老人ホーム選び 相談力の質 編

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介護コラム

平 家宏 氏

キットカンパニー(株)代表取締役

私の仕事は老人ホームやサービス付高齢者住宅を一緒に探す仕事です。
私にとって介護の質とは
“情報の質”
“相談力の質”
“人の質”です。

前回“情報の質”について記載しました。
今回は“相談力の質”についてお伝えしたいと思います。

私が考える“相談力の質”とは
(1)介護についての知識経験に基づく相談力。
(2)人生経験に基づく相談力。
です。

(1)介護についての知識経験とは
介護や医療について知識があり、相談者と見学に行った際に適切に相談者にアドバイスができる事です。
例えばこのようなことがありました。
ホームに入居を検討している文京区在住の介護2の女性で90歳です。
相談者は60代前半の娘さんです。同居されていましたが夜中に頻繁に起きられるとの事からかなり疲れていらっしゃいました。
ご相談者と見学に行った際に、1件目のホームで老人ホームの入居相談員から自社のホームでは夜間でも2時間毎にご様子を見に部屋へ行きますと説明がありました。
介護付き有料老人ホームでは夜間でも2時間毎や3時間毎にお部屋に確認を行くことは当たり前なのですが娘さんは初めて聞いたその対応に“凄い=しっかりした介護=安心”となり私にここに決めますとおっしゃいました。
わたしは夜間の介護でこのような行動はどのホームでもある旨を伝えて、1件目のホームは候補とし必ず2、3のホームを比較してくださいと説明しました。
その後他のホーム見学してもらい、比較検討して決められました。
このような事はしっかりと説明してより対象者に良いホームを選んでいただく様に導くことも相談力と思います。
また別件で対象者の方が“進行性核上性麻痺”と言うご病気をお持ちの方がホーム見学をしました。
その病気の事は見学の際に初めて聞く情報でした。
大手運営のホームを見学してそのホームを気に入りました。
しかし、入居医相談員に病気の内容を話した途端に“そのご病気の方の当社ホームへは入居が不可です”と言われてしまいました。
相談者である姪御さん義弟さん2人ともがっかりして意気消沈です。
このホームはダメでしたが、他の会社は問題なく受けいれが大丈夫でした。
このような場合もご家族であるご相談者に“大丈夫です他に入居できるホームはあります”と言えるかが相談力の質の一つです。

(2)人生経験に基づく相談力とは
相談員が仕事上経験した事はもちろん、自分でも経験したことを話したり、アドバイスできる事が重要かと思います。
私は20歳代の若い方には紹介センターの入居相談員は難しい側面もあると思っています。
なぜならご相談者は50代・60代・場合によって70代の場合もあります。
その相談者が自分の親の事を相談するのに20代の自分の子供のような相談員にするには違和感があるのではないでしょうか?
人生経験というキャリアを活かせる仕事でもあると考えています。
もちろん若い方が相談者にどう思われるかという可能性を理解し、若さを武器に知識や相談の仕方や接し方を習得することで補えるとも思います。
ケースバイケースですが私はもうすぐ60歳で親ももうすぐ90歳です。
仕事で経験したことだけでなくプライベートでも経験した事を、相談時お話しする事で相談者に少しでも役立てていただける。
これも相談力の質と思います。

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