介護のアセスメントとモニタリングとは?効率化を図るためのポイントを紹介

介護のアセスメントとモニタリングは、ケアマネジャー(以下ケアマネ)にとって重要な業務です。しかし、アセスメントとモニタリング業務が長時間におよぶと、利用者と家族を疲弊させてしまいます。ほかの業務時間を圧迫することにもなるため、効率良く行わなければいけません

そのようなケアマネの悩みに対して、事業責任者や施設長はどのような提案ができるのでしょうか? この記事では、アセスメントとモニタリングの基本を押さえながら、業務の効率化を図るためのポイントを紹介します。

アセスメントとモニタリングの違い

アセスメントとは、介護サービスを提供する前にケアプランを作成するために行うヒアリングです。

一方、モニタリングは、介護サービスを継続している利用者が、作成したケアプランのとおりにサービスを受けているかを確認するためのヒアリングです。

どちらもケアマネ、利用者、家族と面談する形式で進められますが、聞き取り内容が異なります。

アセスメントとは

利用者が介護サービスを受けようとするとき、ファーストタッチとしてケアマネ、利用者、そして家族が同席して話し合いを行うのがアセスメントです。

ケアマネは主に「今までの環境」、「現在の状況」、「介護が必要かどうか」、「必要と判断した場合はどのようなサービスを提供するのが適切か」などをヒアリングし、聞き取った情報をもとにケアプランを立てていきます。

アセスメントの流れと確認項目

  1. 事前の情報収集と整理
    医師の意見書や利用者からの問い合わせの電話など、アセスメントの前に収集可能な情報をまとめ、整理しておきます。

  2. 面談
    利用者の希望や、家族の要望などを聞きます。ケアマネが自分の考えを述べることはなるべく控え、あくまで利用者が「どうしたいのか」を聞き出すことを目的として行います。

    例えば、利用者が「食事はひとりで摂取できます」と回答したならば、箸(はし)を使えるか、スプーンやフォークが必要かについて聞くなど、状態を把握するために具体的に掘り下げて聞きます。

    ただし、面談には利用者から情報を集める目的のほかに、ケアマネが利用者、家族と信頼関係を築くという意図もあるので、相手が話したくないことは無理に聞き出さないという配慮も必要です。

    アセスメントは気を使うプロセスであり、ケアマネにかかる負担は大きいですが、利用者の要望を聞き、適切に応えられることが事業所の評判にもつながります。

  3. アセスメントシート作成
    面談した結果をシートに記載します。
    シートの様式はさまざまありますが、主に以下の7種類が知られています。
    ・包括的自立支援プログラム
    ・居宅サービス計画ガイドライン
    ・MDS-HC方式
    ・R4
    ・ケアマネジメント実践記録方式
    ・日本介護福祉会方式
    ・日本訪問看護振興財団版方式。

