報を標準仕様にする取り組みを厚生労働省が率先して行っています。このような動向をかんがみても、介護現場でICT化の普及は加速度がつくことが予測されます。

ICT導入には補助金が使える条件や具体的な金額は?

ICTの導入には一定のコストがかかります。政府は、ICT導入支援事業の一環として、補助金制度を設けています。

補助金制度とは?

ICT補助金とは、厚生労働省が推進するICT導入の補助金制度であり、令和4年(2022年)度の地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)の予算は137億4千万円が計上されています。ICT補助金の交付を受けるためには申請が必要で、受付は各自治体で行っています。また、補助金を受け取るには以下の4つの要件を満たす必要があります。

  • LIFEによる情報収集・フィードバックに協力
  • 他事業所からの照会に対応
  • 導入計画の作成、導入効果報告(2年間)
  • IPAが実施する「SECURITY ACTION」への宣言

支給される補助の金額

【補助可能な金額】

事業所規模(職員数)に応じた上限額が下記の通りに設定されています。
職員1人~10人 :100万円
職員11人~20人:160万円
職員21人~30人:200万円
職員31人以上  :260万円

また、補助割合は導入費用の2分の1を下限に都道府県ごとに定められています。
ただし、以下の条件のいずれかを満たせば、補助金額の下限を導入費用の4分の3にすることも可能です。(各都道府県により異なる)

  • 事業所間でケアプランのデータを連携し、負担軽減を実現
  • LIFEの「CSV連携仕様」を実装した介護ソフトで実際にデータ登録を実施
  • ICT導入計画で文書量を半減
  • ケアプランデータ連携システムの利用

補助金を受けるための申請方法

ICT導入支援事業の受付窓口は各都道府県の自治体になっています。申請方法や募集要項は各自治体のウェブサイトで確認してください。
ICT導入支援事業の実施自治体数は、令和元年(2019年)度の15県から、令和2年(2020年)度には40都道府県に増加し、令和3年(2021年)度には、すべての都道府県で実施されました。

補助金制度の対象となる導入費用

  • 介護ソフト(ケアプラン連携標準仕様)
  • 情報端末……タブレット端末 スマートフォン端末 インカム等
  • 通信環境機器……Wi-Fiルーター等
  • その他運用経費……クラウド利用料、サポート費、研修費、他事業所からの紹介対応経費、バックオフィスソフト(勤怠管理、シフト管理等)等

ただし、ICT導入支援事業の支援対象や金額は、毎年見直しが行われています。次年度は限度額や、補助対象が変わる可能性も高いので、厚生労働省や地方自治体のウェブサイトで確認しましょう。

ICT導入支援事業による効果

ICTを導入した事業所における効果を見てみましょう。

厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課が発表した「令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ」によると、ICTを導入した6割以上の事業所が、以下のような効果があったと回答しています。

  1. 直接ケアにあたる時間が増加した
  2. 支援の質が上がった
  3. 業務上の単純ミスが減った
  4. 勤務態勢が改善された
  5. 業務管理が効率化された
  6. 間接業務の時間が削減された

情報の記録・入力や各種会議などの間接業務時間の削減について、92%の事業所が削減されたと回答しました。介護などの直接ケア時間の増加については、68.7%の事業所が増加したと回答しています。

入力などにかかる事務作業が減り、介護に使える時間が増えたといえるでしょう。

補助金を活用したICT導入で介護の質を向上させよう

介護現場での業務軽減に大きく役に立つICT。導入することで、スタッフの間接業務に携わる時間が減り、本来の業務に集中する時間が増えます。それは、利用者への高品質のサービスを提供することにもつながります。

介護現場のICT化は政府も推進しているため、これから加速することが見込まれます。施設の運営責任者としては、この機会に、補助金制度を活用した導入を検討するプロジェクトを立ち上げるとよいでしょう。

なかでも、介護ソフトの導入を検討している事業所には、ICT補助金の補助対象になっている「介舟ファミリー」がおすすめです。記録・情報共有・請求業務を一気通貫で行うことができるので、転記ミスの防止だけでなく、ダブルチェックやトリプルチェックも不要になります。スタッフの間接業務の時間を短縮できるでしょう。ぜひご検討ください。

