介護日誌はなぜ必要?記載例と効率化の方法を解説

介護日誌はなぜ必要?記載例と効率化の方法を解説

介護の現場では、スタッフとの情報共有や利用者の家族への連絡ツールとして、介護日誌(業務日誌)が重要な役割を果たします。また介護日誌は、万が一、利用者とのトラブルが発生した際に、スタッフや事業所を守るための証拠にもなります。 役に立つ介護日誌を効率的に記入するためにはどうしたらよいのでしょうか? 本記事では、介護日誌の効率的な書き方や、適切な記入例などを紹介します。

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介護日誌の意味、目的は

介護日誌には、利用者に提供したサービスやその内容を記録します。その意味と目的は以下のとおりです。

  1. スタッフが利用者に対して、サービスの統一性を図るため
  2. スタッフ間で利用者の情報を共有するため
  3. 家族にサービス内容や利用者の様子などの情報を共有するため
  4. 今後の介護方針を決めるため
  5. 医師が治療に役立てるため
  6. 事故や訴訟などのトラブルが発生した場合に、介護士を守るため

このように広く活用される介護日誌は、公の機関から提出を求められることもあります。その際に正式な書類として認められるためには、バラバラの書式であったり、書く人によって主観が入っていたり、メモ書きだったりすることは避けなければなりません。

介護日誌は証拠としても使われる書類だということを自覚し、事業所で書式や書き方のルールを統一しておくことが必要です。日誌用のテンプレートをあらかじめ作成しておくことをおすすめします。テンプレートについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。

介護日誌で記入すべき項目

介護日誌は、通所介護と訪問介護では記入すべき項目が異なります。

通所介護の日誌は、利用者の家族などが閲覧して、利用者が施設でどのような1日を過ごしたかがわかるように書くのが目的です。

訪問介護の日誌も、家族に向けて介助の内容を伝える意味はありますが、一番の目的は、ケアした内容を記すことで、ほかのスタッフとサービス提供にばらつきがでないようにすることです。

通所介護と訪問介護について、日誌に記載する主な項目を以下に紹介します。

 通所介護

利用者の送迎時から施設で過ごしている間の内容が記載項目となります。

  • 利用者の名前
  • 担当者の名前
  • サービス実施日時
  • 送迎時間
  • 入浴(時間や利用者の様子)
  • 食事(時間や内容、量)
  • レクリエーション
  • 機能訓練
  • 備考

 訪問介護

スタッフが利用者宅を訪ねての身の回りの世話や家事の手伝い、入浴などの介助がメインの仕事となり、その仕事内容が記載項目となります。

  • 利用者の名前
  • 担当者の名前
  • サービス実施日時
  • 介助した内容(排せつの介助 食事の介助 移動の介助 服薬の介助など)
  • 利用者の生活周辺の援助(掃除、洗濯、買い物など)
  • 保険外のサービスの有無
  • 退出時の部屋のカギ閉め、電気のスイッチ、火の始末などの確認
  • 連絡事項など

介護日誌の具体的な書き方

それでは、介護日誌はどのように書くとよいのでしょうか?
訪問介護と通所介護に共通しているのは、読む相手に、利用者の様子がわかるように記録をつけることが求められているということです。訴訟問題などに発展した際には、日誌が証拠となるように、時間や言動も具体的に書いておくとよいでしょう。

  • 5W1Hを意識する。特に「誰が、何をやった」の主語は必ず入れる
  • 事実のみを記載する(です、ます調で文章を作成する必要はない)
  • 時間や発言など、具体的な表現を心がける
  • 専門用語は避ける

 具体的な記入例

【通所介護 お迎えの例】

9時23分 ○○さん宅に到着。
○○さんは玄関で靴を履いて、娘さんと一緒に待っていた。
○○さんに「おはようございます」とあいさつをすると、軽く手をあげ会釈。
○○さんの家族に様子をうかがい、特に変わったことはなし。
【検温、消毒を実施し、後部座席に乗車。】
9時30分 ○○宅出発。

【通所介護 食事の例】

12時00分 寝ている○○さんに「ご飯を食べましょう」と声かけ。
○○さんは「いらない」と言って、寝てしまう。
12時45分 ○○さんさんぼんやり目覚める。
「ご飯を食べましょう」と声かけしたが、○○さんは「起きたばかりで食べられない」
と意思表示した。
13時00分 ○○さんから「お腹がすいた」と訴えあり。
「ご飯を食べましょう」とテーブルへ促し、車いすで移動。
○○さんはテーブルで昼食を摂取し、「おいしい」と言って完食。
○○さんからかぼちゃの煮ものに対して「おかわりはないの?」と催促あり。
カボチャひと切れを追加。