以下の23項目は、必ずヒアリングしなければいけないポイントです。

【基本情報に関する関する項目】
No 標準項目名 項目の主な内容(例)
1
基本情報(受付、利用者等基本情報) 居宅サービス計画作成についての利用者受付情報(受付日時、受付対応者、受付方法等)、利用者の基本情報(氏名、性別、生年月日、住所・電話 番号等の連絡先)、利用者以外の家族等の基本情報について記載する項目
2
生活状況 利用者の現在の生活状況、生活歴等について記載する項目
3
利用者の被保険者情報 利用者の被保険者情報(介護保険、医療保険、生活保護、身体障害者手帳の有無等)について記載する項目
4
現在利用しているサービスの状況 介護保険給付の内外を問わず、利用者が現在受けているサービスの状況について記載する項目
5
障害老人の日常生活自立度 障害老人の日常生活自立度について記載する項目
6
認知症である老人の日常生活自立度 認知症である老人の日常生活自立度について記載する項目
7
主訴 利用者及びその家族の主訴や要望について記載する項目
8
認定情報 利用者の認定結果(要介護状態区分、審査会の意見、支給限度額等)について記載する項目
9
課題分析(アセスメント)理由 当該課題分析(アセスメント)の理由(初回、定期、退院退所時等)について記載する項目
課題分析(アセスメント)に関する項目
No 標準項目名 項目の主な内容(例)
10
健康状態 利用者の健康状態(既往歴、主傷病、症状、痛み等)について記載する項目
11
ADL ADL(寝返り、起きあがり、移乗、歩行、着衣、入浴、排泄等)に関する項目
12
IADL IADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等)に関する項目
13
認知 日常の意思決定を行うための認知能力の程度に関する項目
14
コミュニケーション能力 意思の伝達、視力、聴力等のコミュニケーションに関する項目
15
社会との関わり 社会との関わり(社会的活動への参加意欲、社会との関わりの変化、喪失感や孤独感等)に関する項目
16
排尿・排便 失禁の状況、排尿排泄後の後始末、コントロール方法、頻度などに関する項目
17
じょく瘡・皮膚の問題 じょく瘡の程度、皮膚の清潔状況等に関する項目
18
口腔衛生 歯・口腔内の状態や口腔衛生に関する項目
19
食事摂取 食事摂取(栄養、食事回数、水分量等)に関する項目
20
問題行動 問題行動(暴言暴行、徘徊、介護の抵抗、収集癖、火の不始末、不潔行為、異食行動等)に関する項目
21
介護力 利用者の介護力(介護者の有無、介護者の介護意思、介護負担、主な介護者に関する情報等)に関する項目
22
居住環境 住宅改修の必要性、危険個所等の現在の居住環境について記載する項目
23
特別な状況 特別な状況(虐待、ターミナルケア等)に関する項目

これらの23項目を満たしていれば、アセスメントシートはカスタマイズも可能です。
使いやすいアセスメントシートについては以下で詳しく説明しています。あわせてぜひご一読ください。

モニタリングとは

モニタリングとは、すでに介護サービスを受けている利用者が「ケアプランどおりに介護サービスを受けられているか」、「困ったことや不都合なことはないか」、「このままサービスを継続してよいか」などを判断するため、定期的に利用者や家族と面談することです。

もし、利用者の状況に変化が生じており、現在のプランを継続することが難しいと判断された場合は、ケアプランを修正します。

モニタリングは、サービス提供開始後も、引き続き納得してサービスを継続してもらうために重要な業務です。利用者が満足するサービスの提供を目指して、アセスメントとともに、ケアマネの手腕が問われる業務だといえるでしょう。

モニタリングの流れと確認項目

  1. サービス担当者へのヒアリング
    実際に施設を訪問して、介護スタッフやホームヘルパーから事前に話を聞いたり、介護記録を閲覧したりして利用者の状況を把握しておきます。

  2. 利用者、家族の面談
    ケアプランどおりにサービスが実施されているか、利用者が満足しているかどうかを確認し、必要に応じてケアプランを修正します。

  3. モニタリングシート作成

    アセスメントシートと違い、モニタリングシートには特に決められた様式や必須項目はありません。ほとんどの事業所では、記入日、担当者名、利用者名、実施場所、立ち会った家族の名前、短期・長期の目標、身体状況の変化、そのときに出た意見などが記載する項目となっているようです。

アセスメント、モニタリング業務の効率化

目的は違うものの、アセスメントとモニタリングはどちらも、利用者や家族からの希望や意見をヒアリングして記録に残し、適切なプランニングにつなげ、実行に移す業務だといえます。

どちらのヒアリングも、利用者や家族の負担を考えて1時間以内で終了することが望ましく、聞きもらすことがないよう万全な事前準備が必要になるため、ケアマネにはとても負担がかかります。

そのようなケアマネに対して、上長としてどのようなアドバイスができるのでしょうか? ヒアリングと記録、それぞれの面から業務の効率化を図れるポイントについて以下に解説します。