レセプト業務を効率化 介護ソフトの選び方5つのポイント

介護レセプト業務は作業量が多く、いつも締め切りギリギリになって困っている人は少なくありません。
効率的に仕事を進める方法はないかと頭を悩ませている人もいるのではないでしょうか。

また、利用者や従業員が増え、もっと使い勝手のよいソフトウェアを探している事業所も多いかもしれません。

この記事では、レセプト業務を効率的に進めるため、介護ソフトを選ぶ際のポイントを紹介します。

レセプト業務は介護ソフトで効率化

介護給付費の請求方法は、インターネットによる伝送もしくは磁気媒体(CD-ROM)での送付が原則です。
そのため、ほとんどの介護事業所では、請求データの作成や送信が可能な介護ソフトを導入しています。

介護ソフトを導入すると、レセプト業務のなかでも時間のかかる単位数の計算や、国保連(国民健康保険団体連合会の通称)への請求業務を簡単に行えます。

介護ソフトには、国保中央会(国民健康保険中央会の略称)の介護伝送ソフトと市販の介護ソフトがあります。
国保中央会の介護伝送ソフトは、請求業務に特化したシンプルなつくりになっています。

一方、市販の介護ソフトには、請求業務に加え、記録機能や計画書作成など、さまざまな業務を効率化する機能が付加されていることが多いです。

また、製品によってはさまざまなオプションがあり、事業所ごとに適した機能を導入することが可能です。
そのため、国保中央会の介護伝送ソフトよりも市販の介護ソフトを導入するメリットは大きいといえるでしょう。

介護の請求業務について詳しくは「介護請求の重要性とは?ミスを軽減するためのポイントを解説」をご参照ください。

国保中央会の介護伝送ソフトと市販の介護ソフトの比較

国保中央会の介護伝送ソフトと市販の介護ソフトの違いについて、5つの項目に分けて見ていきましょう。

価格

国保中央会の介護伝送ソフトは、2022年11月現在、導入時に60,000円がかかります。
そのほかに、電子証明書の発行手数料が13,200円必要です。この電子証明書は3年間有効であるため、3年経過後に継続して使用する場合は、再び発行手数料を支払う必要があります。

また、国保中央会の介護伝送ソフトはインストール型のため、パソコンごとにソフトが必要となり、パソコンの台数が増えるほど費用負担も大きくなります。

一方、市販の介護ソフトは、種類によって価格はさまざまです。価格に着目して分類すると、次の3種類になります。

  • 初期費用が高いがランニングコストは抑えめ
  • 初期費用は安いがランニングコストは高い
  • 初期費用、ランニングコストともに安いが、バージョンアップやサポートが少なめ

また、パッケージ型とクラウド型では、価格帯の相場が違います。パッケージ型は導入時に数十万円程度、クラウド型では月額1~2万円程度が相場となっています。

機能

国保中央会の介護伝送ソフトは、請求業務に特化しているため、国保連あての一般的な請求業務のみが機能として備わっています。請求業務には限度額調整や利用者請求書管理も含まれるものの、利用者や家族あての請求書の発行はできません。

一方、市販の介護ソフトは、一般的な請求業務に加え、ほかの業務に関係するさまざまな機能を搭載しています。例えば、経理管理や給与管理といった経理事務関連、営業支援や個別支援計画書、日々の記録作成など、業務改善に役立つ機能が豊富です。

ほかにも、障害分野と連携できるものや、教材や研修の情報などを提供するソフトもあります。

操作性

国保中央会の介護伝送ソフトは、請求業務に特化し付加機能が少ないため、シンプルで操作しやすいでしょう。

一方、市販の介護ソフトの操作性は製品によってまちまちです。操作性を追求したタイプと、機能性を重視したタイプに分けられます。無料体験期間を設けていたり、デモ機を操作できたりすることもあるため、購入前に操作性を確認しておくとよいでしょう。

サポート体制

国保中央会の介護伝送ソフトの場合、サポートを行うのはヘルプデスクとなっています。ヘルプデスクの受付時間は基本的に平日の業務時間帯ですが、請求時期である毎月1~10日の間は土曜日も対応しています。

