利用者を介護業務の単なる対象としか見ないということも起きます。
「尊厳を守る」という言葉は、使うのは簡単ですが、介護の場合、実際の介護行為や行動で示せなければ何にもなりません。
自己決定を尊重することが当然なのですが、理解力や判断力の低下した利用者にとって、自己決定によって利用者自身に不利益が生じる場合も考えられます。
介護福祉士は利用者にとって最善の介護サービスは何かよく考え、利用者の自己決定を支援します。
一方で、介護福祉士は利用者の自立や状態改善の可能性を追求して、自立支援をしなければなりません。
利用者のできることを発見し、活かすという介護が、生活を再構築する支援につながります。
介護の基本原則
「介護をするうえでの基本原則」としては以下のようなことが挙げられます。
- 生活の自立性の拡大を図る
- 予防的な対処を優先させる
- 利用者に生きる喜びと意義を見出せるようにする
- 利用者と社会との接触を保つ
- 綿密な観察により異常を早期発見する
- 介護をするために必要な知識や技術の習得
- 他職種との連携
多職種との連携
いままで述べてきたことを確実に行う努力が、介護サービスの質を向上させることにつながるのですが、利用者の生活支援は介護職だけでできることではありません。
他職種との連携が必要です。連携は一方通行ではなく、双方のやり取りです。
目標を達成させ、利用者のQOLをあげるために、相手の仕事が最大限に実施できるようにお互いに支え合い、協力しあうことです。
連携するためには、相手の仕事を理解し、連携に必要な最低限の知識を得ておかなければなりません。
コミュニケーション能力も求められます。
医療職との連携のためには、利用者の健康面をよく知り、必要な医療的知識を学習しておきます。
また、自分の仕事に責任を持つことが連携には重要なことです。
自分の役割、職務を果たしてこそ連携が生まれます。
介護は肉体労働と言われますが、読んでいただいたように大変な「頭脳労働」なのです。