介護施設の深刻な人手不足!現状と今後の改善策を徹底解説

高齢化が加速度をつけて進む日本。「2025年問題」も目前にせまり、介護施設の人手不足はさらに深刻になると予測されています。事業所を運営する責任者にとって、人材の確保は大きな課題のひとつでしょう。
本記事では、人手不足に悩む事業所に向けて、人手不足解消のヒントとなる改善策を紹介します。

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介護施設の人材需要の現状と今後の見通し

ほとんどの介護施設で大きな課題のひとつとして挙げられるのが「人手不足」です。「求人募集しても、施設側の希望にあった応募者が集まらない」、「応募数がそもそも少ない」、さらには「採用してもすぐに辞めてしまう」といった状況なのです。採用難と高い離職率が、介護現場の人手不足の原因だと考えられます。この問題の解決策を紹介する前に、求人募集に応募が少ない理由、職員が辞めてしまう理由を見てみましょう。そこに人手不足解消のヒントがあるようです。

【介護施設に応募しない理由】

  • 理由1:介護業界は3Kというイメージがある

    キツイ、キタナイ、キケンの3Kのイメージが強い介護の仕事。これだけで「もう、無理」と敬遠し、求人応募の対象外とする人もいます。

  • 理由2:力仕事や夜勤による身体的負担
    力仕事の多い介護の仕事。デスクワークよりもハードなイメージです。また、介護施設は夜勤業務、休日勤務もあります。シフト制の不規則な勤務は、小さな子どもがいる家庭や、高齢者を抱えている家庭の主婦には難しいと敬遠されてしまう傾向にあるようです。
  • 理由3:給与水準が低い
    介護福祉士の介護福祉士の平均給与額は、平均年齢44.6歳で月額 334,510円です。これは同年齢の一般会社員に比べて低いため、介護士より一般会社員を希望する人も少なくないです。

【介護施設を離職する理由】

  • 理由1:身体的、精神的な不調
    介護の仕事は主に肉体労働です。入浴や排せつなどの介助、ベッドから車いすへの移乗などは腰を痛めてしまいがち。また、利用者にはいろいろな人がいます。その一人ひとりと向き合うことにストレスを感じる職員も一定数の割合でいます。身体的、精神的な負担に耐えられず、介護職を辞める人も多いのです。
  • 理由2:事業所の運営方針への不満
    介護職を志す人は、自分なりの理念を持っている人もたくさんいます。しかし、実際に働いてみると理想と現実の乖離に悩むこともしばしばのようです。施設の運営方針や、職員間での介護に対する考え方や働き方の違いに悩み、辞める人もいます。
  • 理由3:収入が少ない
    小さなミスが利用者の命にかかわる介護現場は、つねに緊張の連続です。そのうえ夜勤や休日出勤などもあり、ハードな勤務条件の割に収入は競合他産業と比べて低いため、仕事に限界を感じ介護の職場を離れる人もいます。
    そのような状況をかんがみて、政府は2016年6月2日閣議決定「ニッポン一億総活躍プラン」で、「平成29年度(2017年度)からキャリアアップの仕組みを構築し、月額平均1万円相当の改善を行う」対策を打ち出しました。それでも、収入面ではまだまだ同年代の一般会社員と比較しても低いのです。
  • 理由4:労働時間、出勤日などが合わない
    介護職は365日、24時間体制の勤務です。そのため、家族と休日を一緒に過ごせない、夜勤があるため家族と生活時間が合わないなどの理由で介護の仕事を続けられない人もいます。

今後の見通し:高齢者人口の増加と少子化

採用難と、離職率が高い介護業界の今後の見通しはどうでしょうか。介護業界は近い将来、「高齢者人口の増加」と「少子化」という問題に直面するといわれています。2015年には「ベビーブーム世代(団塊世代)」が前期高齢者(65~74 歳)に到達し、2025年には高齢者人口が約3,500万人に達する見込みです。それにともない、認知症高齢者数は約320 万人になるという推計も出ています。

少子化問題は政府もいろいろな対策を行っていますが、2025年問題が目前に迫っている今、介護現場の人材が足りなくなるのは必至です。厚生労働省発表の社会保障審議会介護給付費分科会資料「介護人材確保対策(参考資料)」によると、2025年度の介護人材は 215 万人の見込みなのに対して、必要となる介護人材が253万人で、約38万人不足するとされています。介護施設の運営者は、人材不足の打開策を今から考えておく必要があります。