【訪問介護 身体介護の例】

10時00分 ▲▲さんオムツ交換。排尿あり。下着までぬれている。
▲▲さんに「着替えましょう」と促し、黒のジャージを履かせる。
ベッドの防水シートと、シーツを交換しようとしたが、▲▲さんは「大丈夫」と意思表示をした。
「さっぱりしたほうが気持ちいいですよ」と促したが、それには答えず黙ったまま。
シーツ類はそのまま放置。
10時20分 おやつを食べたいと▲▲さんが言うので、車いすで食卓へ移動。
ビスケット1枚と砂糖入りの紅茶を摂取。
▲▲さんに「シーツがキレイなほうが気持ちいいと思うので、シーツを交換してもいいですか?」
と聞く。
▲▲さんはうなずく。
▲▲さんがテレビを見ている間に、シーツを交換。
交換したベッドをみて、▲▲さんは「きれいになったね」と言った。

【訪問介護 生活援助の例】

14時00分 昼食後、しばらくテレビを見ていた▲▲さん。
「横になりたい」と訴えがあったため、車いすでベッドまで行く。
室内温度28度。
「冷房をつけましょう」と言うと、「寒いのはイヤ」と意思を示す。
しかし、このままでは熱中症の危険もあるとヘルパー●●が判断し、とりあえず
「1時間ほどタイマーをかけます」と言って▲▲さんに納得してもらう。
温度設定25度でエアコンをつける。
15時00分 室内温度25度。冷房のタイマー切れる。
▲▲さんは「もう、冷房はいらない」と意思表示。
熱中症の危険があるとヘルパー●●が判断し、扇風機をかけることを提案。
▲▲さんはうなずいて了承。
15時30分 娘さん帰宅。
▲▲さんは「もう、冷房はいらない」と意思表示。
冷房と扇風機の件を引き継ぎ、業務終了。
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通所介護、訪問介護ともに、利用者の訴えや行動、心身の状態、スタッフの対応、結果を意識して書いておくとわかりやすい日誌になります。また「~だと思う」などの憶測は控え、事実のみを記載するようにしましょう。

効率化には介護ソフトの導入もおすすめ

介護日誌は、時系列に書いていくとわかりやすく、万が一、訴訟問題などが起きた場合も事業所やスタッフを守る証拠にもなります。
しかし、多忙なスタッフは、介護中は日誌がつけられません。実施したサービスをその都度メモして、業務終了後にまとめてつけている人がほとんどです。
そのようなスタッフに対して「介護日誌を詳細につけてください」と、上長はなかなか言い出せないのが本当のところではないでしょうか。
スタッフに負担をかけず、しかし公式の書類としても通用する介護日誌をつけるように指導したい。事業所としては悩ましいところです。

そこでおすすめなのが、介護ソフトの導入です。事業所に適したテンプレート(様式)の作成も簡単にでき、よく使う文例などもまとめて登録可能のため、日誌の記入にかかる時間が大幅に短縮されます。
また、記入した情報はスタッフ間でリアルタイムでの共有が可能であり、過去の日誌も簡単に検索できるため、問い合わせや引継ぎにも迅速に対応できます。
介護ソフトを導入した場合のメリットについては「介護保険施設の介護ソフト導入メリットと注意点を徹底解説」のコラム参考にしてみてください。

介護日誌もシステムを利用すれば簡単でもれなく作成できる

介護日誌は、家族やスタッフと共有するだけでなく、ときにはケアマネや医師などからも閲覧を求められます。その際に、様式が統一されていてわかりやすい介護日誌をすぐに提出できる事業所は、評判も高くなるでしょう。

また、介護日誌はどんなに丁寧につけていたとしても、必要な情報がひとつでももれていると、それだけで信憑性が低くなることもあります。

記入もれのない介護日誌を日ごろからつけるためには、介護ソフトの導入がおすすめです。
なかでも、介護ソフト「介舟ファミリー」は、「管理しやすく、直感的な操作で誰でも使いこなせる」をコンセプトに開発されたソフトです。

パソコンにあまり慣れていないスタッフでも、介護日誌を簡単につけることができます。ソフトには日誌以外の各種記録の作成機能も付属しているので、現場スタッフだけではなく、管理職の業務も軽減されるでしょう。

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