しかし、時期によっては込み合うため、つながりにくい場合もあるでしょう。
法改正に対応したソフトのバージョンアップは問題なく行われます。

市販の介護ソフトの場合、製品によってサポート体制は異なります。通常はヘルプデスクがあり、電話対応だけでなく、遠隔サポートや訪問サポートを行っている場合もあります。電話がつながりやすいかどうかは運営会社によって違いがあり、安価なソフトはサポート体制が薄い傾向もあるようです。

法改正時の対応もソフトによって違い、対応が遅れる場合や対応しないケースもあるでしょう。バージョンアップが標準装備ではなくオプションとなっているソフトの場合は、別料金が必要です。

インストール型とクラウド型

介護ソフトには、パソコンに直接インストールするタイプと、クラウドを利用するタイプがあります。国保中央会の介護伝送ソフトは前述したようにインストール型であるため、パソコンの台数が増えるほど費用もかかります。

市販の介護ソフトの場合は、インストール型とクラウド型の両方があり、クラウド型のほうが多めです。クラウド型は使用するパソコンの台数に制限はなく、法改正等のシステム更新も自動で行われるため、メリットが大きいでしょう。

介護ソフトの選び方5つのポイント

介護ソフトを選ぶときには、まず、自社の課題を理解する必要があります。
そして、課題を解決するために、どのような業務を改善もしくは効率化するのかを決め、その目的に合ったソフトを選ぶことが重要です。

ここでは、介護ソフトを選ぶ際のポイントを5つ挙げて解説します。

料金で選ぶ

料金で選ぶときには、初期費用とランニングコストを含めた合計金額で確認しましょう。
月額制の場合、完全月額制であれば、導入時に一括して払う必要がないため、初期費用が抑えられます。

国保中央会の介護伝送ソフトは導入費用が安いため、合計金額がもっとも安いソフトと思いがちです。しかし、市販の介護ソフトのなかには、国保中央会の介護伝送ソフトよりも費用がかからないソフトもあります。

事業所の規模やサービスの種類によっては、国保中央会の介護伝送ソフトを利用するほうが高くついてしまうケースもあるでしょう。

機能で選ぶ

介護ソフトで請求業務のみを行うのであれば、請求業務に特化した介護ソフトを選ぶとよいでしょう。請求業務以外に経理管理や計画書作成など、事業運営にも利用したい場合は、機能が充実している市販の介護ソフトがおすすめです。

自社に必要な機能が搭載されていることを確認して最適なソフトを選択するとよいでしょう。
特に、伝送サービスは基本搭載されていない場合があるので、事前の確認が重要です。

操作性で選ぶ

介護ソフトを操作性で選ぶときには、使う人全員が操作しやすいかが重要なポイントとなります。
国保中央会の介護伝送ソフトは機能が少ないため、操作性が良好です。

市販の介護ソフトを選ぶときには、デモ機などで購入前に操作性を確認するとよいでしょう。

サポート体制で選ぶ

サポート体制で選ぶときには、ヘルプデスクへのつながりやすさと操作説明への対応が可能かどうかに着目しましょう。

国保中央会の介護伝送ソフトの場合、通常時は平日の業務時間帯、繁忙期は土曜日も対応しているものの、電話が集中することも想定されます。市販の介護ソフトの場合は、繁忙期でも比較的容易につながるケースが多いでしょう。ただし、安価なソフトの場合は、つながりにくいケースもあるので注意が必要です。

また、導入への不安がある場合は、初期説明や導入サポートを付けられる製品がおすすめです。遠隔サポートや訪問サポートを行っている製品もあります。

サポートの対象範囲や種類、受付時間などを比較して、自社の求めているサポート体制をとっている介護ソフトを選ぶとよいでしょう。

オプションで選ぶ

国保中央会の介護伝送ソフトにはオプションがありません。そのため、オプション機能を付けたいときには市販の介護ソフトを選択します。

オプションは製品によって多種多様で、通所介護や訪問介護、入所施設など、事業種別に特化したつくりになっていることが多いでしょう。自社にどの機能が必要かを確認し、必要なオプションがあるかどうかを確認してから検討に入るとよいでしょう。

