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障害者総合支援法(旧障害者自立支援法)などの2024年改正のポイントを解説!

障害者総合支援法は介護ともかかわりの深い部分もあり、介護事業者にとっては、大まかに内容を知っておく必要のある法律ともいえます。障害者総合支援法の次回改正は2024年に迫っています。介護保険にかかわる部分もあるため、内容を押さえておきたい人も多いのではないでしょうか。この記事では、2024年の障害者総合支援法改正について、注目すべきポイントを解説します。

また、障害者を支援する法律のうち、同じく2024年に改正予定のものがいくつかありますので、そちらの一部もあわせて紹介します。
平成25年4月1日より、「障害者自立支援法」は「障害者総合支援法」に名称が変更されています

障害者総合支援法の概要と改正の目的とは

障害者総合支援法は、障害の有無にかかわらず、個人として社会生活を営むことを支援する法律です。
社会情勢や障害者を取り巻く実情に合った内容へ調整するため、定期的に改正されています。
2024年の改正では、障害者の地域生活や就労支援の強化を行うことで、障害者の希望する生活の実現を目指す内容が盛り込まれています。
2024年は、医療や介護保険も同時に改正が行われる年度となるため、とくに注目を集めています。

障害者総合支援法などの2024年改正で注目すべき5つのポイント

障害者総合支援法をはじめとした障害者支援に関する法律の2024年の改正で、注目すべきポイントは5つあります。
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

1.障害者等の地域生活に関する支援(障害者総合支援法)

障害者等の地域生活に関する支援は、「居住支援」と「相談支援」のふたつがあります。

居住支援

居住支援では、障害者の希望する暮らし方が多様化することを見据え、地域生活の支援体制を充実する施策が盛り込まれています。

グループホームで生活する障害者が、一人暮らしやパートナーとの暮らしを望んだ場合に、地域生活へスムーズに移行できるように支援することが、グループホームの支援内容に追加されます。具体的には、グループホーム入居中からの移行支援や退去後の相談に応じ、安心して地域で生活できるように支援します。

自宅で生活する障害者に対する居住支援では、親亡き後の生活を見据えた支援を行います。将来、障害者が安心して地域での生活を送れるよう、緊急時の相談体制を整備します。また、短期入所の活用により、親元から離れての生活へスムーズに移行できる体制をつくります。強度行動障害を有する障害者に対しては、状態悪化時にグループホームや入所施設などで集中的な支援を受けられるような具体的方策も検討されています。

相談支援

障害者を支える相談支援センターおよび相談支援専門員数は年々増加しており、相談支援専門員のさらなる資質の向上が求められています。また、相談支援センターの利用者も増加傾向にあることから、地域生活の支援を推進していく必要もあり、相談支援事業の充実、強化が求められています。

2012年に設置開始となった基幹相談支援センターは、地域における障害福祉にかかわる総合的な相談窓口です。身体・知的・精神障害を持つ人たちのさまざまな相談に対応しています。しかし、設置は市町村の任意であることや、人材育成や支援者をサポートする取り組みが実施されていない地域もあることから、基幹相談支援センターの設置が努力義務化されます。

また、地域住民の多様な支援ニーズに応えるため、期間相談支援センターが医療や福祉などの相談支援関係者との連携を図る際の窓口として、周知を図るよう求められています。

2.障害者の多様な就労ニーズに対する支援(障害者総合支援法、障害者雇用促進法)

障害者の就労ニーズに対する支援には、次のふたつがあります。

就労選択支援の創設

障害者の希望や能力に合わせた就労ができるよう、雇用施策と福祉施策の連携強化として「就労選択支援」が創設されます。
就労支援の充実を図り、教育や医療などの関係機関との連携や、就労系障害サービスの利用を希望する障害者へのアセスメント実施の制度化を検討します。
そのうえで、就労支援に関する障害者総合支援制度を見直し、就労を支援する担い手を育成する方向で議論が進んでいます。

短時間労働者の雇用率算定特例

就労を希望する障害者のなかには、短時間しか働けない人も少なくありません。しかし、就労雇用率制度では、週所定労働20時間未満の障害者は雇用義務の対象外となるため、就労機会を逃している人が大勢いると考えられます。

