介護の質とは支援者の質

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介護コラム

髙橋 秀明 氏

特別養護老人ホーム裕和園 副施設長

はじめまして。特別養護老人ホーム裕和園髙橋秀明です。
本コラムでは「介護の質とは支援者の質である」をテーマに3回に分けてお話しします。
第1回は「専門職に求められる介護とは」です。

この業界では、「自分たちがやりたい介護を実践する」という理念を掲げている事業所、またはその類の考えを支援の軸足に介護をしている専門職に出会うことがあります。
この国では「介護とは○○」と一本化かつ明確な定義づけがなされていないため、介護については捉え方・考え方に統一性がなく、受け取り側の知識や経験でイメージされがちです。
そのため介護とは「傍に付き添って身体の動作等を手助けする」「もてなし、やって差し上げる」等のイメージを持たれる方も多いでしょう。

もし、介護を生業にする専門職が、各々のイメージ(価値観・介護観)で仕事をしていたとしたら・・・。
「何でもやって差し上げる」「本人(利用者)ができることは自分で行い、できない部分をサポートする」等、専門職の持つ価値観・介護観によって支援に差異が生じることになります。
そして、その影響を良くも悪くも受けるのは、他でもない本人(利用者)です。

ある大企業をV字回復させた立役者は、「顧客が求めているもの」と「提供者が作る(作りたい)もの」は必ずしも一致しないと仰いました。
それに気づけたことがその企業のV字回復につながったのです。
上記を介護の仕事に置き換えると「自分がやりたい介護」を考える前に、「社会から求められる介護」を突き詰めて考えることが大事と言えるでしょう。
そして、考える基礎・基本は介護保険法です。
介護保険法の指定を受けた事業所で仕事をするということは、介護保険法の目的に謳われた「尊厳を保持し、有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように…」、そして、その目的に基づいて各事業に謳われている「運営基準の基本方針」を読み込んで理解して実践する。
それこそが「専門職に求められる介護」なのです。

第2回では、専門職に求められている介護を徹底的に思考し、支援に展開させた実践事例についてお話しします。

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