それは、対象者との対話を通して「どのような生活を望んでいるのか」「何をしたいのか」を模索することです。
このプロセスはまさに「社会的統合をどのように実現するか」につながるものであり、介護職とリハビリテーション専門職の接点でもあるといえるでしょう。
さて、この「どのような生活を望んでいるのか」「何をしたいのか」という問いは、ケアプランの第1表「本人(家族)の意向」にも反映されるものですが、対象者自身の価値観が強く影響する非常に個人的なものです。
では、それを支援者としてどのように共有していくべきでしょうか?
私の例を挙げれば、対象者のADLやIADL状況を把握する際に「どこまでご自身でできるか」「どのくらいの介助が必要か/どのような介助が必要か」の視点に留まらず、その人らしさが浮かび上がるような聞き方をしています。
食事であれば,好きな食べ物や飲み物、外食の頻度、行きつけのお店を。
更衣なら服のデザインや色の好み、好きなブランドを。
料理であれば、とっておきの得意料理や家族にまた食べさせたいと思う料理を。
買い物であれば、好きなお店や物を選ぶときのこだわりなどを伺いながら、アセスメントを進めます。
「その利用者が望む生活」とは、時間軸でいえば未来を見据えたものですが、一方で「これまでの生活」の延長線上に位置づけられるものでもあります。
その人が人生の中で積み重ねてきた「これまでの生活」を少しでも知ることが、「目指すべき社会的統合のあり方」を対象者と共有する第一歩であると考えます。
次回は、これらをさらに掘り下げ、特にコミュニケーションに難しさのある方の社会的統合をどのように進めていくかについて考えます。