そこで2024年度の法改正では、雇用義務対象外である週所定労働10時間以上20時間未満の障害者を事業者が雇用した場合、実雇用率に算定できるようになる予定です。これには障害者の就労機会を拡大する目的がありますが、同時に障害者を採用する企業のメリットにもなるでしょう。

3.精神障害者に対する支援体制の整備(精神保健福祉法)

精神障害者の支援体制整備には次の3つがあります。

医療保護入院の条件拡大

医療保護入院では、家族等の同意が得られないため適切な治療が行えず、症状が悪化するケースがあります。

2024年度の改正では、より多くの精神障害者が適切な治療を行えるよう、家族等が同意・不同意の意思表示を行わない場合でも、市町村長の同意による入院が可能となります。
また、医療保護入院の期間は6か月と定め、定期的に入院要件を確認する運びとなりました。

入院者訪問支援事業の創設

市町村長の同意による医療保護入院の患者に対する支援として、新たに入院者訪問支援事業が創設されます。
この支援事業は、医療保護入院の患者を中心に、本人が希望した場合に訪問支援する事業です。この事業の創設に伴い、医療保護入院者等に対して行う告知内容に、入院措置をとる理由が追加されます。

精神科病院における虐待防止

精神科病院におけるさらなる虐待防止策として、従事者などが虐待を発見した場合に都道府県の管轄機関へ通報することが義務化され、通報者を守る体制が明確化されます。
また、従事者などへの研修や普及啓発なども実施されます。

4.難病患者等に対する支援強化(難病法、児童福祉法)

難病患者等に対する支援が強化されます。難病患者および小児慢性特定疾病児童などに対する医療費助成の開始時期を、現在の申請日から、重症化した日に前倒しすることになりました。また、関係する療養生活支援の円滑な利用やデータ登録促進を図る目的から、新たに登録者証が発行されます。さらに、難病患者の療養生活支援や小児慢性特定疾病児童等の自立支援事業を強化するため、難病相談支援センターと福祉や就労に関する支援を行う人との連携が促進されます。

5.障害福祉分野におけるデータ基盤の整備(障害者総合支援法、児童福祉法、難病法)

障害福祉分野におけるデータ基盤の整備です。
国の調査分析や市町村による補装具を含めた自立支援給付などのデータ提供、第三者への提供等にかかわる仕組みを設けるため、障害福祉分野でも情報収集を行っていく方向となりました。
そのため、障害者データベースや難病データベース、小児慢性特定疾病児童データベースの法的根拠や安全管理措置、第三者提供ルール等に関する規定が新設されます。
また、難病データベースについては、助成対象外の軽症者についても登録できるようにするなど、登録対象者を拡大し、データ基盤の整備を進めていく方向です。

2024年改正で始まるふたつの新サービス

2024年度の障害者支援に関する法改正では、新たにふたつのサービスが始まります。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

アセスメントを活用した就労選択支援

就労選択支援とは、支援者と障害者が協力して就労を進めていく支援です。就労選択支援では、まず、支援者が就労にかかわるアセスメントを丁寧に行います。アセスメントの内容には、以下のような項目があります。

  • 職種や労働条件の希望
  • 持っている能力や適性
  • 就労後に必要な合理的配慮の内容

アセスメント結果をもとに、ハローワークが就労指導の実施や、就労系障害サービスの利用につなげていきます。
この新サービスが開始されることで、障害者がより能力や適性に合った仕事に従事し、多様なニーズに対応できるようになることが期待されています。

精神障害者に対する入院者訪問支援事業

入院者訪問支援事業とは、市町村長同意入院者を対象に、希望者のもとを支援員が訪問し、本人の体験や気持ちを丁寧に傾聴し、必要に応じて情報提供を行う事業です。医療保護入院では、医療従事者以外との交流が途絶えやすく、孤立感や自尊心の低下がみられる可能性があるため創設されました。
なお、この事業は都道府県の任意事業として位置づけられる予定です。

改正に向けて早めに準備しよう

2024年の障害者総合支援法などの改正により、新たなサービスが始まります。今後の議論次第では、さらに違った動きが出てくることも予想されます。改正内容に慌てず対応するためには、早めに業務効率化を進め、人材リソースに余裕を持っておくことが大切です。

そこでおすすめなのが、介護ソフトの導入・リプレイスです。煩雑になりがちな事務作業を効率化し、法改正に対応する余裕が生まれるだけでなく、本来の介護の業務により多くの時間をかけられるようになるでしょう。

