専門性が高まるにつれ増えるAの答えは、①「四肢麻痺があり、介助が必要」「気管切開のため発語は困難」、②「最初にお母さんに状況を聞いてから声をかけます」などです。これがいわゆる「専門バカ」の典型的な答えであると思います。
一方で、専門性の高まりにより減っていくBの答えは、①「5歳にしては大柄かな?」「顔色もよくつやつやしているなぁ」、②はこどもさんに直接「普段どんなテレビ見てる」「どんな遊びしてる」などです。
このように、理念に基づかない知識・技術の習得は、ヒトをヒトとして見ることなく、各パーツの寄せ集めとしか認識できなくなる恐れがあります。自身は、「最初に」パーツを意識したり、「最初に」子どもに語り掛けることのない答えに対し、「障害の有無や状態とか、そんなもんは「最初」はどっちでもええんじゃ!5歳は5歳じゃ!」ということを伝えています。パーツに対する支援の高さをいくら誇ろうが、そのような支援は、全く無意味であると断言してよいでしょう。
まず「ヒト」として接する、これが「ピープル・ファースト」の理念であり、介護技術の高さや効率性に目を奪われがちな専門職の方に立ち止まってもらいたい視点です。