介護職の求人に応募しない理由、介護職を離職する理由のどちらにも、似たような問題が挙げられます。この問題を解決することが、人手不足を解消できる糸口になるはずです。

人手不足を解消するための打開策

人手不足を解消する方法として、次のふたつの問題を改善することが考えられます。

  1. 採用率を上げる
  2. 離職率を下げる

採用率を上げる

給与や待遇の改善

  • 介護職員処遇改善加算制度を導入し介護職員の低賃金を改善 介護職員の賃金改善の対策のひとつとして「介護職員処遇改善加算制度」があります。これは職員のスキルに応じて賃金を加算する制度です。申請の流れは、「キャリアパス」や「職場環境等要件」などの要件を満たした事業者が、都道府県または市町村に届け出たうえで、国保連(国民健康保険団体連合会)に加算請求をします。請求内容が認められると加算が事業所に支払われます。加算分を職員の賃金に上乗せして支払うことで職員の給与金額が上がる仕組みです。「加算Ⅰ」に該当する職員は37,000円相当の加算対象です。 介護職員処遇改善加算の詳細は「介護職員処遇改善加算|厚生労働省」を参考にしてください。
  • 時間外労働や深夜労働の見直し 介護職を選ばない理由、または離職理由に共通して挙がっている不規則なシフト勤務。家庭の事情やプライベートなどが優先されないという現状を払しょくしましょう。シフトで足りない人員は、積極的に外部スタッフを導入することで問題解消に努めます。
  • ユニットケアの導入 不特定多数の利用者や、大勢の人と働くことにストレスを感じる人もいます。ユニットケアは、入居者の10名程度を1ユニットとし、ユニットごとに固定されたメンバーで介護する方法です。少人数で介護し、スタッフも1チームで限られたメンバーとなるため、人間関係の精神的な負担が軽減されます。

介護に特化した人材派遣会社や求人サイトの利用

離職率を下げるためには、職員の働き方改革が必要です。休みを取りやすい環境づくりを考えましょう。ただし、休暇中の職員の穴埋めを同僚職員がフォローするのでは、問題解決につながりません。また、職員の休暇申請日が重なることもあるでしょう。深夜勤務の職員が不足したり、体調不良で急に欠員が出たりした場合にも、職員同士でカバーする体制では、どうしても誰かに負担がかかります。そのようなときは、外部の人材活用を検討するとよいでしょう。

  • 人材派遣サービス
    人材派遣業者に登録し、急に欠員が生じた際に派遣ヘルパーを要請する体制を構築しておきます。
  • 求人サイト
    介護に特化した求人サイトは費用がかさむ一方で、希望どおりの紹介につながらないことが多いようです。そのため、求人サイトはダメだとあきらめている施設も多いでしょう。しかし最近では、掛け捨て型ではなく、成果報酬型で応募があったときにだけ費用が発生する求人サイトも出てきています。利用を検討するのもよいでしょう。

外国人人材の受け入れ

外国人介護士の採用はもう避けては通れないかもしれません。EPA・技能実習制度・特定技能などの制度が次々と導入されており、インドネシア・ベトナム・フィリピン・ミャンマーなど、協定を結ぶ国も増えつつあります。
人手不足の解消に外国人人材採用がカギとなる可能性は否定できないでしょう。

介護ロボットの導入を検討する

力仕事には介護ロボットの導入を検討します。3Kのイメージを解消するためにも、ロボットに任せられる仕事はロボットに振り分けることをおすすめします。
介護業界におけるAI技術を導入した介護ロボットなどの導入の必要性や効果、活用事例について詳しく知りたい方は、介護AIは介護人材不足の救世主?AIが介護にもたらす影響のコラム参考にしてみてください。

離職率を下げる

適切な評価制度や面談によるサポートの実施

責任者が定期的に面談をし、適切な評価をすることで、労働に見合う昇給を実施します。頑張りが評価につながることで、やりがいのある仕事になるでしょう。

介護現場ではどのような評価制度の導入や取り組みを行ったらよいかなど詳しく知りたい方は、介護現場の人材育成はなぜ重要?メリットや取り組み方を解説のコラムを参考にしてみてください。

ICT化による業務負担の軽減・効率化

介護事務作業のICT化は、利用者の情報管理、毎月のタイムシートの集計、ケアプランの管理、一気通貫でダブルチェック不要と、職員の作業を大幅に軽減できます。なかでも介護ソフトは、タブレットやスマートフォンで利用できるものも多く、業務の合間に介護記録がつけられれば、職員はより多くの時間を介護業務に集中できます。

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介護福祉士資格取得のサポート

給与を上げるためには、やはりスキルアップが必要です。最近では、初任者研修・実務者研修・介護福祉士・介護支援専門員などの資格取得を奨励し、シフトの優遇や、資格取得費用の支援を行っている事業所もあります。自治体によっては学費の返還免除制度を設けていることもあります。こうした支援制度を取り入れて離職率を下げる対策も必要です。

人手不足の改善には働きやすい環境の整備が重要

人手不足解消のために介護施設の経営者がすべき改善方法はいろいろ考えられます。例えば、人材派遣サービスや外国人人材を積極的に活用し、職員の業務を少しでも軽減することが可能です。また、給料のアップや、介護職員のスキルアップをサポートするための体制を整えることも欠かせません。さらに、適切な評価制度を取り入れて、それに合わせて待遇を改善することも施設運営者の重要な仕事です。

早急に実行できる業務負担軽減策としては、介護施設のICT化が有効です。厚生労働省もICT化を推進しているため、今こそ取り組むことをおすすめします。特に介護ソフトを導入すると、タブレットやスマートフォンから介護日誌作成が可能になります。「介舟ファミリー」は、シンプルな画面で直感的に操作ができるつくりの介護ソフトです。タブレットやパソコンの操作に慣れていない人でもなじみやすいでしょう。

これからやってくる2025年問題の対策として、介護ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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