介護ソフトの「介舟ファミリー」は、万全のサポート体制を整えているので、安心して導入できます。改正に向けた準備として、「介舟ファミリー」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

2024年介護保険法改正はどうなる?政府提言のポイントをわかりやすく解説

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次回の介護保険制度の改正が2024年に予定されています。2024年度は医療保険や障害者総合支援法も改正の時期にあたるため、大きな転換期となることが予想されます。
2024年の介護保険制度の改正では、社会保障費や利用者負担が大きな論点となっており、介護事業者としても目が離せない内容となるでしょう。
この記事では、2024年の介護保険制度の改正に向けた政府提言について、わかりやすく解説します。

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介護保険制度はなぜ改正する?改正の仕組みを知ろう

介護保険法は、高齢者の現状を踏まえつつ社会のニーズに合わせるため、3年ごとに改正する仕組みとなっています。
介護保険制度が創設されて20年が経ち、厚生労働省の「介護保険制度の概要(令和3年5月)」によると65歳以上の被保険者は1.6倍に、介護サービス利用者は3.3倍に増加しました。いまや、介護保険制度は高齢者の生活に欠かせないものとなっています。

高齢者人口が増え続ける一方、介護保険制度を支える現役世代は人口が減少しています。介護保険制度を維持していくためには、制度を見直しながら現状に合わせていかなければなりません。また、高齢者を取り巻く現状や社会ニーズも変化していくため、定期的に介護保険制度の改正が行われているのです。

介護保険制度を改正する際には、まず、介護保険制度や介護保険サービスのあり方について調査が行われます。
その後、大きなテーマが決まり、厚生労働省や財務省の部会で意見が交わされます。
最終的に、テーマに沿って新たなサービスや加算などが決まっていく仕組みです。改正の際には、「財源からの支出を抑えたい財務省」対「社会的ニーズや現場の現状に合わせた施策をとりたい厚生労働省」という構図が見られています。

2024年介護保険法改正で押さえておくべき5つの注目ポイント

2024年の介護保険法改正に向けた政府提言が出そろっています。
この政府提言で注目したいポイントは5つあります。それぞれについて、詳しくみていきましょう。

利用者負担を原則2割に

1点目は、増え続ける介護費を補うため、利用者負担を原則1割から原則2割にしたいという提言です。介護保険の利用者負担は、現在は本人所得が160万円以上220万円未満の場合は2割負担、220万円以上の場合は3割負担となっています。この基準を引き下げることで、給付を抑えたいというのが、政府の狙いです。

しかし、原則2割負担となると、利用控えが起こる可能性があります。本来ならば介護サービスを利用する必要のある人が利用を控えてしまうことは、重度化を招く可能性があり、自立支援の考え方に逆行するとの意見も出ています。

2割もしくは3割負担を線引きする所得基準は、介護保険制度ではなく政令に委任されています。そのため、厚生労働省が意思決定できる裁量を持っています。このことから、2割負担については、2023年夏には結果が出る見通しとなっています。なお、3割負担については、結論を出す時期が示されていないことから、2024年度に対象者が拡大する可能性は低いでしょう。

福祉用具貸与のみのケアプラン費カット

2点目は、福祉用具貸与のみの利用の場合、ケアプラン費をカットすべきとの提言です。
財務省は、福祉用具貸与のみのサービスはほかのサービスに比べて労力が少ないと指摘したうえで、サービス内容に応じた報酬体制にすべきと提言しています。

しかし、ケアプランにはフォーマルサービス(介護保険制度内の公的なサービス)だけではなく、インフォーマルサービス(家族や地域、ボランティアなどによる、公的ではないサービス)も含まれており、モニタリング以外の場面で細かな連絡調整を行うケースが多いのが現状です。
現場からは、福祉用具貸与だけだからといって、必ずしも業務負担が少ないとは限らないとの意見が出ています。

提言では、手すりや杖などの廉価な福祉用具を販売へ切り替えて、居宅介護支援費をカットすることも求めています。
しかし、販売に切り替えてしまうことで、毎月のモニタリングがなくなってつながりが途絶え、結果として利用者が孤立してしまう可能性もあるでしょう。