自社の課題解決に役立つソフトを選び介護レセプト業務を効率的に行おう

介護レセプト業務を効率的に行うためには、自社の課題を解決する機能が搭載されたソフトを選ぶことが大切です。使いやすさを重視するなら操作性が良くサポート体制が充実しているソフト、請求業務に加え経理管理や計画書作成などを一括で行いたいなら機能性を重視したソフトを選ぶとよいでしょう。

介護ソフト「介舟ファミリー」は、ひと目でわかる画面構成で誰でも操作しやすく、専門スタッフによるサポートが丁寧で安心して利用できます。全国無料で訪問デモンストレーションも行っていますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。

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介護のアセスメントとモニタリングとは?効率化を図るためのポイントを紹介

介護のアセスメントとモニタリングは、ケアマネジャー(以下ケアマネ)にとって重要な業務です。しかし、アセスメントとモニタリング業務が長時間におよぶと、利用者と家族を疲弊させてしまいます。ほかの業務時間を圧迫することにもなるため、効率良く行わなければいけません

そのようなケアマネの悩みに対して、事業責任者や施設長はどのような提案ができるのでしょうか? この記事では、アセスメントとモニタリングの基本を押さえながら、業務の効率化を図るためのポイントを紹介します。

アセスメントとモニタリングの違い

アセスメントとは、介護サービスを提供する前にケアプランを作成するために行うヒアリングです。

一方、モニタリングは、介護サービスを継続している利用者が、作成したケアプランのとおりにサービスを受けているかを確認するためのヒアリングです。

どちらもケアマネ、利用者、家族と面談する形式で進められますが、聞き取り内容が異なります。

アセスメントとは

利用者が介護サービスを受けようとするとき、ファーストタッチとしてケアマネ、利用者、そして家族が同席して話し合いを行うのがアセスメントです。

ケアマネは主に「今までの環境」、「現在の状況」、「介護が必要かどうか」、「必要と判断した場合はどのようなサービスを提供するのが適切か」などをヒアリングし、聞き取った情報をもとにケアプランを立てていきます。

アセスメントの流れと確認項目

  1. 事前の情報収集と整理
    医師の意見書や利用者からの問い合わせの電話など、アセスメントの前に収集可能な情報をまとめ、整理しておきます。

  2. 面談
    利用者の希望や、家族の要望などを聞きます。ケアマネが自分の考えを述べることはなるべく控え、あくまで利用者が「どうしたいのか」を聞き出すことを目的として行います。

    例えば、利用者が「食事はひとりで摂取できます」と回答したならば、箸(はし)を使えるか、スプーンやフォークが必要かについて聞くなど、状態を把握するために具体的に掘り下げて聞きます。

    ただし、面談には利用者から情報を集める目的のほかに、ケアマネが利用者、家族と信頼関係を築くという意図もあるので、相手が話したくないことは無理に聞き出さないという配慮も必要です。

    アセスメントは気を使うプロセスであり、ケアマネにかかる負担は大きいですが、利用者の要望を聞き、適切に応えられることが事業所の評判にもつながります。

  3. アセスメントシート作成
    面談した結果をシートに記載します。
    シートの様式はさまざまありますが、主に以下の7種類が知られています。
    ・包括的自立支援プログラム
    ・居宅サービス計画ガイドライン
    ・MDS-HC方式
    ・R4
    ・ケアマネジメント実践記録方式
    ・日本介護福祉会方式
    ・日本訪問看護振興財団版方式。

