介護施設の防災対策を強化するためにはどうすればよいのか?

災害はいつ発生するかわかりません。いざというときに備えて、介護施設では防災対策が求められています。災害発生時、利用者がどのような状況でも安心して安全に生活できるよう、食料や医療品などを備えておくのも施設の運営責任者の責務です。2021年には厚生労働省もBCP策定を義務化し、介護施設の防災対策強化の取り組みに乗り出しました。この記事を参考に、管理者は自施設の防災対策を見直してみましょう。

災害発生時に介護施設に求められる役割

災害発生時、介護施設がなによりも優先しなければいけないのが、入所者や利用者の安全と、職員の安全です。そして、どのような状況下にあっても、生命や健康を支えるサービスを利用者に提供し続けなければいけません。

入所者や利用者の安全の確保

災害が起きた際、職員は安全な場所に利用者を避難させます。簡単な手順は以下のとおりです。

  1. 利用者全員の安否確認を行う。
  2. 利用者を自立歩行できる方、車いす移動の方、寝たきりの方などに分けて、利用者の状況に合わせた安全な方法で避難誘導する。

職員の安全確認

入所者の安全と同時に、職員の安全も確保しなければいけません。単独行動は避け、職員同士、声をかけあうことが大切です。

施設としての機能・サービス提供の継続

利用者、職員の安全を確保した後は、利用者へのケアを継続できる環境を整えます。内服薬や、おむつなどの備品は用意できているか、医療機器に誤作動がないかなどを確認します。飲料水・非常食などの備蓄品も確認し、すぐに利用できる状態にします。

介護業者の防災対策が注目される背景

介護業者の防災対策が注目される理由として、以下の社会的背景が考えられます。

  • 頻発する自然災害
  • BCP策定の義務化

特にBCP策定は、厚生労働省が2021年の介護報酬改定で義務づけたものです。介護施設は、災害や緊急事態などの予期せぬ事態に備え、業務継続計画の策定や、職員の研修、訓練の実施を行う必要があります。

災害発生時には、職員はBCPにもとづいて行動することになります。したがって、介護施設の運営責任者がBCPを作成する際は、抜けやもれがないように、綿密に検討することが求められています。

BCP作成の義務化については、以下の記事もご参照ください。

介護施設の防災対策

介護施設の防災対策では、どのようなことに気をつけるとよいのでしょうか。

防災計画の策定

防災計画は、いわば非常時の手順書です。職員は防災計画をもとに行動するため、利用者や施設の状況に十分に考慮した綿密な計画を立てておきましょう。

施設内の安全確認

建物や設備の安全性は定期的に確認しましょう。特に非常口の場所や、非常口から先につながる階段の幅などは職員、利用者ともに把握しておくことが望ましいでしょう。

物資や食品の備蓄

食料や水はもちろん、医療機器、体温計、血圧計、おむつ、マスクなどの物資は施設内に備えておきましょう。

避難訓練の実施

避難訓練は職員だけでなく、利用者も加えて定期的に行いましょう。避難するときは、どのような経路で避難するのが最適かを説明しながら行うと、災害時にスムーズに行動できるでしょう。

家族との連絡手段を複数確保

介護施設にいる利用者の家族は、災害発生時に利用者の安否が気になります。電話だけでなく、メール、SNSなどを活用して、家族が利用者の安否を確認できる手段を複数確保しておきましょう。また、施設の避難訓練を行うタイミングで、具体的な連絡手段を家族に周知し、災害発生時と同様のメッセージを流して家族に安否確認を行ってもらうと、災害時にも落ち着いて対処できるでしょう。

ハザードマップの把握

ハザードマップを日ごろから確認して、過去にどのような災害があったかを確認することは大切です。施設周辺の地形や地盤などを把握して、どこに避難すべきか調べておきましょう。過去に災害を経験した他施設が近隣にあれば、あらかじめヒアリングしておくことで、対策を立てやすくなります。

データの保全

災害が発生した際に利用者へのサービスを継続するためには、利用者の情報へ平常時と変わらずアクセスできることが必要です。しかし、データを保存しているパソコンやサーバーが災害によって破損する可能性があることは否定できないでしょう。そこでおすすめなのが、クラウド型の介護ソフトです。クラウド型の介護ソフトであれば、パソコンが壊れた場合でもデータはクラウド上のサーバーに保存されているので、消失の心配がありません。

介護施設の防災対策強化のポイント

防災対策をさらに万全なものにしたいと考えている場合には、以下のようなポイントに気をつけるとよいでしょう

防災計画の定期的な見直し

災害発生時の対応の要(かなめ)となる防災計画は、とても重要な役割を担います。災害リスクや入所者、利用者の状況は常に変化します。防災計画は一度作成したらそれで終わりではなく、定期的に見直すことが重要です。

職員への防災計画の周知徹底

防災計画を見直し、更新した際には、職員への周知も忘れずに行いましょう。職員には、防災計画が更新されたらすぐに確認することを徹底します。施設の利用者の安全を守るためには、運営責任者と職員がいつも最新の防災計画を把握して行動することが肝心です。

利用者やその家族との情報の共有

職員同士だけでなく、利用者やその家族との情報共有も重要です。災害発生時に適切な対応が可能となるだけでなく、日ごろから防災意識を高めて防災に備えることができます。避難訓練の際には、利用者の避難訓練への参加はもちろん、その家族への連絡が迅速に行えるかも確認するといいでしょう。また、利用者の家族に災害時の避難場所、備蓄などの防災対策を公開することは、施設への安心感を与えます。

地域との連携

地域との連携も大切です。災害時、どこに行けば給水車があるのか、スマートフォンの充電スポットはどこかなどの最新情報は、地域の人々から手に入れることもあります。また、職員だけでは利用者を避難させられない際には、地域の消防団や町内の青年団などの援助を受けなければなりません。施設の運営責任者は、近隣の施設や人々とは連絡を密にとっておきましょう。また、周辺の介護施設と連携をとり、互いに助け合う体制を構築しておくことも重要です。

適切な防災対策で介護施設の利用者と職員を守りましょう

自然災害が起きた場合、利用者と職員が安全な場所で安心して過ごせるように、施設の運営責任者はしっかりとした対策を立てておかなければいけません。そのためには、防災計画の作成、職員や利用者とともに行う避難訓練、そして、利用者の家族との連絡網の確保などが必要です。

なかでも利用者情報の保管は、災害時にもサービスを継続しなければならない介護施設にとっては重要です。クラウド型の介護ソフトを利用してデータをクラウド上のサーバーに保存し、パソコンが破損してもデータを確認できるようにしておくことは重要な防災対策となります。

介護ソフト「介舟ファミリー」は、クラウド型ソフトです。データはすべてクラウド上に保管されているので、災害時でもデータが消失するリスクを減らせます。防災対策の観点からも、クラウド型介護ソフト「介舟ファミリー」を検討してみてはいかがでしょうか。

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