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慢性的な介護人材不足の対応策として、注目されているのが 外国人雇用の活用です。介護現場における外国人雇用は年々増加しており、これから外国人雇用を検討している事業所も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、介護現場における外国人雇用の現状と雇用のメリットやデメリット、留意点について、詳しく解説します。
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介護業界は、慢性的な介護人材不足が長らく問題となっています。この問題に対し、国はこれまでさまざまな対策を実施してきました。その対策のひとつが、外国人の受け入れ環境の整備です。
介護現場での外国人雇用の受け入れ方法には、「EPA」、在留資格「介護」、「技能実習」、「特定技能1号」の4つがあります。それぞれの特徴や在留期間等の違いは、以下の表のとおりです。
介護業界における外国人雇用の現状はどのようになっているのでしょうか。
令和4年度の介護労働実態調査における事業所調査「事業所における介護労働実態調査」(以下、事業所調査)によると、外国籍の労働者を受け入れている事業所は、約1割でした。
受け入れ方法別に見ると、技能実習生が4.4%、特定技能1号が3.5%、在留資格「介護」が2.6%、EPAは0.7%となっています。EPAは日本語能力や介護知識の要件が厳しいことから、ほかの雇用方法に比べて少ないことがわかりました。
介護保険サービス系型別の受け入れ状況では、施設系(入所)は技能実習生と特定技能1号がそれぞれ13.8%、11.9%、次いで居住系が10.3%、8.0%となっており、施設で生活している高齢者の介護を担う場面での雇用が際立っています。今後の採用予定については、外国人労働者を「新たに活用する予定がある」と回答したのは施設系(入所型)が30.1%であり、施設の方が外国人雇用の受け入れがしやすい状況と言えるでしょう。
介護現場で外国人雇用を実施するメリットには、次の3つが挙げられます。
外国人雇用の大きなメリットとして挙げられるのが、労働力の確保です。
「令和4年度介護労働実態調査」の労働者調査「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書(以下、労働者調査)」において外国籍の労働者と一緒に働くことについて質問したところ、外国人介護職員と一緒に働いている人のなかでは、「労働力の確保ができる」と回答した人の比率が56.8%と高くなっていました。「事業所調査」での外国人労働者の働き方に対する評価でも、同様の回答の比率が82.3%と高いことから、現場の職員にとっても、外国人の介護職員は労働力として捉えられていることがわかります。こうした結果から、外国人雇用は労働力の確保につながると言えるでしょう。
外国人雇用では、日本人職員のスキル向上もメリットとして挙げられるでしょう。
外国人雇用を実施した場合、指導者となる日本人職員は、相手が理解できるようにわかりやすく説明する必要があります。
細かいニュアンスが伝わらないこともあり、どのように教えれば正しく伝わるのかを検討することが多くなります。その結果、介護技術や実践内容の振り返りをする機会が増え、日本人職員のスキルや指導力が上がりやすくなるでしょう。
介護現場における外国人雇用には、以下のようなデメリットもあります。
外国人雇用を行ううえでのデメリットとして挙げられるのが、できる仕事に限りがある点です。前述の「労働者調査」によると、外国人介護職員と一緒に働いている職員のうち、外国人と一緒に働くことについて「できる仕事に限りがある」と回答した人は、50.3%と半数に上っています。
「事業所調査」でも同様の回答は50.4%となっており、事業所と職員の見解に差がないことがわかりました。この結果から、介護記録や電話等、より高度な日本語でのコミュニケーション力を必要とする場面では、外国人介護職員の力を借りることに不安があると考えられます。
ただし、実際に一緒に働いている人にとっては、業務内容に限りがあることが負担になっているとは考えにくいかもしれません。「労働者調査」を見てみると、「業務が軽減される」と回答している人が30.7%いることから、できない業務はありながらも、その他の場面での業務が軽減できていると感じている人が多いことがわかります。
コミュニケーションの部分を見てみると、日本人と同レベルのやりとりをするのは難しいという点がデメリットとして挙げられるでしょう。
外国人雇用では、介護現場で働くうえで必要な日本語能力を有しており、生活にも支障がないことが最低限の条件となっています。しかし、生活習慣等の違いもあり、コミュニケーションがとりにくいと感じる場面も多いでしょう。外国人と働くことについての回答では、「事業所調査」「労働者調査」の双方ともに、「コミュニケーションがとりにくい」と感じている割合は3割程度で、「利用者との意思疎通において不安がある」と回答した割合も4割前後となっています。
職員と事業所の双方が、外国人介護職員に対してコミュニケーションの場面で不安を感じていることは間違いないでしょう。
ただし、外国人雇用をしていない事業所の労働者と実際に外国人と一緒に働いている労働者の回答の差が大きいことから、実際に一緒に働いてみると、想定よりはコミュニケーションがとれると感じられる場面もあるのではないでしょうか。
外国人雇用の場合、在留期限の関係で、いずれ帰国する可能性がある点もデメリットと言えます。
外国人雇用は、雇用の種類によって在留期間に違いがあります。技能実習と特定技能1級の場合、在留期間は最長で5年であり、5年後には帰国しなければなりません。一方、EPAで入国し国家資格を取得した場合や、在留資格「介護」の場合は、制限なしで在留期間が更新できます。
ただし、特定技能1号と技能実習は在留資格「介護」に移行することもあるため、必ずしも全員が帰国するとは限りません。実際には、特定技能1号と技能実習で入国していても、在留資格を変更して日本に残る人もいると考えられるでしょう。
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外国人雇用を利用して介護職員を補う場合、どのようなことに気を付けるとよいでしょうか。注意すべきポイントについて詳しく見ていきましょう。
外国人雇用を利用する場合、同じ職場で働く日本人職員の協力が不可欠です。雇用する目的や、生活習慣、宗教、文化の違いについても共有し、理解を求めましょう。場合によっては、日本人職員向けのオリエンテーションや研修などを検討しましょう。
国が違えば、生活上のマナーやルールは大きく異なります。お互いが気持ち良く過ごすために、生活上のマナーはしっかりとわかるように伝えましょう。
具体的には、トイレやお風呂、買い物、交通、医療などのルールについて、日本人としては当たり前のことであっても、丁寧に伝えましょう。特に、ゴミ出しのルールは地域によって異なるうえ、トラブルになりやすいので注意が必要です。
また、仕事上のルールについても、日本と外国では違うケースが多いでしょう。介護現場はチームで対応することが多いため、職員同士の連携が取れるよう、報告・連絡・相談のルールは明確に伝えるようにしてください。
外国人を雇用する場合は、日本人と外国人介護職員の双方が働きやすい環境をつくる必要があります。
日本人と外国人の双方が、効率的に仕事が行えるように介護業務を見直したり、マニュアルを作り直したりして、どんな人でも理解しやすい工夫をすることが大切です。
介護ソフトといった誰もが使いやすいツールを活用するのもよいでしょう。介護ソフトは、シンプルで画面や操作性がわかりやすく、簡単に使いこなすことができるツールであれば、外国人だけでなく、IT機器が苦手な日本人職員も使いやすいでしょう。
介護人材の必要数は年々増加しており、今後ますます外国人雇用は進んでいくと予想されます。多くの事業所において、外国人雇用の検討も増えていくのではないでしょうか。
ただし、介護現場で外国人雇用を実施する際には、職場環境の改善が必須となります。外国人雇用の導入をきっかけに、介護業務の見直しや使いやすいツールの活用など、誰もが働きやすい環境づくりに取り組んでいきましょう。
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