以下の23項目は、必ずヒアリングしなければいけないポイントです。

【基本情報に関する関する項目】
No 標準項目名 項目の主な内容(例)
1
基本情報(受付、利用者等基本情報) 居宅サービス計画作成についての利用者受付情報(受付日時、受付対応者、受付方法等)、利用者の基本情報(氏名、性別、生年月日、住所・電話 番号等の連絡先)、利用者以外の家族等の基本情報について記載する項目
2
生活状況 利用者の現在の生活状況、生活歴等について記載する項目
3
利用者の被保険者情報 利用者の被保険者情報(介護保険、医療保険、生活保護、身体障害者手帳の有無等)について記載する項目
4
現在利用しているサービスの状況 介護保険給付の内外を問わず、利用者が現在受けているサービスの状況について記載する項目
5
障害老人の日常生活自立度 障害老人の日常生活自立度について記載する項目
6
認知症である老人の日常生活自立度 認知症である老人の日常生活自立度について記載する項目
7
主訴 利用者及びその家族の主訴や要望について記載する項目
8
認定情報 利用者の認定結果(要介護状態区分、審査会の意見、支給限度額等)について記載する項目
9
課題分析(アセスメント)理由 当該課題分析(アセスメント)の理由(初回、定期、退院退所時等)について記載する項目
課題分析(アセスメント)に関する項目
No 標準項目名 項目の主な内容(例)
10
健康状態 利用者の健康状態(既往歴、主傷病、症状、痛み等)について記載する項目
11
ADL ADL(寝返り、起きあがり、移乗、歩行、着衣、入浴、排泄等)に関する項目
12
IADL IADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等)に関する項目
13
認知 日常の意思決定を行うための認知能力の程度に関する項目
14
コミュニケーション能力 意思の伝達、視力、聴力等のコミュニケーションに関する項目
15
社会との関わり 社会との関わり(社会的活動への参加意欲、社会との関わりの変化、喪失感や孤独感等)に関する項目
16
排尿・排便 失禁の状況、排尿排泄後の後始末、コントロール方法、頻度などに関する項目
17
じょく瘡・皮膚の問題 じょく瘡の程度、皮膚の清潔状況等に関する項目
18
口腔衛生 歯・口腔内の状態や口腔衛生に関する項目
19
食事摂取 食事摂取(栄養、食事回数、水分量等)に関する項目
20
問題行動 問題行動(暴言暴行、徘徊、介護の抵抗、収集癖、火の不始末、不潔行為、異食行動等)に関する項目
21
介護力 利用者の介護力(介護者の有無、介護者の介護意思、介護負担、主な介護者に関する情報等)に関する項目
22
居住環境 住宅改修の必要性、危険個所等の現在の居住環境について記載する項目
23
特別な状況 特別な状況(虐待、ターミナルケア等)に関する項目

これらの23項目を満たしていれば、アセスメントシートはカスタマイズも可能です。
使いやすいアセスメントシートについては以下で詳しく説明しています。あわせてぜひご一読ください。

モニタリングとは

モニタリングとは、すでに介護サービスを受けている利用者が「ケアプランどおりに介護サービスを受けられているか」、「困ったことや不都合なことはないか」、「このままサービスを継続してよいか」などを判断するため、定期的に利用者や家族と面談することです。

もし、利用者の状況に変化が生じており、現在のプランを継続することが難しいと判断された場合は、ケアプランを修正します。

モニタリングは、サービス提供開始後も、引き続き納得してサービスを継続してもらうために重要な業務です。利用者が満足するサービスの提供を目指して、アセスメントとともに、ケアマネの手腕が問われる業務だといえるでしょう。

モニタリングの流れと確認項目

  1. サービス担当者へのヒアリング
    実際に施設を訪問して、介護スタッフやホームヘルパーから事前に話を聞いたり、介護記録を閲覧したりして利用者の状況を把握しておきます。

  2. 利用者、家族の面談
    ケアプランどおりにサービスが実施されているか、利用者が満足しているかどうかを確認し、必要に応じてケアプランを修正します。

  3. モニタリングシート作成

    アセスメントシートと違い、モニタリングシートには特に決められた様式や必須項目はありません。ほとんどの事業所では、記入日、担当者名、利用者名、実施場所、立ち会った家族の名前、短期・長期の目標、身体状況の変化、そのときに出た意見などが記載する項目となっているようです。

アセスメント、モニタリング業務の効率化

目的は違うものの、アセスメントとモニタリングはどちらも、利用者や家族からの希望や意見をヒアリングして記録に残し、適切なプランニングにつなげ、実行に移す業務だといえます。

どちらのヒアリングも、利用者や家族の負担を考えて1時間以内で終了することが望ましく、聞きもらすことがないよう万全な事前準備が必要になるため、ケアマネにはとても負担がかかります。

