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介護コラム

柴田 範子 氏

NPO法人楽 理事長

日常生活の仕方が変わると言われているコロナ渦での日々。

そうであっても、介護・福祉にかかわる私たちが忘れてはいけない大事な視点がある。

私たちがかかわる方の暮らしを知ると言うこと。
暮らし方にどれだけ興味を持てるかだ。
「訪問に行くと、いつも寝ている」と語るヘルパーさんに出会う。
そのお年寄りは、いつも寝ている方なのか?
訪問の時間がその人に合わせられているのだろうか?
「2015年の高齢者介護」(厚生労働省老健局長の私的研究会/高齢者介護研究会/2003年)に次のような記述がある。
一部を挙げると、

通常、私たちは自宅で生活をしている。
自宅とは、私たち自身が主人公である世界である。
自宅であれば、介護が必要になった時でも、人は、自分自身で立てたスケジュールに沿って日常生活を営むことができる。
朝何時に起きるかは自分の自由であるし、食事を摂るか摂らないか、何を食べるかも自分自身で決めることができる。
自宅の良さとは、介護が必要になった時でも、介護のために自分の生活や自由を犠牲にすることなく、自分らしい生活を続けることができる点にある。
日常生活における自由な自己決定の積み重ねこそが「尊厳ある生活」の基本であり、在宅での生活であれば当たり前のことである。

24時間の暮らし方を知ること。
介護事業所側の都合もあることは承知しているが、対象となる方の生活を先ずは探り、理解することから始められたら支援のあり方が変わるだろうと思うこの頃である。

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