【2024年度介護報酬改定】居宅介護支援事業所にもたらす変化とは?わかりやすく解説

2024年介護報酬改定では、居宅介護支援に関する改定が17項目と、多数にわたる結果となりました。新たに追加となった項目もあり、事業所運営に影響を与えることは必須です。4月からの施行に向けて、今回の改定内容について、しっかり理解しておくことが大切です。
この記事では、居宅介護支援に関する主な改定内容について、事業所にもたらす変化とともに解説します。

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2024年介護報酬改定の4つのポイント

2024年度の介護報酬改定では、次の4つの視点に重点を置いた内容の改定が行われました。

地域包括ケアシステムの深化・推進

認知症や単身世帯、医療ニーズが高い中重度の人など、さまざまな状況にある高齢者に対し、質の高いケアマネジメントや必要なサービスが切れ目なく提供できるよう、地域の実情に応じた柔軟で効率的な取り組みを推進します。具体的な取り組みには、以下のようなものがあります。
  • 質の高い公正中立なケアマネジメント
  • 地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取り組み
  • 医療と介護の連携の推進
  • 看取りへの対応強化
  • 感染症や災害への対応力強化
  • 高齢者虐待防止の推進
  • 認知症の対応力向上
  • 福祉用具・特定福祉用具販売の見直し

自立支援・重度化防止に向けた対応

高齢者の自立支援や重度化防止という介護保険制度の趣旨に沿って、多職種連携やデータの活用を推進します。2024年度は、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的な取り組みや、自立支援・重度化防止に関わる取り組みの推進、LIFEを活用した質の高い介護に関する改定が行われます。

良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり

慢性的な介護人材不足のなかにおいても、介護サービスの質はさらに向上させていかなければなりません。そこで、今回の改定では、処遇改善や生産性向上による職場環境の改善に向けた先進的な取り組みを推進しています。具体的な取り組みには、介護職員の処遇改善や、生産性の向上を通じた働きやすい職場環境づくり、効率的なサービス提供が挙げられます。

制度の安定性・持続可能性の確保

高齢者が安心して暮らしていくためには、介護保険制度の安定性や持続可能性を高めることが必要です。今回の改定では、評価の適正化や重点化を図り、報酬の整理・簡素化を実施することで、すべての世代にとって安心できる制度を構築していきます。
なお、2024年度介護保険改定の詳細な内容については、「2024年介護保険法改正はどうなる?政府提言のポイントをわかりやすく解説」をご覧ください。

2024年介護報酬改定で居宅介護支援に影響を及ぼす6つの変更点

2024年度の介護報酬改定では、居宅介護支援に関する改定が多くあります。そこで、居宅介護支援における改定ポイントを6つに分けて解説します。

基本報酬と特定事業所加算がアップ

今回の改定では、ケアマネジメントの質を確保しながらも業務効率化を進めることで、介護支援専門員の人材を有効活用する目的で、1人当たりの利用者数が以下のように変更となりました。

  • 居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅰ)40未満⇒45未満
  • 居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅱ)40以上60未満⇒45以上60未満

 

特定事業所加算は、一律14単位の増加となりました。また、算定要件に「ヤングケアラー、障害者、生活困窮者、難病患者等、他制度に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していること」が追加されています。なお、改定後の特定事業所加算は次のとおりです。

介護支援専門員が取り扱う1人当たりの利用者数が変更

今回の改定では、ケアマネジメントの質を確保しながらも業務効率化を進めることで、介護支援専門員の人材を有効活用する目的で、1人当たりの利用者数が以下のように変更となりました。
  • 居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅰ)40未満⇒45未満
  • 居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅱ)40以上60未満⇒45以上60未満
居宅介護支援費(Ⅱ)は要件が「ICT機器の活用または事務職員の配置」から「ケアプランデータ連携システムの活用及び事務職員の配置」に変更となりました。そのうえで、1人当たりの利用者数は以下のように変更となっています。
  • 居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅰ)45未満⇒50未満
  • 居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅱ)45以上60未満⇒50以上60未満
また、要支援者数を算定する場合は、2分の1換算から3分の1換算へ変更されました。
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居宅介護支援事業者の介護予防支援が開始

今回の改定で最も大きな変化となったのが、これまで地域包括支援センターから委託を受けて行っていた介護予防支援が、居宅介護支援事業者でも実施できるようになったことです。
居宅介護支援事業者の介護予防支援は4月からの開始で、市町村から指定を受ける必要があります。 居宅介護支援事業者の介護予防支援が開始となることに伴い、介護予防支援費の単位数が現行の438単位から以下のように変更となりました。
  • 地域包括支援センターが行う場合:442単位
  • 指定居宅介護支援事業者が行う場合:472単位
さらに、指定居宅介護支援事業者が介護予防支援を実施する場合には、特定地域介護予防支援加算、中山間地域等における小規模事業所加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算が算定できます。