そのようなケアマネに対して、上長としてどのようなアドバイスができるのでしょうか? ヒアリングと記録、それぞれの面から業務の効率化を図れるポイントについて以下に解説します。

ヒアリング

ヒアリングに関しては、以下の4つのポイントをアドバイスするとよいでしょう。

  1. ゴールを決めてヒアリングを進めない
    ケアマネが介護サービスの目標を決めて話を主導すると、利用者の希望が反映されないことがあります。
    まずは、ケアマネが聞き役になり、利用者の話を聞くことに徹するとよいことを伝えましょう。

  2. 関係のない話だとすぐに判断しない
    関係のない話題だと思っても、そのまま聞いていると実はそのなかに利用者の要望が混じっていることもあります。
    要望がわかれば、そこから「どうすればよいのか」を考えることができ、結果的にアセスメントが短時間で終了するかもしれません。

    ケアマネには、利用者が関係のない話をしているように思えても、少し我慢して聞き続けることも大切だと伝えましょう。

  3. 「それはつまり、こういうことですか?」と要点をまとめて質問してみる
    利用者や家族は話があっちこっちに飛んでしまい「結局、何が言いたいんだっけ」と迷走することもよくあります。

    そのようなときは、要点をまとめて「それはつまり、こういうことですか?」とクッションフレーズをいれるとスムーズに進むことを伝えましょう。

  4. 利用者の要望をかなえることが難しい場合は、理由の提示と代替案をセットで提示する
    利用者の要望をかなえることが難しい際には、「なぜ難しいのか」をわかりやすく説明し、それと同時に「こちらのサービスは難しいですが、このサービスなら受けることは可能です」と代替案を出すと、利用者も納得しやすいことを伝えましょう。

記録(シート記入)

シートの記帳に関しては、以下の3つのポイントのサポートがあると効果的です。上長は、ケアマネが働きやすいような環境を整える支援をしましょう。

  1. 定型文を作成しておく
    何度も使う文言は、単語登録や文例集を作成しておき、そこから転記すればシートへの入力が速くなります。
    上長は単語登録方法のマニュアル作成、文例集の保存場所などを用意しておくといいでしょう。

  2. テンプレートの作成
    モニタリングシートは特に様式が決まっていないので、統一した様式を準備し、テンプレートとして活用するとよいでしょう。
    ケアマネの業務がはかどるだけでなく、読みやすくなり、公の機関に提出を求められた際もそのまま提出できるという利点があります。

  3. 介護ソフトの導入
    表計算ソフトなどを代用してテンプレートを作成することも可能ですが、介護に特化していないため使いづらい箇所が出てきます。
    介護に特化した介護ソフトを導入すれば、使いやすく業務効率も上がるでしょう。
    多くの利用者を受け持つケアマネにとっては、介護ソフトの導入だけでストレスが軽減することも期待できます。

アセスメントとモニタリングの効率化には介護ソフト導入がおすすめ

ヒアリングをしてシートに記入するところまでが一連の作業となるアセスメントとモニタリング。どちらもケアマネには欠かせない業務であり、事業所の評判にもつながる重要なプロセスです。

ケアマネは利用者と密接にかかわる、いわば事業者の顔です。ケアマネは、常に利用者が満足するサービスを提案したいと思いつつ、雑務に追われてなかなか時間がとれず「どうしていいのかわからない」と悩んでいるかも知れません。

ケアマネの業務を効率化するために、事業所として介護ソフトの導入を検討するのもよいでしょう。

なかでも介護保険・障害者福祉請求ソフトの「介舟ファミリー」は、わかりやすい操作画面で直感的に使え、導入にともなうケアマネの負担も少ないのでおすすめです。

また、介護ソフトを導入すると、ケアマネの業務効率化が実現するだけではなく、事業所としても利用者の情報をリアルタイムで共有できるというメリットがあります。

例えば、ケアマネ不在時に家族から問い合わせがあった場合も、ほかのスタッフが対応することが可能です。常に迅速な対応ができることは、預ける家族に安心感を与え、事業所の信用につながるでしょう。

初めて介護ソフトを導入するなら、使い勝手の良い「介舟ファミリー」が安心です。ぜひご検討ください。

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