「頑張り過ぎない」介護サービスを

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介護コラム

馬場 博 氏

一般社団法人C.C.Net 専務理事

介護サービスの質と私の専門である経営マネジメントの関係性をテーマに全3回掲載させていただきたいと思います。

介護サービスの質とは何かを定義するのは難しいですが、あえてするならば
●複数の顧客(利用者・家族等)が満足する
●個別の価値観に見合ったサービスを(在宅の場合「様々な場所と環境で」)、
 多職種のチーム連携のもとに、安全・安心に提供できること
となり、他のサービスと比較して非常に難易度ことを改めて自覚させられます。
特に「個別の価値観に見合ったサービスを」は、介護保険の理念である「尊厳の保持」に関わる重要な点であり、決して疎かには出来ません。

しかし、このことを意識し過ぎて過剰なサービスになってしまっている場面はないでしょうか?
以前、利用者の方にヒアリングをした際に言われた言葉でとても印象的なものがあります

『皆さんが思っているほど、(この施設のサービスは)良くもなければ悪くもないですよ』

ハッとさせられました。
そっけない言葉に聞こえますが、この方の満足度が低いとは感じませんでした。
ニーズに沿って、特色や強みをもったサービスを作ることは大切ですが、そのことが過剰な利用者ニーズを創り上げてしまっている面もあります。

ほとんどの利用者にとって満足のいくサービスとは、
<生活に必要なことを普通にきちんとやってくれる>
ことであり、本来それで十分満足度の高いサービスとなるのではないでしょうか。

このコロナ禍で行われたサービスの見直しや利用控えを通じて
<本当に必要なサービスとは何か>
を改めて考えさせられた方も多いと思います。
「頑張り過ぎない介護」は家族にだけ言えることではなく、介護従事者にとっても同じです。
プロである以上、満足度の高いサービスを安心・安全に提供することは義務ですが、頑張り過ぎて心身を疲弊させ、仕事ができなくなっては元も子もありませんし、地域としても大切な資源を失うことになります。
介護従事者が頑張り過ぎずに仕事を続けられるようするためには、介護サービスを<必要十分な質と量>にマネジメントしなくてはなりません。

残り2回でその具体策・留意事項に触れていきたいと思います。

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