ヒアリング

ヒアリングに関しては、以下の4つのポイントをアドバイスするとよいでしょう。

  1. ゴールを決めてヒアリングを進めない
    ケアマネが介護サービスの目標を決めて話を主導すると、利用者の希望が反映されないことがあります。
    まずは、ケアマネが聞き役になり、利用者の話を聞くことに徹するとよいことを伝えましょう。

  2. 関係のない話だとすぐに判断しない
    関係のない話題だと思っても、そのまま聞いていると実はそのなかに利用者の要望が混じっていることもあります。
    要望がわかれば、そこから「どうすればよいのか」を考えることができ、結果的にアセスメントが短時間で終了するかもしれません。

    ケアマネには、利用者が関係のない話をしているように思えても、少し我慢して聞き続けることも大切だと伝えましょう。

  3. 「それはつまり、こういうことですか?」と要点をまとめて質問してみる
    利用者や家族は話があっちこっちに飛んでしまい「結局、何が言いたいんだっけ」と迷走することもよくあります。

    そのようなときは、要点をまとめて「それはつまり、こういうことですか?」とクッションフレーズをいれるとスムーズに進むことを伝えましょう。

  4. 利用者の要望をかなえることが難しい場合は、理由の提示と代替案をセットで提示する
    利用者の要望をかなえることが難しい際には、「なぜ難しいのか」をわかりやすく説明し、それと同時に「こちらのサービスは難しいですが、このサービスなら受けることは可能です」と代替案を出すと、利用者も納得しやすいことを伝えましょう。

記録(シート記入)

シートの記帳に関しては、以下の3つのポイントのサポートがあると効果的です。上長は、ケアマネが働きやすいような環境を整える支援をしましょう。

  1. 定型文を作成しておく
    何度も使う文言は、単語登録や文例集を作成しておき、そこから転記すればシートへの入力が速くなります。
    上長は単語登録方法のマニュアル作成、文例集の保存場所などを用意しておくといいでしょう。

  2. テンプレートの作成
    モニタリングシートは特に様式が決まっていないので、統一した様式を準備し、テンプレートとして活用するとよいでしょう。
    ケアマネの業務がはかどるだけでなく、読みやすくなり、公の機関に提出を求められた際もそのまま提出できるという利点があります。

  3. 介護ソフトの導入
    表計算ソフトなどを代用してテンプレートを作成することも可能ですが、介護に特化していないため使いづらい箇所が出てきます。
    介護に特化した介護ソフトを導入すれば、使いやすく業務効率も上がるでしょう。
    多くの利用者を受け持つケアマネにとっては、介護ソフトの導入だけでストレスが軽減することも期待できます。

アセスメントとモニタリングの効率化には介護ソフト導入がおすすめ

ヒアリングをしてシートに記入するところまでが一連の作業となるアセスメントとモニタリング。どちらもケアマネには欠かせない業務であり、事業所の評判にもつながる重要なプロセスです。

ケアマネは利用者と密接にかかわる、いわば事業者の顔です。ケアマネは、常に利用者が満足するサービスを提案したいと思いつつ、雑務に追われてなかなか時間がとれず「どうしていいのかわからない」と悩んでいるかも知れません。

ケアマネの業務を効率化するために、事業所として介護ソフトの導入を検討するのもよいでしょう。

なかでも介護保険・障害者福祉請求ソフトの「介舟ファミリー」は、わかりやすい操作画面で直感的に使え、導入にともなうケアマネの負担も少ないのでおすすめです。

また、介護ソフトを導入すると、ケアマネの業務効率化が実現するだけではなく、事業所としても利用者の情報をリアルタイムで共有できるというメリットがあります。

例えば、ケアマネ不在時に家族から問い合わせがあった場合も、ほかのスタッフが対応することが可能です。常に迅速な対応ができることは、預ける家族に安心感を与え、事業所の信用につながるでしょう。

初めて介護ソフトを導入するなら、使い勝手の良い「介舟ファミリー」が安心です。ぜひご検討ください。

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