入院時情報連携加算の内容が変更

利用者が入院したときの医療機関との情報連携は、現行では入院後3日以内もしくは7日以内に病院等の職員に対して利用者の情報を提供した際に加算されていました。2024年度の介護報酬改定では、入院時の迅速な情報連携をさらに促進するため、提供日数が以下のように短くなりました。また、単位数もアップしています。

  • 入院時情報連携加算(Ⅰ)200単位/月⇒250単位/月
    利用者が病院または診療所に入院したその日のうちに、当該病院または診療所の職員に対して利用者に関する必要な情報を提供。入院日以前の情報提供も含む。
  • 入院時情報連携加算(Ⅱ)100単位/月⇒200単位/月
    利用者が病院または診療所に入院した日の翌日または翌々日に、当該病院または診療所の職員に対して利用者に関する必要な情報を提供。

今回の改定では、事業所の休業日に配慮した要件設定も行われました。入院時情報連携加算(Ⅰ)の場合、営業時間終了後や営業日以外の日に入院した場合は、入院日の翌日の情報提供であっても加算の算定ができます。入院時情報提供加算(Ⅱ)では、営業時間終了後に入院した場合、入院日から起算して3日目が営業日でない場合には、その翌日の情報提供であっても算定が可能です。

同一建物に居住する利用者のケアマネジメントが減算

今回の改定では、居宅介護支援にも同一建物減算が算定されることになりました。
指定居宅介護支援事業所がある建物と高齢者が暮らす住宅が同一もしくは隣接する施設内にある場合や、同一建物内の利用者を20人以上ケアマネジメントする場合は、所定単位数の95%の算定となります。 具体的には、以下のような事例が減算に該当します。
  • サービス付き高齢者向け住宅に併設する事業所が施設利用者のケアマネジメントを行う場合
  • 事業所が1つの有料老人ホームに住む利用者のケアマネジメントを1か月当たり20名以上担当している場合

情報通信機器を利用したモニタリングが可能に

これまで利用者の自宅を訪問して行っていたモニタリングについて、人材の有効活用やサービス事業者との連携促進によるケアマネジメントの質を向上する観点から、情報通信機器を活用したモニタリングが可能となりました。ただし、情報通信機器を利用する場合には、以下の要件を満たす必要があります。
  • 利用者の同意が得られていること
  • 少なくとも2か月間に1回(介護予防支援の場合は6か月間に1回)は利用者の居宅を訪問すること
また、サービス担当者会議で情報通信機器を使用する場合には、以下の3点について主治医、担当者、その他の関係者の合意を得る必要があります。
  • 利用者の状態が安定している
  • 家族のサポートがある場合も含めて、利用者がテレビ電話装置を介して意思疎通ができる
  • テレビ電話装置等の情報通信機器を活用したモニタリングでは収集ができない情報について、他サービス事業者と連携を行うことで情報が収集できる

今回の介護報酬改定がケアマネに与える影響

今回の介護報酬改定では、介護支援専門員1人当たりの担当件数が増加しています。要支援者の算定も2分の1から3分の1の換算に変わるため、担当件数が多くなり仕事量がかなり増えることが予想されるでしょう。
また、基本報酬や特定事業所加算はアップしているものの、同一建物減算が開始となるため、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームに併設している事業所にとっては、トータル的には報酬減となってしまいます。併設していない場合でも、1つの入居施設で多く担当を持っている事業所であれば、報酬減は避けられません。
さらに、今回の改定では、居宅介護支援に関する事項は17項目と多く、内容の変更だけでなく新しく始まるものもあるため、改定に対応するための事務作業が煩雑になる可能性は高くなります。

介舟ファミリーのようなトータルサポートが受けられる介護ソフトなどを導入することで、事務負担の軽減が図れ、改定の内容にスムーズに対応できるでしょう。

ケアマネの負担軽減のためにも事業所のICT化を進めよう

2024年度の介護報酬改定では、ケアマネの担当件数が大幅に増加することになり、ケアマネの負担が多くなることが懸念されます。介護ソフトやタブレット端末等の導入など、事業所のICT化を進めることで、ケアマネの負担が軽減でき、今回の改定への対応をスムーズに進めることができるでしょう。

介舟ファミリーなら、法改正や定期的なバージョンアップも追加料金なく対応してもらうことができ、タブレット端末での記録や閲覧もパソコンと変わらない画面で利用できます。今回の改定を機に、トータルでサポートを受けられる介護ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

介舟ファミリーは、介護と障害者福祉の両制度に対応し、事業所が必要な機能を標準で提供しています。包括的なサポート体制があり、初めての利用でも安心して導入できます。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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