介護報酬請求とファックス

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介護コラム

結城 康博  氏

淑徳大学 総合福祉学部 教授

私は、2003年~2009年までケアマネジャーとして働いていた(最後は非常勤)。
新人ケアマネジャー時代は、もう20年近く前になる。
事業所の介護報酬請求事務にも、部分的に携わっていたので、国保連への伝送作業も行っていた。
ただ当時は、まだフロッピーディスクで、直に国保連へデータを持参したこともあった。
そして、「ISDN回線」が完全に整備され「伝送」において、直にデータを国保連に届ける必要がなくなった。
今や「ISDN回線」も過去の産物となり、インターネットで「伝送」するのが当たり前の時代だ。

現在、介護業界は

  • ICT化
  • 介護ロボット
  • AIケアプラン

といったように、20年前を振り返ると時代の変遷を痛感している。
しかし、現場のヒヤリング調査をする際に、介護サービス事業所とケアマネジャーの実績管理確認等は、未だファックスでやりとりしている光景が多い。
毎月10日は国保連への「伝送」が締め切りとなるので、月末から月始にかけて事業所とケアマネジャーは忙しい。
もちろん、一部はICT化によって事務業務が簡素化されているケースもあるが、ファックスでの確認作業事例も多い。

業種を問わず事務作業の「ペーパーレス」が常識化されつつあるが、未だ介護業界ではアナログ対応が健在だ。
もちろん、私は、すべてICT化を推し進める立場ではない。
むしろ、介護業界のICT化については消極的な立場であり、とりわけ「介護(ケア)」に関しては、まだまだ「人」が主軸と考える。

しかし、介護報酬請求といった事務業務に関してはICT化を促進すべきと考える
特に、未だファックス対応の事務作業に関しては、例外を除いてインターネットを完全に活用した形態に移行していくべきであろう。
そのためには、全ての介護スタッフがICT化に慣れることも重要であろう。
業界の中には、パソコン業務が苦手な人も少なくない。
いくら機器やソフト技術を普及させても、最終的には「人」が操作する。

未だファックス活用が介護業界では珍しくないことは、ここに今後のICT化普及の課題解決のヒントが隠されていると考える。

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