認知症で周辺症状の著しい方を在宅介護している家族が疲れて体調不良を訴えたとき、訪問看護師は、このままではこの家族は崩壊すると考え一旦緊急避難的なショートステイを提案した。
それに対して報告したケアマネジャーから抗議があり、事前の断りもなく職域を超えてサービスの提案をした旨の御叱りを受けた。
本人や家族の緊迫した状況に最も近く接するのは介護や看護の現場で活動する人たちであり、どのようにこの実情を打開するかが重要だと思うが、職域を超えて提案したという抗議にチームアプローチの困難さを痛感した。
ケアマネジャーへの報告の仕方も悪いという抗議には、報告については管理者としてスタッフの指導をするが、サービスの提案は当然であると返事をするにとどめたが、こうしたバカげた出来事にも学ぶことがあった。
地域包括ケアシステムの構築には、対人援助に関わる全ての専門職がコミュニケーションについて学び、療養者と家族を中心に専門職が互いに尊重しあった会話ができる関係が必要である。
この出来事は、訪問看護師も報告について振り返り、この数時間後ケアマネジャーからお詫びの電話があった。事例を通してお互いに成長していくことが未来を創っていく。