アルツハイマー型認知症や前頭側頭型認知症の方に失語症状が、あるいはレビー小体型認知症の方に運動性構音障害がみられることもあります。このように、私たちが支援する方々の中には、コミュニケーション障がいにより、対話から十分に情報を得ることが難しい方が少なからずいらっしゃいます。
このような場合には、その対象者に合わせたコミュニケーション方法を用いながら、表情やジェスチャーなど非言語的な情報も含めて私たちが推測していくことが重要となります。
例えば、失語症の方であれば、聴覚的な理解と視覚的な理解のどちらが得意なのかを見極めること(視覚的な理解が比較的保たれているのであれば、漢字単語や絵などを媒介にやり取りをすることで対話が成立しやすくなります)、あるいは運動性構音障害の方であれば五十音表を活用しながら対話を進めることが有効です。
もちろん、このようなアセスメントのプロセスに言語聴覚士という職種を活用していただくことも、有意義であると思います。
結論として、どのような障がいがあっても、その方が「望む生活」「したいこと」を実現するために努力し、協働し、結果を出すこと―これこそが質の高い介護であり、リハビリテーションであると考えます。