そう、正義感も生き様も紛れもなく本物だ。
結局、その老人は、自分の宝物のクラシックカーを主人公に渡して自ら有料老人ホームに入る。
サワちゃんのケアは、自らも楽しみながら、老人の生きがいを呼び覚ます。
彼女自らの生きることへの貪欲さ、真摯さからでてくる、まさに対等な立場でなされる究極の自立支援だ。
彼女の類まれなコミュニケーション能力も、「学び」という観点からとらえるならば、テクニックを学ぶのではなく、感性や人間力を磨くことから身に付くものであることが示唆される。
『0.5ミリ』は、数年前爆発的にヒットしたフランス映画『最強の二人(ケアについて何の経験もない無教養の黒人が、食うために、相当な教養人で大富豪、首から下は麻痺状態の初老男性のケアをする話)』と通じるものがある。
これまでプロの看護師が1週間と持たなかった気難しい要介護者が、無教養極まりない、下層階級の黒人男性には心を開き、生きる喜びを取り戻す。
そこには黒人介護士の、無遠慮な同情から生まれる一緒に楽しむ、冒険する、という諂いのない姿勢があった。
二つの映画に共通する、豊かな感性、人間力に裏付けられた究極の自立支援に私たちは感動するのだと思う。