小規模法人の大規模化

3点目は、小規模法人を大規模化すべきという提言です。
介護サービスの主体は、小規模な法人が多いのが現状です。介護保険制度の開始当初、政府は競争による介護サービスの向上を狙っていたため、さまざまな法人が介護業界に参入する結果となりました。そのため、小規模法人が多数を占める状況となっています。

政府は、小規模法人が増えた結果、質の向上が不十分で業務効率化が進まない、感染症発生時の業務継続がおぼつかない現状を指摘しました。財務省は、大規模で拠点数の多い法人ほどスケールメリットが働き、平均収支率がよいことを挙げています。そして、大規模化・協働化していくことで経営の効率化を促進しようと提言しています。

しかし、現場からは「小規模だから質が低い、大規模だから効率的という考え方は短絡的」と批判的な声が多く挙がっています。

多床室の室料負担の見直し

4点目は、多床室の室料負担の見直しです。現在、特別養護老人ホームでは、すでに多床室の室料を徴収しています。一方で、同じ介護保険施設である介護老人保健施設と介護医療院、介護療養型医療施設には室料負担が設定されていないため、利用者負担が軽くなっているのが現状です。

そのため、介護保険施設で公平な居住費を求めていく観点から、介護老人保健施設と介護医療院、介護療養型医療施設の3施設の室料相当額を、基本のサービス費用から外す方向で議論が進んでいます。

人員基準の見直し

5点目は、人員基準の見直しです。介護業界は長らく慢性的な介護人材の不足に悩んでいます。この介護人材不足の対応として、以前から人材基準の見直しについては議論が続いていました。前回の改正では、特定施設におけるICTやロボット活用による人員基準緩和が検討され、2022年に実施の方向でした。

ところが、関係団体や現場からは反発の声が続出したため、実施には至りませんでした。今後もこの議論は続く方向で、2024年の改正に向けた論点になる可能性は高いでしょう。

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注目度は高いが2024年では見送りが決定したトピック

2024年の介護保険法改正では見送りが決定した提言のなかに、特に注目しておきたいトピックがふたつあります。
これらは2027年の改正時に結論が出されるため、今後も動きに注意しておきましょう。

要介護1・2を総合事業に

1点目は、現在、介護給付となっている要介護1・2の訪問介護、通所介護の利用を、総合事業に移管する構想です。
要介護1・2の訪問介護と通所介護が総合事業になると、保険者である市町村の判断で報酬や基準が決められるようになります。その結果、介護費の抑制や、人員基準緩和による担い手拡大が期待できるとされています。

しかし、先に総合事業になった要支援者の訪問介護および通所介護の実施団体を見ると、担い手の拡大化は進んでいません。

また、要介護1・2の利用者には、ADLは自立していても認知症が進行しているケースが多く見受けられるため、在宅生活の継続には専門的なサービスが必要との意見も多くなっています。総合事業へ移管してしまうと、専門的なサービスが受けられず、かえって重度化を招くとの反対意見も散見されます。

ケアプランの有料化

2点目は、介護保険サービスでは10割保険負担(利用者負担なし)となっているケアマネジメントの費用を有料化するという提案です。ケアプランの有料化については、以前より議論がなされてきました。

現在、在宅サービスにおけるケアマネジメント費用は全額保険給付(利用者負担なし)となっているのに対し、施設サービスにおけるケアマネジメント費用は利用者が負担するサービス料金に含まれているため、在宅と施設の間で公平性が保たれていないと政府は指摘しています。ケアプランを有料化することで、在宅と施設サービスの公平性の確保が期待できるでしょう。また、利用者が費用を負担することでケアプランに関心を持つことが考えられるため、ケアマネジメントの質の向上という目的につながる可能性もあります。

しかし、ケアプランが有料化されると、本人や家族の意向をできるだけ反映してもらいたいという圧力が強まり、必要なサービスの種類や量を適正に組み込めなくなる可能性も考えられるでしょう。

2024年の介護保険法改正に向け早めの対策をしよう

今回紹介した政府提言は、これから社会保障審議会を経て、2024年度の改正に向けて骨子が決まります。今後の動向を見ながら、改正に向けて早めに対策をしていくことが大切です。

また、今回の提言では、業務効率化やICTに関する議論も見られています。多忙な介護現場の労働環境の改善や、介護の質の向上には、介護ソフトの導入・リプレイスも効果的です。

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